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元捜査一課刑事はなぜ警察を辞めたのか 家族は猛反対 「天職」も...強烈な違和感「自分はズレてる」

[ 2023年12月28日 17:00 ]

佐々木成三氏
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元埼玉県警捜査一課で、現在はテレビ各局の情報番組などでコメンテーターとして引っ張りだこの佐々木成三氏(47)。芸能人顔負けのイケメンの元刑事として、SNSの危険性を訴えたり、身を守る啓蒙活動など活躍の場を広げている。これまでどんな人生を歩んできたのか。第1回は「なぜ、警察を辞めたのか」。(取材・構成 松井 いつき)

生まれ育ったのは岩手だが、入ったのは埼玉県警だった。「当時、就職氷河期で岩手県警の採用が3人ぐらい。ちょうどその時に共同試験というものをやっていて。岩手の試験と埼玉の試験一緒に受けられたので、埼玉を希望しました。岩手は落ちて埼玉に合格したんです」。

交番勤務を経て、凶悪犯罪を取り扱う捜査一課へ。「捜査一課が取り扱うのはドラマと同じで凶悪事件ばかり。事件が発生すると休みはほとんどありませんでしたが、つらいとは全く思いませんでした。だから、僕は今でも刑事を天職だと思っています。ただ、1番辛かったのは被害者支援でした。殺人事件となるとご遺族と接することになります。その悲しむ姿に何もできないことに無力感を感じていました」と振り返る。

捜査は「パズルのピース」をあてはめていくような作業だ。「下命を受けた捜査で必要なピースを拾いに行くのですが、人の能力によってそのピースを拾えないことが多くある。捜査に必要なのはコミュニケーション能力と視野の広さ。例えば、過去、同じやり方でピースを拾いに行き、失敗してくる古参の刑事や経験や視野の狭さでピースを見つけられない若手の刑事がいたり...その中で新しい手法を取り入れたり、コミュニケーションを勉強してピースを拾い、犯人を逮捕することもあった。刑事は天職だと感じました」と手ごたえを得ていた。

一方で、「刑事を長く経験すると、事件を解決することにドーパミンが出るようになってしまい、『事件屋さん』になっている自分がいました」。事件解決後、捜査一課の刑事は事件が発生しなければ「待機」となる。「定刻で仕事を終え、暦通りに土日が休み。本来であれば事件がない方が治安がいいはずなのに、事件がなく待機する時間が長いと暇だなと感じる自分がいたんです。この時間が暇だと感じる自分はズレているなと」。違和感を覚えるようになった。

捜査の一環として、スマートフォンの解析にも取り組んで成果を上げていた佐々木氏。「今まで犯罪者がどういう意識を持って犯罪したのか、被害者がどう罠に引っかかるのか。犯罪を取り締まることしかできなかったセクションの一課の刑事が、犯罪を生まない環境作りっていう仕事をするのもいいのかなと。天職と思っているからこそ得たものも結構あったんです」と振り返る。

公務員として安定した生活もあった。「僕は警察に残っていても正解だと思ってます。だけど、この感覚を20年続けた時に60なった時に辞めるというよりかは、何かを発信するっていう意欲がある時に辞めた方が、発信する力もあるんじゃないかなと」と決断した。

家族には猛反対された。「めっちゃ反対でした。僕も全く(辞めた後の)ビジョンがなかったっていう。どういうことやるの?って言われたら、全く根拠がなかった。結婚もしていて、息子も高校1年生くらいだったので」と回想。

当時、介護を運営する会社から声をかけられていたこともあり、「高齢者虐待防止のアプローチを経験することも今後に生きるかなと感じたし、全くの無収入になるのもできなかった。二足のわらじとして仕事をすることで、家族をむりやり納得させました」。そうして2017年に警察を退職した。

そもそも、佐々木氏はなぜ警察官になろうと思ったのか。そこには小学生時代の強烈な原体験があった。(第2回に続く)

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