(記事公開日:2024年7月12日)
回復ドライブとは、利用中のPCに不具合が発生した際に工場出荷時の状態に戻すときや、OSを再インストールするときに使用する修復機能です。
Windows 8以降のOSに搭載された機能で、USBメモリーやスティック型のSSDに回復ドライブを作成しておけば、購入時に近い状態に復旧できます。
しかし、回復ドライブを一度も作成したことのない人はもちろん、回復ドライブの作成方法や復旧手順を知らない人もいるのではないでしょうか。本記事では、回復ドライブの具体的な作成方法やPCの復旧手順を紹介します。
Windowsの回復ドライブは、主にPCに不具合が発生し、OSが起動しなくなった際に使う修復機能です。OSが正常に起動する状況でも、作成した復元ポイントに戻して動作を正常化する手段として有効で、初期状態にも戻せます。
PCを日常的に使用していると、どのようなトラブルが発生するか分かりません。急な故障や不具合でOSが起動できなくなっても、回復ドライブを作成しておけば、システムを購入時の状態に復元できます。
予期せぬ不具合やシステムトラブルに備えて、PCを使い始める時点で回復ドライブを作成しておきましょう。
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回復ドライブは、外部のUSBメモリーに作成するのが一般的です。多くの場合、取扱説明書に必要な記録媒体の記載があるため、事前に確認しておきましょう。ここでは、ドライブの作成に必要な容量や注意点を紹介します。
システムの復元に使用する回復ドライブを作成する際は、32GB以上の容量のUSBメモリーを用意しましょう。32GB未満の容量しか保存できない場合、途中でドライブの作成に失敗するおそれがあります。
一般的なUSBメモリーでも問題ありませんが、スティックSSDなら、より高速にデータの読み書きが可能です。デバイス間のデータのやりとりに使うUSBメモリーとは異なり、特定のデバイスの容量拡張を目的とした記録媒体です。
回復ドライブは、外付けのHDDやポータブルSSDでも作成できます。ただし、耐久性や利便性を考えると、USBメモリーかスティックSSDがおすすめです。
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回復ドライブの作成前には、途中でPCがスリープモードに入らないように設定しましょう。購入時の設定のままだと、デスクトップPCは30分程度、ノートPCは15分程度でスリープ状態になるおそれがあります。
自動的にスリープすることで回復ドライブの作成が中断しないように、次の手順で設定を変更しましょう(Windows 11の場合)。
1.スタートボタンの「設定」から「システム」を選択
2.「電源とバッテリー」から「画面とスリープ」を選択
3.「画面とスリープ」内の項目をすべて「なし」に変更
Windows 10の場合、スタートボタンの「設定」から「システム」を選択し、左メニューの「電源とスリープ」から設定の変更が可能です。
Windows 11で回復ドライブを作成する具体的な手順を解説します。Windows 10でも手順はほとんど変わらないため、作成できるようにしましょう。回復ドライブを作成する際、ドライブを作成する記録媒体以外の機器は、すべてPCから取り外す必要があります。
まずは、次の手順でコントロールパネルを選択し、「システムとセキュリティ」の項目から「高度な回復ツール」を開きましょう。
1.スタートボタンから「すべてのアプリ」を選択
2.アプリ一覧から「Windowsツール」を選択(「W」の欄にある)
3.「Windowsツール」内の「コントロールパネル」をダブルクリック
4.「コントロールパネル」内の「システムとセキュリティ」を選択
5.「セキュリティとメンテナンス」を選択
6.画面下部の「回復」をクリックして「高度な回復ツール」を開く
なお、コントロールパネルの表示方法が「カテゴリー」ではなく「アイコン」の場合、一覧から直接「回復」を選択できます。
次に、高度な回復ツールから回復ドライブの作成に進みます。
1.「回復ドライブの作成」を選択
2.「ユーザーアカウント制御」の画面が出た場合は「はい」をクリック
3.回復ドライブの作成画面を確認したら「次へ」をクリック
4.「お待ちください」と表示されるので、しばらく待つ
5.「USBフラッシュドライブの接続」の画面が表示される
6.回復ドライブの作成に使用する記録媒体をPCに接続する
手順3の回復ドライブの作成ウィザードでは、画面下の「システムファイルを回復ドライブにバックアップします」がチェックされているか確認しましょう。チェックが入っていれば、回復ドライブによりPCを初期状態に戻せます。
回復ドライブを作成するUSBメモリーやスティックSSDを接続したら、ドライブを指定します。
1.「USBフラッシュドライブの選択」の画面に、保存先にするドライブがあるか確認する
2.「使用可能なドライブ」から作成するドライブ名を選択して「次へ」をクリック
3.「回復ドライブの作成」の画面で「作成」をクリック
4.「回復ドライブを作成中」と表示されたら、完了するまでしばらく待つ
回復ドライブの作成には1〜2時間かかる場合もあるため、誤って電源を落としたり、スリープモードにしたりしないように注意しましょう。作成が終わって「回復ドライブの準備ができました」と表示されたら、「完了」をクリックします。
回復ドライブを利用して、PCを復旧する手順も覚えておきましょう。不具合によりWindowsが起動しなくなっても、回復ドライブを使用すれば、PCを初期状態に戻せます。BIOSで起動順位を調整した上で、システムの復元を図りましょう。
作成した回復ドライブを使ってOSを復旧する場合、まずはBIOSの起動順位を変更する必要があります。回復ドライブに優先的に接続するように設定を変更しなければ、Windowsが起動するため注意が必要です。
