(記事公開日:2024年8月8日)
読み書き速度が速く壊れにくいため、SSDはPC用のストレージとして幅広く用いられています。ただし、SSDにも寿命があります。SSDが故障するとデータの消失につながるため、寿命の目安や寿命が近づいたときに出る症状が気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、SSDの寿命がどの程度なのか、コンディションが低下するとどのような症状が出るのかを紹介します。この機会にチェックし、自分が使用しているSSDのコンディションを把握するとよいでしょう。
一般的に、SSDの寿命は10年程度といわれています。しかし、実際にはより長い期間正常に動作するケースが多く、あくまで目安と考えるとよいでしょう。
SSDに限った話ではありませんが、寿命は使い方に大きく左右されます。商品ごとの個体差もあるため、寿命を正確に予測するのは難しいでしょう。
SSDはフラッシュメモリーにデータを記録するタイプのストレージです。フラッシュメモリーが記録できる回数には上限があり、上限に達してデータを記録できなくなるとストレージとしての役割を果たせなくなります。この状態に陥ったら、寿命が来たと判断できるでしょう。
SSDの耐久性を測定する指標はいくつかあります。ここでは、指標として用いられる代表的な数値として「TBW」と「DWPD」について解説します。SSD選びで耐久性を重視する方は、それぞれの数値が何を示すか、どのように理解すればよいか、確認しておきましょう。
TBW(Tera Byte Written)は、対象のSSDに合計でどの程度のデータを記録できるかを示した数値です。TBWの数値が2,400であれば、合計で2,400TB(約2.34PB)のデータを記録できることを意味します。
これまでに記録した総データ量がTBWの数値に近づいたら、寿命が近いと判断して新しいSSDに交換するのもひとつの方法です。
ただし、TBWは一定のルールにしたがって測定しているものの、無条件で信頼できるものではありません。上限まで余裕があるにもかかわらず故障するケースもあるため、過信しないようにしましょう。
DWPD(Drive Writes Per Day)は、記録できる総データ量を商品の保証期間で割り、さらに当該ストレージの容量で割って算出した数値です。この数値は、SSDの全容量を書き換える場合に、1日当たり何回書き換えられるかを示します。
たとえば、容量2TBで保証期間が5年間のSSDで、DWPDの数値が15の場合、毎日30TB(2TB×15回)のデータを書き換え続けても保証期間の5年間は正常に動作するという意味です。
SSD購入時に耐久性を重視するのであれば、DWPDの数値が大きいものを選ぶのもひとつの方法といえます。
使用しているSSDが故障すると、保存したデータの救出が難しくなります。そのため、SSDの寿命が近づいたら、速やかに交換するといった対策が必要です。
ここでは、SSDの寿命が近いときに発生しがちな3つの症状を紹介します。該当する症状が出たときは、バックアップしてデータを保護しましょう。
SSDの寿命が近づくと、リード・ライト速度が低下し、新たなファイルの書き込みや既存ファイルのコピーに時間がかかるケースがあります。最近コピーにかかる時間が大幅に長くなったと感じるのであれば、注意が必要です。
また、ファイルを開く際に異常に時間がかかる場合も、読み込み速度が低下しているケースが考えられます。今まで見られなかったような速度低下が発生したときは、速やかにデータをバックアップして故障に備えましょう。
保存したファイルにアクセスしたときにエラーが発生する場合やPCが突然フリーズする場合もSSDの寿命が疑われます。前者はファイルを保存するSSDが、後者はシステムドライブとして使用しているSSDが危険です。
システムドライブに問題がある場合、PCが突然シャットダウンすることがあります。全く異なる原因でファイルへのアクセス不可やフリーズが発生するケースもありますが、原因のひとつとして意識し、早めにデータをバックアップして備えましょう。
内蔵SSD・外付けSSDを問わず、接続したSSDをPCが認識しない場合も寿命が疑われます。PCにSSDが表示されなくなったときは、ケーブルの状態やポートへの差し込み状況をチェックし、正常に接続されているか確認します。
接続状態が正常であるにもかかわらず認識しないのであれば、SSDが故障したと判断できるでしょう。この場合、新しいSSDへの交換が必要です。
認識したりしなかったりを繰り返しているときは近いうちに故障するリスクが高いため、速やかにデータをバックアップしましょう。
他のパーツと同様に、SSDも故障自体を防ぐのは不可能です。しかし、使い方を工夫して故障リスクを低減することはできます。
ここでは、SSDの寿命を延ばして、故障するリスクを減らすのに有効な使い方を紹介します。新しいSSDを購入するときやPCを買い替えるときは、参考にしてみましょう。
SSDには読み書きできるデータ量の上限があるため、1台当たりの読み書き量を減らすのは寿命を延ばす上で有効です。したがって、複数のストレージを併用し、データの読み書きを分散するとよいでしょう。
たとえば、OSをインストールするシステムドライブとデータを保存するドライブを分ける使い方があります。さらに、それぞれのドライブを耐久性が高いSSDにすれば、故障のリスクを低減できるでしょう。
容量が大きいSSDを搭載し、空き容量に余裕を持たせるのも寿命を延ばす上で有効です。SSDの容量に余裕がないと、同一メモリーセルの書き換え回数が増え、故障リスクが高まります。
SSDの空き容量が十分であれば、ウェアレベリングによってデータを記録するメモリーセルが分散化され、その分故障リスクを低減できます。SSDを購入するときは、容量に余裕がある商品を選びましょう。
また、SSDには容量が大きいものほどリード・ライト速度が速いという特徴があります。余裕のある容量のSSDを搭載することは、快適性の面でもメリットが大きいといえるでしょう。
1TBのSSDはどこまで使える?用途に合った商品の選び方を紹介
