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野村萬斎 「どうする家康」の今川義元役 「早めに退場するので引き受けやすかった」

[ 2023年1月3日 09:00 ]

大河ドラマ「どうする家康」で今川義元を演じる野村萬斎(C)NHK
Photo By 提供写真

【牧 元一の孤人焦点】8日にスタートするNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)で今川義元役を演じる狂言師の野村萬斎(56)が29年ぶりの大河の現場について語った。

「古沢良太さんの脚本ということもあり、松本潤さんをはじめ出演者の方々が非常にアットホームな雰囲気で、一種のファミリードラマとしての面白みがあるように思う」

大河出演は1994年の「花の乱」で細川勝元役を演じて以来となる。

「29年前はまだ20代だった。三田佳子さんや先代の市川團十郎さん、それから萬屋錦之介さんや京マチ子さんという銀幕のスター、時代劇を背負ってきたお歴々の胸を借りる感じだった。その方々の演技を真剣に食い入るように見ながら、どうしたら対抗できるかと考えた。一種の他流試合のようで、緊張感を持って臨んだ覚えがある」

その後は大河出演こそなかったが、97年の連続テレビ小説「あぐり」で望月エイスケ役を演じ、2008年のNHKドラマ「鞍馬天狗」に主演するなど、テレビとの関わりは続いた。

「この29年の間にも大河のオファーはいろいろあったが、なかなかスケジュールが合わなかった。大河の撮影は長期に及ぶので、それなりの覚悟がないとできない。今回は今川義元役で、歴史上、早めに退場するので引き受けやすかった(笑)」

29年前とは大河の撮影方法も変わった。

「以前は本鬘だったが、今は地毛をまぜながらの鬘になった。衣装も以前は時代考証そのままだったが、作品のオリジナリティーを出すため、少しずつ工夫が施されるようになった。スタジオセットの後ろに巨大LEDウォールを置き、そこに映像を流して撮影するという技術の革新もあり、驚いた」

この作品で今川義元は高貴な名君として描かれる。公家文化にも精通する教養人、政治家で、民のための王道政治を掲げる理想主義者という人物像だ。

「身をもって家康に何かを授ける人物、のちの家康の幕府開闢に影響を与えた人物として演じた。カリスマ性がありながら人格者でもあり、人々から尊敬される、厳格な人物として演じることを心がけた。伝統や歴史といった古きを守って実践に生かし、自分の理想の形を作っていくという姿は、私自身が置かれた境遇や思いと重なる部分が多かった」

家康を演じる松本との芝居は物語の重要なポイントになる。

「松本さんは明るく、にこやかで、演出家としての才能も含め尊敬できる方だと思う。義元は人質に取った家康に才能を見いだすが、家康の隠れた才能を信じるという点で非常に演じやすかった」

29年ぶりの大河での熱演を楽しみたい。

だいやまーく牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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