三菱重工、三菱電機、NECの「オールド宇宙企業」は爆発する民需に乗って逆襲できるか
詳細はこちら
戦後長年にわたって、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とその前身団体の国の宇宙開発を支えてきた三菱重工業、三菱電機、NEC。いわばオールドスペース企業の3社は、これから爆発するとみられる民間需要にどう対応するのか。1件当たりのプロジェクトが大きく、失敗すると大きな赤字を抱える上に、決してもうけは大きくない国の宇宙開発頼りから脱却できるのか?特集『来るぞ370兆円市場 ビッグバン!宇宙ビジネス』(全13回)の#9では、オールドスペース企業の「逆襲」劇を追ってみよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
この夏三菱電機も「日本初」月面へ!
日本初を連発してきた3社は新市場でどうするか
4月に宇宙スタートアップのispaceが達成できなかった「日本初の月面着陸」。この夏、今度は三菱電機がその日本初に挑む。8月に打ち上げが再開されるH-IIAロケットに搭載される、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型月着陸実証機 SLIMの開発・製造と運用支援を三菱電機は担当しているのだ。
三菱電機とNEC、それに三菱重工業という、いわば「オールドスペース」の3社は、日本の宇宙開発の実働部隊として、50年もの間、事業を続けてきた。日本で最初の国産人工衛星おおすみを作ったNECに、国産人工衛星を飛ばすための最初の大型ロケットを開発した三菱重工など、日本の宇宙開発史において「日本初」達成の立役者にもなってきた。
最近でも3社の達成した宇宙分野での実績はあまたある。NECが手掛けた小惑星探査機はやぶさ1と2は、世界でも初めて目標とする小惑星に到達し、惑星の砂を地球に持ち帰る(サンプルリターン)ということを達成した。
また、三菱重工は世界の競合他社と比べても異常に高い打ち上げ成功率で、これまでH-IIAロケットを打ち上げてきた。55回中54回成功している、という記録は他に類を見ず、その「定時発車」率とも合わせて、しばしば公共交通機関にも例えられるほどだ。
だが、そうした実績は、客観的な評価を得られているとは言い難い。それは海外の競合と比べても明らかだ。
これから来る民間宇宙市場の大きな成長に、オールドスペース3社は食い込むことができるのだろうか。各社の実力と、ニュースペースへの戦略は?さらには、米ロッキード・マーティンや米スペースX、あるいは、国内の新興勢といったライバルに勝てるのか。次ページから詳細に見ていこう。
記事一覧
宇宙ビジネス「370兆円産業」へ!?自動車並み巨大市場のビッグバン前夜を探検する
2023年6月26日
#1三井・三菱グループが出資を競う「宇宙スタートアップ」、3年以内に上場続々の熱風
2023年6月26日
#2日本から「宇宙ビジネス版GAFA」爆誕?人工衛星で世界唯一の技術を持つ企業が続出
2023年6月26日
#3日の丸ロケット「本当の実力」は?H3、ホリエモンロケット、有人機...22年は打ち上げゼロも
2023年6月27日
#4H3打ち上げ失敗の影に隠れた、日本の宇宙開発体制の知られざる「重大欠陥」
2023年6月27日
#5三井不動産や地方自治体が「宇宙で町おこし」に続々参入する理由
2023年6月28日
#6コンサルBIG4・電通・商社・損保も名乗り、「370兆円宇宙市場」争奪戦が熱い!
2023年6月29日
#7中国が宇宙で敵国衛星を直接攻撃も?「リアル『スター・ウォーズ』」の脅威がすぐそこに
2023年6月29日
#8「日本は宇宙産業で世界に勝てる」世界唯一の宇宙商社代表が断言するワケ
2023年6月30日
#9三菱重工、三菱電機、NECの「オールド宇宙企業」は爆発する民需に乗って逆襲できるか
2023年7月1日
#10スペースXをNo.1宇宙企業にしたイーロン・マスク流非常識経営の「凄みとアキレス腱」
2023年7月2日
#11トヨタ、ソニー、メガバンク、ゼネコン、食品...異業種約50社が今そろって「月」を目指す理由
2023年7月5日
#12「日本から時価総額数兆円企業が出るのは宇宙産業だけ」VCが熱狂、宇宙企業の"投資価値"は?
2023年7月6日
#13JAXAの迷走、宇宙開発の民間委託で躍進するNASAとの格差は開くばかり
2023年7月6日
あなたにおすすめ