どのような対策をしても、SSDが故障しなくなることはありません。故障は起こり得るものとして、データを保護することが重要といえます。
データ保護に役立つ方法のひとつがRAIDです。RAIDにはさまざまな種類があり、データを保護する目的では以下が用いられます。
特に重要なデータを保存している場合、耐障害性を高めるのに役立つ構成のRAIDを組むとよいでしょう。
SSDは高温環境に弱く、温度が高い状態が長時間続くと故障リスクが高まります。また、安全装置のサーマルスロットリングが働いて読み書き速度が低下し、快適性に影響することもあるため注意が必要です。
冷却性能を高めることで、高温環境で長時間使用することを防げます。具体的には、ヒートシンクを搭載したりPCケース内のエアフローを確保したりするとよいでしょう。
特に内蔵ストレージとして使用するケースが多いNVMe接続のM.2 SSDは発熱が大きいため、きちんとエアフローを確保して冷却する必要があります。
使用しているSSDの寿命が近いのか、故障するリスクがどの程度なのか、知りたいこともあるでしょう。そのようなときは、CrystalDiskInfoをはじめとしたストレージのコンディションを測定する専用ソフトを使用して確認しましょう。
専用ソフトを使用すると、これまでの使用時間や総書き込み量が分かります。SSDは書き込み量に上限があるため、総書き込み量の数値をメーカーが公表しているTBWの数値と比較すれば、寿命が近いかどうかある程度判断が可能です。
TBWの数値はあくまでも目安ですが、総書き込み量がTBWに近づいている場合、症状が出ていなくてもSSDの交換を意識したほうがよいでしょう。
リード・ライト速度の低下をはじめ、何らかの症状が出ている場合、SSDの寿命が近いと考えられます。いつ故障してもおかしくないため、速やかに必要な作業を済ませてデータの消失を防ぎましょう。ここでは、SSDが故障する前にやっておきたいことを紹介します。
SSDの寿命が近づいたら、すぐにデータをバックアップしましょう。特に定期的にバックアップを取っていない場合、速やかに作業しないと大切なデータを失いかねません。
PCがSSDを認識しているうちに外付けストレージにデータをコピーすれば、故障してもデータの消失を防げます。普段から定期的にバックアップを取り、データをきちんと保存している場合、バックアップ作業を急ぐ必要はありません。
寿命が近いSSDを使用し続けると、ある日突然故障して一切認識しなくなるリスクがあります。システムドライブであればOSが起動しなくなり、正常にPCを使用できません。
そのため、まだ動いているうちに新しいSSDを購入し、交換するのがおすすめです。いったんデータをバックアップしてSSDを交換し、新しいSSDにリストアすれば、これまでと同じようにPCを使えます。
内部のデータのバックアップに使用できるストレージは、クラウドストレージや外付けストレージ、NASとさまざまです。それぞれにメリット・デメリットがありますが、特にこだわりがなければ、手軽に調達・使用できる外付けストレージを選ぶとよいでしょう。
外付けストレージには、ポータブルSSDやスティックSSD、USBメモリーなど多種多様な商品があります。それぞれ価格や容量、使い勝手が異なるため、自分の環境に合ったものを選びましょう。
あなたはどれを選びますか?ポータブルSSDラインアップ。
寿命が近いSSDの買い替えに伴い、データのバックアップに使える外付けストレージを探しているなら、コンパクトで使いやすいスティックSSDをご検討ください。
アイ・オー・データでは、使いやすいスティックSSDとしてSSPE-USCシリーズを販売しています。利便性・汎用性が高いスティックSSDを探している方におすすめです。
SSPE-USCシリーズは、本体にUSB-AポートとUSB-Cポートの両方を搭載しているため、USB-CポートしかないMacBookやiMac、スマホにもそのまま接続可能です。
バックアップデータを別のPCに転送する用途にも使いやすいのがメリットといえるでしょう。また、別途USBケーブルや電源コードを接続する必要がなく、簡単に使えるのも魅力です。
多くのデバイスでスムーズに使える便利なスティックSSDを探している方は、ぜひSSPE-USCシリーズをご検討ください。
各USBポートは最大10Gbpsの通信速度を実現したUSB 3.2 Gen 2に対応しており、最大転送速度はリード530MB/s、ライト450MB/sです。速度が速く、大容量のデータもスムーズに転送できます。
そのため、SSDの買い替えに伴って多くのデータをバックアップしたい方におすすめです。速度が遅いとバックアップ・リストアに時間がかかってしばらくPCを使えません。SSD選びにおいて転送速度は重要な要素といえます。
アイ・オー・データでは、万が一のストレージ故障に備えて、有料のデータ復旧サービスを提供しています。スティックSSDを使用中に間違ってフォーマットしたなど必要なデータを削除した際は、ぜひデータ復旧サービスの利用をご検討ください。
なお、本サービスはスティックSSD以外に、HDDやNAS、USBメモリーでも利用可能です。他メーカーのストレージにも対応しているため、何らかの理由でデータが消失して困っている方はご相談ください。
USB-A&USB-C®コネクター搭載!幅広いデバイスに対応するスティックSSD「SSPE-USCシリーズ」
SSDの寿命の目安は10年程度と比較的長いものの、ある日突然故障することがあります。いつ故障するか予測するのは難しいため、日頃からデータをバックアップすることが重要です。特に故障の兆候と思われる症状が発生したら、速やかにバックアップを取って備えましょう。
アイ・オー・データでは、データのバックアップに役立つスティックSSDを販売しています。転送速度が速い商品や大容量の商品など多種多様なものをラインアップしているため、バックアップするデータサイズに応じて適したものをお選びください。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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