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【芸人イチオシ】ハナコ秋山 2つの狙い 電子書籍の月刊文芸小説誌でエッセーがスタート

[ 2022年11月27日 09:00 ]

初のエッセー連載がスタートしたハナコの秋山寛貴
Photo By 提供写真

個性豊かなキャラクターと日常の一部を切り取ったコントが持ち味のお笑いトリオ「ハナコ」。そのネタ作りを担当する秋山寛貴(31)が舞台からフィールドを移して新たな挑戦に乗り出した。

今月から電子書籍の月刊文芸小説誌「小説野性時代」(KADOKAWA)で初のエッセー「人前に立つのは苦手だけど」をスタート。これが今イチオシの仕事だ。第1回はキングオブコント2018で優勝を勝ち取ったネタ「つかまえて」にまつわる秘話をつづっている。

きっかけは出版社からの熱烈なオファーだった。「ネタを思い付いたきっかけや発想など、秋山さんの頭の中にはどんな世界が広がっているのか。それをぜひ文章としてエッセーの形で表現していただきたい」。担当からの愛情たっぷりの口説き文句に思わずのっかった。

これまで300本以上、手がけてきたコントは日常で出合った面白いことを膨らましてきた。例えばスターバックスコーヒーで、イカついゴツめのお兄さんが「今しか飲めない甘いやつで」とかわいらしい注文をする場面や、楽屋に着いて荷物を置くと一目散にケータリングのお菓子に向かう相方・菊田竜大(35)の姿など気になる光景はさまざま。目撃した瞬間にメモを取るようにしており、それをネタ作りのヒントにしている。

エッセーを引き受けた理由の一つは思考回路の整理。感性の赴くままメモを取り続け、観察眼は鍛えられたものの、秋山自身、自らの笑いの基準がいまいち掴みきれていないという。そこでそれを文章にする事で「笑いの方程式」をよりハッキリ、クッキリさせようとしている。

もう一つの狙いは映画化だ。かつて劇場版「クレヨンしんちゃん」を見たときに、年代を問わない老若男女が客席で笑っているのを目の当たりにし「みんなが同じ映像を見て笑っている姿に"何だ?これ"って感動しちゃって。お笑いライブとはまた違った」とカルチャーショックを受けたという。これに感化され「自分も笑える映画を作りたい」という夢ができた。

実はエッセーをスタートさせた「小説野性時代」は映画のプロデューサーもよく読んでいる小説誌。掲載された小説などが映像化されることも多く、これまで「正義のセ」「美丘」「高校入試」などがドラマ化されてきた。秋山自身は、ドラマ化に続いて映画化されるような作品をいつか発表したいと思い描いているという。うまく行けばチャンスが回って来るかもしれない。

「小さい頃から"超"がつくほど慎重派。大きなケガをしたこともない」という石橋を叩いて渡る性格の秋山にとって新たな試みは、なかなか覚悟のいるところ。

「書けたらかっこいいなと思って。少しずつやったことないものにチャレンジして、その積み重ねで広がっていくのかな、じりじりと」

マジメにコツコツ。知らないうちにどんどん前に進んでいくステルス秋山。おもしろ映画脚本の目標に向け、筆もスルスルと進んでいきそうだ。

◇ハナコ ワタナベコメディスクール12期生の秋山、菊田、岡部大の3人で2014年10月に結成。18年にキングオブコントで優勝。同年、翌19年とワタナベお笑いNo.1決定戦で2年連続優勝。ネタ作りは秋山と岡部が担当。

◇秋山寛貴(あきやま・ひろき)1991年(平3)9月20日生まれ、岡山県出身の31歳。芸人としての目標は、コントのヒット作をつくり続けること。夢は、Mr. ビーンを演じる俳優ローワン・アトキンソンとコントをすること。

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