「インバウンド需要全滅」の日本と台湾で、経済成長に大差がある3つの理由
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昨年来、猛威を振るい続ける新型コロナウイルスの封じ込めに成功したことで、世界中から称賛を浴びている台湾。2020年のGDP成長率は前年比2.98%を記録し、約30年ぶりに中国を上回るなど、経済面でも活況を呈している。台湾経済に好況をもたらしている要因は何なのだろうか。ジェトロ・アジア経済研究所にて地域研究センター長を務める、川上桃子氏に解説してもらった。(清談社 山田剛志)
コロナ禍で需要アップの
半導体が産業の要
台湾ではコロナ禍以前より、エレクトロニクス産業(パソコンやIT企業のデータセンターで用いるサーバーおよびその部品等の生産)が経済の屋台骨。川上氏は、その中でもパソコンやスマートフォンに不可欠な部品である半導体の輸出が、現在の好景気を支えていると分析する。
「台湾には半導体の受託製造で世界の約50%のシェアを持つ『TSMC』という企業があります。コロナ禍以降、リモートワークやオンライン授業などが普及し、ネット上の活動がこれまで以上に盛んになったことで、パソコンをはじめとする情報通信機器が世界中で売れに売れ、半導体の需要が大幅に伸びています。そのお陰で去年の台湾における半導体の輸出額は前年に比べて23%アップ。世界全体の景気が冷え込んでいる中、この数字は驚異的です。コロナ禍で最も伸びている産業のひとつは間違いなく半導体です。そして台湾は以前から半導体の輸出が経済の要でした。これが現在の台湾の景況を支えている最も重要なファクターです」
国内消費が活発化し
パンデミック以前の水準を凌駕
日本ではコロナ禍以降、数少ない成長市場であったインバウンドがほぼ全滅し、観光業を中心に深刻な影響を被っている。台湾は日本と並ぶ東アジア屈指の観光大国であるが、インバウンド需要減少による経済打撃をどのようにカバーしているのだろうか。
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