東アジアで1人負け、日本のコロナ対策が「非科学的」といわれる根拠
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新型コロナウイルスの"第3波"が止まらず、政府はついに2度目の緊急事態宣言の発出を決めた。感染拡大は、過剰な隔離を前提にPCR検査を抑制し、無症状者を放置したためだ。厚生労働省の医系技官らが検査精度について、いまだに世界標準とズレた見解にこだわっているためだ。アジアの主要国で最も「科学的でない」とされる対策を見直さない限り、"第4波"も阻止できず、経済はますますダメージを被ることになる。(医療ガバナンス研究所理事長 上 昌広)
日本は東アジアで経済、死亡率「一人負け」
結論は「日本のコロナ対策が間違っていた」
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大が止まらない。政府も対応を余儀なくされている。12月14日、政府は「Go To トラベル」を12月28日から2021年1月11日まで、全国で一斉停止することを決めた。東京・大阪・名古屋・札幌・広島については先行して止める。
ただ、多くの医師は、このくらいでは事態は改善しないと考えている。12月18日、東京都病院協会は「緊急メッセージ」を公開した(https://tmha.net/important/20201218_message.html)。「現在、東京都では医療崩壊直前です」と現状を分析し、「緊急事態宣言やロックダウンに匹敵する極めて強力な対応を行うことが不可欠」と提言している。
このような状況について、「Go To トラベル」に代表される経済政策を遂行しようとする菅政権と、感染抑制のため経済活動を規制しようとする医療界のあつれきに焦点を当てて解説する人が少なくない。
例えば『FACTA』は12月20日公開のオンライン記事で「菅官邸VS尾身分科会『冷たい戦争』」という記事を掲載し、「尾身は飲食店の営業時間短縮や、いわゆる『ステージ3』相当地域との往来自粛、ステージ3地域出発分も『Go To』からの一時停止を求めた11月25日の分科会提言を説明。菅は『お話は承った』と述べるだけで具体的な対応には言及せず、ぎくしゃくした空気が流れた」と紹介している。
私は、このような論調に違和感を覚える。国内でコロナが流行すれば、ロックダウンであれ、緊急事態宣言であれ、人の接触を制限せざるを得ない。社会活動を制限するため、甚大な経済ダメージを与える。菅首相が「Go To トラベル」にこだわり、緊急事態宣言などの強硬手段に躊躇するのは、日本の現状を考えれば無理からぬ側面もある。
ところが、このことをあまりメディアは報じない。下表に東アジア諸国の現状をまとめた。日本の経済状況が突出して悪いことがご理解いただけるだろう。コロナ対策の目的は人命を守ることと、国民の財産を守ることだ。日本はGDP前年同期比だけでなく、人口あたりの死亡数も最悪だ。
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下表は、感染拡大が深刻な欧米主要国との比較だ。7〜9月期のGDP対前年同期比で日本より悪いのは、英国とスペインしかない。日本のコロナ対策は間違っていると結論していい。
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