1. ITU-Rの概要
電気通信分野における国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)の無線通信部門(ITU-R: ITU Radiocommunication Sector)で、無線通信に関する国際的規則である無線通信規則(RR: Radio Regulations)の改正、無線通信の技術・運用等の問題の研究、 勧告の作成及び周波数の割当て・登録等を行っている。
ITUの概要は、次のとおり。
ITUの概要
以下のページをご参照ください。
リンク先コンテンツを別ウィンドウで開きますhttps://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/itu/
2. ITU-Rの構成
- 世界無線通信会議(WRC: World Radiocommunication Conference):
周波数の国際的な分配、衛星軌道の利用方法、無線局の運用に関する各種規定、技術基準等の検討を行う。
- 地域無線通信会議(RRC: Regional Radiocommunication Conference):
ある特定の地域における無線通信に関する協定等について審議を行う。
- 無線通信総会(RA: Radiocommunication Assemblies):
無線通信技術・運用等の問題について勧告の承認等を行う。
- 無線通信規則委員会(RRB: Radio Regulations Board):
無線通信規則及び世界無線通信会議の決定に適合した手続き規則の承認、現行の手続き規則で解決できない事項の検討を行う。
- 無線通信研究委員会(SG: Study Group):
無線通信技術・運用等の問題の研究及び勧告の作成を行う。テーマ毎に以下の7つの委員会が設置されている。
- SG1:周波数管理
- SG3:電波伝搬
- SG4:衛星業務
- SG5:地上業務
- SG6:放送業務
- SG7:科学業務
- 無線通信アドバイザリーグループ(RAG: Radiocommunication Advisory Group):
ITU-Rにおける計画、戦略等について無線通信局長に助言すると共に、 各無線通信研究委員会の作業指針等を示す。
- 会議準備会合(CPM: Conference for Preparatory Meeting):
世界無線通信会議の準備のため無線通信研究委員会の成果等のとりまとめを行う。
3. ITU無線通信総会(RA-23)の結果概要
- 日時等
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日時:
令和5年11月13日(月)から17日(金)
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開催場所:
アラブ首長国連邦(ドバイ)
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参加者等:
情報通信関係省庁、電気通信事業者、メーカーなどが参加。
日本からは、総務省、電気通信事業者等を始め44名が参加。
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日時:
- 主な結果
- SGから提出された勧告案の承認
2件の新規勧告案と2件の改訂勧告案が承認された。
承認された主な勧告は以下のとおり。- IMT-2030のフレームワーク勧告
2030年頃の実現が想定される次世代の携帯電話規格に求められる能力やユースケース等を含む全体像を与える勧告。 - 海上移動業務における自動接続システム関連の勧告
WRC-23で改正を検討している無線通信規則で引用される予定の勧告改訂案であり、WRC-23の前の承認が必要であることから、RA-23で承認を求められたもの。
- IMT-2030のフレームワーク勧告
- 提出された決議案の承認
26件の改訂決議、4件の新規決議、4件の決議削除が承認された。
承認された主な決議は以下のとおり。- IMTの開発プロセスの原則に関する決議
IMTの無線インタフェース仕様の策定に向けた作業において踏むべきプロセス等を定める決議。 - ジェンダー決議
ジェンダーの平等に関するITU-R初の新決議であり、女性が積極的かつ有意義に参加できるようにするための決議。
- IMTの開発プロセスの原則に関する決議
- SG議長・副議長の任命
我が国から推薦していた以下の3名全員が次期研究会期の副議長候補として承認された。
- SG4(衛星業務)副議長 河野 宇博(スカパーJSAT)
- SG5(地上業務)副議長 今田 諭志(KDDI)
- SG6(放送業務)副議長 大出 訓史(NHK)
- SGから提出された勧告案の承認