○しろまる調査課の永井邦仁です。
キジ山古墳群は、番号が付いているものだけで約40基になる古墳群です。今回は、山頂付近の古墳を探検してみます。
キジ山の麓をめぐる道に沿って北東に進み、幅の広い県道(東三河環状線)を越えると、赤岩自然歩道の案内板にたどりつきます。
案内板をみるとこの場所が、弓張山地の山稜をゆくメイン・ルートから西へのびた尾根の先近くにあることがわかります。ここから山に入れるのですが、実はこの道、鎌倉街道と推定されているものです。
木もれ日の中を堀割状の道をのぼります。ルートは峠を越えて北側へ下ると牛川人出土地の近くを抜けて豊川まで下り、渡河点からは三河国府の方向に至るようです。
峠は尾根の鞍部にあります。
ベンチのある峠に来ると、尾根筋を縦走する道を交差しています。南からのぼってくると、左へ曲がればキジ山方向になります。
峠からはキジ山の山頂に向かって少し急なのぼり道になっています。それをのぼりきると山頂(三角点)です。ここの標高は135mです。
山頂の周囲は急傾斜ばかりなのですが、その南東側に横穴式石室がみえます。足元に注意しながら少し下ると、石室の壁らしい石材が露出しています。これがキジ山31号墳です。
尾根筋は山頂から南西方向へのびています。少し下ると傾斜が緩くなり、雑木林のところどころに小さな高まりがみえてきます。キジ山29・30号墳です。とはいえ築造時の状態からはほど遠く、遺跡地図を参照しながらでないと気づかないかもしれません。
そこからもう少し歩くと岩がゴツゴツしたところを通過して、次の古墳にたどり着きます。周囲に石材が散乱しています。おそらくこれがキジ山26号墳でしょう。石室の凹みが残っていますが天井石はありません。不要にさわらずに、開口方向などをチェックしておきます。
そろそろ迷子にならないように、来た道を戻ります。
このように、キジ山古墳群では、尾根筋の緩斜面に立地するものと、斜面に貼り付くようにして立地するものの2パターンがあります。
○しろまる情報センターです。
昨年度刊行された、報告書12冊、年報 平成26年度のPDF ファイルを公開しました。
「ダウンロード」、もしくは「PDF 一覧」より、ご利用ください。
○しろまる調査課の永井邦仁です。
少し間があいてしまいましたが、暖かくなりましたので、古墳群歩きを再開しましょう。古墳群のある丘陵の山頂から西側に少し下ったところがKJ10C 区という調査区です。
伐採を終わった調査区では、古墳らしい地形は見当たらなかったのですが、表土はぎを終えて検出を始めると、調査区の端([画像3]の★印)で須恵器の破片がいくつも出てきたのです。
▲さんかく[画像3] 遺構検出中のKJ10C 区(★印地点で須恵器が出土)
出土した須恵器は、フラスコ瓶と呼ぶ長頸瓶や口の広い短頸壺でした。その後出土地点を掘削すると、横穴式石室の入口付近の墓道にあたることがわかりました。須恵器の年代は7 世紀後半であり、石室もその頃に造られたと予想しました。
ところが、須恵器出土地点の北側で検出された横穴式石室は、天井石がほとんどなくなり、側壁も大きく崩れてしまっていましたが、7 世紀後半よりももっと古い形態であると考えられたのです。そこで石室内の遺物を求めて詳細に土を調べることになりました。
▲さんかく[画像5]KJ10C 区018SZ の石室内側壁崩落状況(南から)
すると、石室内から2 点の耳環と、7 世紀初頭までさかのぼる須恵器の蓋が出土したのです。耳環は細く小さなものでこれも6 世紀末から7 世紀前半と推測されます。このことから、石室が造られたのは7 世紀初めから前半と考え、墓道で出土した須恵器は、後に行われた祭祀に関係するものと考えられます。
▲さんかく[画像7]]KJ10C 区018SZ の石室完掘状況(南から)
当センターでは、平成27年度に以下の遺跡を発掘調査する予定です。
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*調査予定期間:4月〜11月
1.設楽ダム関連遺跡 範囲確認調査(設楽町) 1,500平米
2.笹平遺跡(設楽町) 7,000平米
3.大名倉丸山遺跡(設楽町) 610平米
4.大栗遺跡(設楽町) 2,360平米
5.川向東貝津遺跡(設楽町) 2,740平米
6.滝瀬遺跡(設楽町) 1,190平米
*調査予定期間:5月
7.東小笹遺跡 範囲確認調査(豊田市) 30平米
*調査予定期間:5月〜8月
8.岡山南遺跡 範囲確認調査(西尾市)
9.岡山南遺跡(西尾市) 950平米
*調査予定期間:5月〜7月
10.北丹波・東流遺跡(稲沢市) 390平米
*調査予定期間:下半期
11.下懸遺跡(安城市) 280平米
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