パンや麺なのに「完全栄養食」、普及を阻む3つの壁とは

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パンや麺なのに「完全栄養食」、普及のための三つの壁とは写真はイメージです Photo:PIXTA

2021年夏からファミリーマートで、1日に必要とされる栄養素が全て入ったパンの販売が始まるなど、より身近な存在になろうとしている「完全栄養食」。従来の「味がイマイチ」という評価を覆し普及させることができるのか。食・料理に関わる最先端の知見を持つコンサルティング企業、シグマクシスの常務執行役員で、ベストセラー『フードテック革命』の共著者でもある田中宏隆氏に聞いた。(清談社 田中 慧)

完全栄養食が
主食の市場に参入

人間が健康を維持するために必要な栄養素を含む「完全栄養食」は、ドリンクやグミといった、どれも十分に腹が満たされそうにないものばかりだった。そのため、完全栄養食を選ぶ人は、健康にかなり気を使った食事を選ぶ「意識高い系」、もしくは、毎日の食事を考えるのが面倒という人が多かった。

しかし、昨今開発されている完全栄養食は、パンや麺類など、主食のカテゴリーに含まれるものが増えてきているのだ。

1食で1日に必要な栄養素の1/3を摂取できる完全食を、サブスクリプションにて提供するベースフードは昨夏、ファミリーマートで完全栄養食パンの「ベースブレッド」の販売を開始。また、昨年5月には、日清食品が完全栄養食の開発プロジェクトをスタートさせ、一部の店頭では既に「完全メシ」というラインで、完全栄養食のカレーメシなどを販売している。

「最近の売り方のトレンドは、完全栄養食として打ち出すのではなく、毎日食べる主食の栄養素を見直していく、というアプローチです。これまでの完全栄養食を手にとっていたのは、効率的な栄養摂取を目的とする人がメインで、その市場はかなり小さいものでした。ところが今は、完全栄養食が主食の市場に参入し始めているのです」(田中氏)

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