(記事公開日:2024年8月8日)
耐障害性や性能を高める目的で、複数のストレージをまとめてひとつのドライブとして使用する技術をRAIDと呼びます。RAIDにはいくつかの種類があり、そのひとつがRAID 1です。
RAID 1を組んで運用しようと考えているものの、特徴や他のRAIDとの違いが分からず困っている方もいるのではないでしょうか。この記事では、RAID 1の特徴やメリット・デメリットを紹介します。
RAID 1の特徴や他のRAIDとの違いを知ることで、RAID 1が自分の目的に適しているか判断しやすくなるでしょう。
ここでは、RAID 1の特徴や基本的な動作の仕組みとあわせて、どのような目的に適しているのかを紹介します。RAIDを組む目的によってRAID 1が向いているかどうか異なるため、作業前にチェックしておきましょう。なお、RAID 1を組むためには2台のストレージが必要です。
RAID 1はミラーリングと呼ばれ、2台のストレージを1組のアレイにして、それぞれのストレージに同じデータを記録する方法です。
RAID 1を組んだ2台のストレージは全く同じデータを保存しており、片方が故障しても、正常に動作しているもう一方にアクセスできます。ただし、2重にデータを記録する都合上、使用できる容量は搭載したストレージの総容量の1/2です。
データが消失するリスクを低減できるため、重要なデータを保管するストレージなど、高い耐障害性が求められる用途に適したRAIDです。
RAID 1を組んだストレージにデータを記録する場合、書き込むデータはいったんRAIDコントローラーに渡されます。受け取ったRAIDコントローラーはそのデータを複製し、2台のストレージそれぞれに記録する仕組みです。
したがって、ユーザーが手動で2台のストレージにデータを保存する必要はありません。なお、上記の記録プロセスはそれぞれのストレージに対してほぼ同時に実行されます。
同一アレイ内のストレージが1台故障しても、RAID 1は正常に稼働します。しかし、もう1台のストレージが故障すると動作しなくなるため、一方のストレージに障害が発生したときは「リビルド」と呼ばれる復旧作業が必要です。
RAID 1を組んでいるアレイの場合、故障したストレージを交換し、正常に稼働しているストレージからデータをコピーします。同一アレイ内のストレージは同じデータを保存しており、リビルド時に正常にコピーできれば、故障前の状態で使用可能です。
RAIDは多種多様ですが、中でもRAID 1を選ぶメリットは何があるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。自分がRAIDに求めていることが下記に該当するのであれば、RAID 1を組むことを検討するとよいでしょう。
RAID 1を組む主な目的は、冗長性の確保です。同じデータを複製して保存するため、同一アレイ内にある一方のストレージが故障しても、もう一方を使用してデータにアクセスしたりシステムを動かしたりできます。
RAIDを組んでいない場合、ひとつのストレージが故障するとシステムがストップするのが通常です。RAID 1を組むことでシステムが正常に動作する時間が延びて、同時にデータが失われるリスクを低減できます。
正常に動作する別のストレージからデータを復旧できるため、1台のストレージのみを利用する場合に比べて、安心して運用できるのが魅力です。
保存したデータは、RAIDコントローラーを通じて同一アレイ内のストレージ2台から同時に読み込むため、1台のストレージのみを使用する場合より高速で読み込めるのが特徴です。
大容量データを読み込むときはもちろん、HDDのように速度が遅いストレージを使用するときも大きなメリットといえます。具体的な読み込み速度はストレージやRAIDコントローラーの性能によって異なるため、注意しましょう。
RAIDを組む際は同一アレイ内に複数のストレージを接続する必要があります。RAID 1は2台のストレージで構築でき、最低3台〜4台のストレージを必要とするRAID 5やRAID 6と比較すると低コストで組めるのがメリットです。
冗長性を高める必要があるものの、多くのコストをかけられないケースでは、低コストで構築できるRAID 1をおすすめします。
冗長性を高める面で大きなメリットがあるRAID 1ですが、デメリットもいくつかあります。これからRAID 1を組もうと考えている方は、以下のデメリットも事前に確認しましょう。デメリットを許容するのが難しい場合、より信頼性が高い別のRAIDを検討する必要があります。
同じデータを複製して保存するため、使用できる容量はストレージ1台分です。2TBのストレージ2台(合計4TB)でアレイを組んだ場合、使用できる容量は2TBに限られ、容量効率はあまりよくないといえるでしょう。
同一アレイ内のストレージに容量差があるケースは、特に注意が必要です。1TBと2TBのストレージでアレイを組むと、使用できる容量は少ないほうのストレージに合わせた1TBで、総容量の1/3になります。
両方のストレージ容量を合計すると3TBですが、使用できる容量はミラーリング領域を含めて1TB×2の合計2TBで、残り1TBは使用できません。容量効率を高めるためにも、同一アレイに組み込むストレージは同じ容量にするのがおすすめです。
RAID 1では同じデータをほぼ同時に2台のストレージに保存する仕組み上、1台のストレージのみに保存する場合に比べて書き込み速度が低下します。読み込み速度が速くなっても、書き込み速度まで速くなるわけではない点に注意しましょう。
