野口悠紀雄氏「円安は賃下げと同じ、インフレで貯金は目減り」、"安いニッポン"の末路
野口悠紀雄・一橋大学名誉教授インタビュー
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これまで円高は景気を冷やし、円安は景気を良くすると考えられてきた。しかし、その常識は崩れつつある。円安がインフレを高進させ、景気を悪化させることが常態になってきた。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#9では、野口悠紀雄・一橋大学名誉教授に、円安は日本の国益にかなわず、日本を衰退させると断定する理由について語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
円は実質的に70年代前半と
同じ水準にまで安くなった
――円の実質実効為替レート(物価上昇率で調整し、相手国との為替レートを貿易量で加重平均して求めた通貨の実質的な強さを表すレート)は1973年2月に変動相場制に移行したとき並みに安い水準になっていますね。
変動相場制移行以降、円の実質実効為替レートは上昇を続けて95年にピークをつけた後、下落基調に転じた。これは日本政府が円安政策を取ってきたからだ。
日本は95年以降、97年末から98年半ばまでの一時期を除いて2004年まで毎年ドル買い円売り介入を繰り返してきた。03年には20兆円を超える介入を実施した。13年からはアベノミクスの下、黒田東彦総裁率いる日本銀行が大幅な金融緩和策を取ってきたことで一層の円安が進んだ。為替レートが購買力平価を下回る円安になったことで実質実効為替レートは低下した。
――なぜ円安政策を取ることになったのでしょうか。
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