1.開催日程、場所
2019年10月28日〜11月22日、エジプト(シャルムエルシェイク)
2.出席者
約166カ国から約3,300名が参加。我が国からは、総務省・民間事業者・研究機関などから約90名が参加。
3.議題
- ①1885-2025 MHz帯 及び 2110-2200 MHz帯におけるIMT の実施(Issue 9.1.1)
- ②1452-1492MHz帯におけるIMTと放送衛星業務(音声)との両立性(第一地域および第三地域)(Issue 9.1.2)
- ③固定衛星業務に分配された3700-4200 MHz, 4500-4800 MHz, 5925-6425 MHz及び6725-7025 MHz帯における新たな非静止衛星軌道システムに関する技術・運用面の課題及び規則条項の検討(Issue 9.1.3)
- ④準軌道飛行体に搭載された局(Issue 9.1.4)
- ⑤RR第5.447F号及び第5.450A号においてITU-R勧告M.1638-1及びITU-R勧告M.1849-1を参照することの技術的及び規制上の影響の検討(Issue 9.1.5)
- ⑥電気自動車用ワイヤレス電力伝送(WPT)に関する研究(Issue 9.1.6)
- ⑦アップリンク送信の実施を認可済端末に制限するための追加手法の必要性及び領土内の無認可地球局端末の管理のための手法の研究(Issue 9.1.7)
- ⑧マシンタイプコミュニケーションの導入のための周波数協調を含む、無線ネットワーク及びシステムの技術的・運用的側面及び周波数需要の研究(Issue 9.1.8)
- ⑨51.4-52.4 GHzにおける固定衛星業務 (地球から宇宙)の周波数要求及び新規分配の検討(Issue 9.1.9)
4.主な結果
- 国際的に調和した第5世代移動通信システム用周波数の拡大
第5世代移動通信システム(5G)等で使用することができる国際的な移動通信(IMT: International Mobile Telecommunication)用周波数の拡大に向けた検討が行われ、我が国については、新たに計15.75GHz幅(24.25-27.5GHz、37-43.5GHz、47.2-48.2GHz、66-71GHz)がIMT向けの周波数として合意。
- 海上における遭難及び安全に関する世界的な制度(GMDSS: Global Maritime Distress and Safety System)の近代化など海上における新たな無線システムの導入
船舶が遭難した際に効果的な救助活動を可能とするGMDSSの近代化や、国際的に船舶用通信への活用が期待されているVHF帯データ交換システム(VDES: VHS Data Exchange System)における衛星系システムの導入などについて検討。
この結果、イリジウム衛星システムを新たにGMDSSに活用するための周波数が合意されたほか、衛星系VDESに使用可能な周波数が我が国提案に沿った形で合意。また、落水者救助等のための自律型海上無線機器(AMRD: Autonomous Maritime Radio Devices)の周波数等についても合意。 - 極めて高い周波数であるテラヘルツ帯の一部(275-450GHz)の通信への活用
これまで受動業務(電波天文や地球観測などの受信のみを行う業務)のみに使用されていた極めて高い周波数帯である275-450GHzが、新たに陸上移動及び固定業務に使用するための周波数帯として合意。
- 鉄道無線及び高度道路交通システムに使用する周波数の国際調和
各国で周波数が統一されていなかった鉄道無線や高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transport Systems)に使用する周波数について、それぞれ国際的に調和させることが望ましい旨の決議、勧告が採択。
- 非静止軌道衛星の本格的な利用に向けた周波数の特定や規則の導入
近年、数百から数千の非静止軌道衛星から構成される衛星システム(コンステレーションシステム)に向けた取組が急増している状況を受け、衛星軌道の利用にあたっての国際的な手続規則や周波数の利用条件などが新たに定められた。
- 次回WRC-23の主要議題
我が国提案の議題を含め、以下の議題などをWRC-23の議題とすることに合意。
- IMT基地局としての高高度プラットフォームの活用
- IMT用周波数の更なる拡大(7025-7125MHz等)