動画のような大容量データを保存するときは、完了まで時間がかかるおそれがあります。可能なかぎり時間を短くしたいなら、書き込み速度が速いストレージでRAIDを組むとよいでしょう。
耐障害性を高める目的で使用するRAIDには、RAID 5やRAID 6もあります。特にRAID 6は2台のストレージが故障してもデータを失わないため、より耐障害性に優れているのが特徴です。
RAID 1はストレージ2台で構築できて低コストである半面、他のRAIDと比較すると耐障害性に劣る場合があります。どの程度の冗長性を求めるか考えた上で、RAID 1にするか他のRAIDにするか判断することが大切です。
1台のストレージが故障して交換し、リビルドする際にトラブルが発生しやすいのもRAID 1のデメリットです。同一アレイ内のストレージを同時に調達した場合、稼働時間数が近く、同じタイミングで故障するリスクがあります。
劣化状況が同程度のストレージだと、リビルド時の負荷が原因で故障して正常に復旧できないケースがあるため注意しましょう。RAID 1は、2台のストレージが両方とも故障するとリビルドできません。
これからRAID 1を組んで運用するなら、いくつか注意したいポイントがあります。ここでは、特に注意したい4つのポイントについて詳しく解説します。リスクを軽減しつつ、より便利で快適にRAID 1を利用するためにも、事前にチェックしましょう。
RAID 1を組む2台のストレージは、同一容量にしましょう。同一容量のストレージであれば、保存容量をフルに使えるためです。
容量が異なるストレージでも組めますが、使用できる容量が少ないほうのストレージ1台分に制限されます。容量が多いストレージに使えない部分ができ、容量効率が低下するため、避けたほうがよいでしょう。
2台のストレージにミラーリングして保存するのは、あくまでも冗長性を高めるためです。バックアップ目的には使えない点に注意しましょう。
バックアップに使えない理由は、2台のストレージにほぼ同時にデータを保存するためです。操作ミスで重要なファイルを削除した場合、2台のストレージ双方からファイルが削除されます。
片方のストレージから削除したファイルを復旧できないため、バックアップとしては役立ちません。バックアップが必要な場合、定期的にデータを別のストレージにコピーするなど、別の対策が必要です。
トラブル発生時にリビルドしようとしたものの、正常なストレージが故障して復旧できなくなる現象が発生することがあります。リビルド前には、正常なストレージに保存したデータをいったん別のストレージにコピーしたほうがよいでしょう。
別のストレージにデータをコピーしておけば、リビルド中にストレージが故障してもバックアップ先のストレージから復旧できます。重要なデータを守るため、可能なかぎり対策することが重要です。
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冗長性を高めるためにRAID 1は役立ちます。ただし、同一アレイ内のストレージが同じタイミングで故障するリスクやリビルドに失敗してデータを失うリスクがあるのは事実です。
重要なシステムを運用していて、より信頼性が高い技術を使用したい方は、アイ・オー・データが提供する「拡張ボリューム」をご検討ください。ここでは、拡張ボリュームの特徴やメリットについて詳しく解説します。
同一アレイ内のストレージが似たタイミングで故障するのは、稼働時間が同程度になるためです。
その弱みを改善するため、拡張ボリュームでは読み込み時に片方のストレージのみを使用して稼働時間に差をつけます。データを保存するときは、メインのストレージに記録してからもう一方のストレージに保存する仕組みです。
同一アレイ内にあるストレージの稼働時間に差をつけて劣化度合いをコントロールすれば、同時期に故障するリスクを低減できます。
一般的なRAID 1では、空き容量を含めてストレージ全体をリビルドします。しかし、拡張ボリュームでは使用している部分のみリビルドが可能です。
必要な部分のみをリビルドすることで、全体をリビルドする場合に比べて復旧にかかる時間が短縮できます。異常が発生した際にシステムが停止する時間を短縮できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
ストレージを使用しているうちに保存するデータが増え、容量の拡張が必要になるケースがあります。拡張ボリュームは同一アレイ内のストレージを順番に交換することで、データを保存したまま容量を増やせるのがメリットです。
容量を拡張する際は、最初に片方のストレージを大容量のものに交換します。その後、もう一方のストレージを交換することで全体の容量を拡張可能です。
なお、稼働状態でストレージを換装するには、ホットスワップに対応した商品が必要です。アイ・オー・データではホットスワップに対応したNASをラインアップしています。ぜひご検討ください。
法人向けストレージのデータ消失リスクを低減!RAIDにかわる冗長化技術とは
RAID 1は冗長性を高める目的で、2台のストレージに同一データを保存します。片方のストレージが故障してもシステムを動かせるものの、同じタイミングで故障するリスクがあるのがデメリットです。
アイ・オー・データでは、RAID 1の弱みを解消する技術である拡張ボリュームを採用したストレージ商品を販売しています。より高い冗長性を求める方は、ぜひ拡張ボリュームに対応した外付けストレージやNASをご検討ください。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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