次の手順で起動順位を変更し、回復ドライブとして使用する媒体を最上位にしましょう。
1.Boot項目を選択して「起動」に関するメニューを表示する
2.「Boot Option」や「Boot device priorities」を選択してEnterキーを押す
3.「Boot Option#1」を、回復ドライブを起動する媒体に変更(「UEFI:USB Disk」「UEFI:USB Flash Disk」など)
なお、PCのマザーボードによっては、起動順位を変更しなくてもBootメニューから直接起動できる場合もあります。マザーボードによってBIOSの機能は異なるため、事前に確認しておきましょう。
回復ドライブとする記録媒体から起動した場合、まずは「キーボードレイアウトの選択」の画面が表示されます。
一覧から「Microsoft IME」を選択すると、オプションの選択画面で「ドライブから回復する」「トラブルシューティング」といった項目を確認できます。いずれを選んでも、システムの復旧が可能です。
「ドライブから回復する」を選択した場合、ファイルの削除のみをするか、ドライブをクリーンアップするかを選べます。PCを使い続ける場合、前者を選択しましょう。その後、「回復」をクリックすると、システムを初期化できます。
「トラブルシューティング」から「システムの復元」に進み、復元ポイントに戻す方法も有効です。ドライブをクリーンアップするとOSのインストール後まで戻り、復元ポイントを利用すると、作成時点のポイントに戻ります。
回復ドライブでシステムを復旧したら、初期設定でPCを使用可能な状態にしましょう。ウィザードにしたがって設定すれば、再びWindowsを使用できます。
ドライブの回復でファイルの削除やクリーンアップをした場合、すべてのアプリや個人用ファイルが削除されるため注意が必要です。復旧後も使用したいアプリやファイルは、再インストールしやすい状態にし、データのバックアップも取っておくとよいでしょう。
BIOSから起動順位を変更した場合、回復処理が完了したら、必ず元の設定に戻す必要があります。再起動後は、再びBIOSの「起動」項目から起動オプションの優先順位を変更しましょう。
回復ドライブを作成・使用する際は、次の点に注意しましょう。
作成先のドライブを確認するとともに、データを暗号化する場合、回復キーを取得する必要があります。回復ドライブは定期的に作り直し、新しいバージョンにしましょう。
回復ドライブは、32GB程度の容量を持つ記録媒体なら作成が可能なため、大容量の外付けHDDに複数の回復ドライブをまとめて保管しようと考える人もいます。
しかし、回復ドライブを作成した記録媒体に保存したデータは、使用できなくなるため注意が必要です。回復ドライブに使用した容量以外は、どれだけ余裕があってもアクセスできません。
したがって、回復ドライブ専用のUSBメモリーやスティックSSDを用意し、PCの不具合やトラブルに備えて保管することが重要です。回復ドライブを作成する際は、重要なデータを保存した外付けストレージはPCから外しておく必要があります。
ドライブを暗号化する場合には、初期化のために回復キーを取得しましょう。
WindowsにはBitLockerという暗号化機能があり、デバイスの紛失・盗難時に情報の漏えいを防止できます。BitLockerの有効化によりドライブを暗号化している場合、システムの復旧を図る際に回復キーが必要です。
回復キーは暗号化する際に、コントロールパネルの「BitLockerドライブ暗号化」から設定できます。印刷やUSBメモリーへの保存ができるため、正しく管理しましょう。
回復キーが分からずPCが正常に起動できない場合、他のデバイスからMicrosoftアカウントにログインする必要があります。デバイス項目の「回復キーの管理」から回復キーの情報を得られることを覚えておきましょう。
回復ドライブは定期的に作り直し、できるだけ新しいバージョンにすることが大事です。作成時のOSのバージョンがベースとなるため、さまざまなアップデートがあると、復旧後にPCを使えるまで時間がかかる場合があります。
復旧後に反映するWindows更新プログラムの数が少なければ、スムーズに利用を開始できるため、大型のアップデート後は作り直しておきましょう。Microsoftは毎年回復ドライブの再生成を推奨しています。
「回復ドライブを作成できません」といったメッセージが出る場合、次の原因が考えられます。対処法とともに確認しておきましょう。
上記以外にも、セキュリティソフトや常駐アプリが原因で作成できないケースもあります。一時的にセキュリティソフトを無効にしたり、システムに負荷をかけている常駐アプリを停止したりして、再度作成してみましょう。
Windowsの障害に備えて回復ドライブを作成することが重要ですが、回復ドライブがない状態で障害が起きたときはどうすればよいでしょうか。
状況によってはスタートアップ修復を活用できる場合があります。さらに、Windowsをクリーンインストールする方法もあるため、有効な対策として覚えておきましょう。
PCの動作が不安定だったり正常に起動できなかったりする場合、スタートアップ修復を活用すれば、不具合を改善できる可能性があります。Windowsが起動できる状況であれば、次の手順でスタートアップ修復を実行しましょう。
1.スタートボタンから電源アイコンをクリック
2.Shiftキーを押した状態で「再起動」を選択
3.再起動後に「オプションの選択」から「トラブルシューティング」を選択
4.「詳細オプション」の画面を表示させ「スタートアップ修復」を選択
Windowsが起動しないときは、自動修復メニューからスタートアップ修復を実行する方法もあります。起動時のエラー状態でPCを強制終了させ、電源の再投入後にロゴマークの出ているタイミングで、再度強制終了させる動作を繰り返しましょう。
自動修復画面が出たら、右下の「詳細オプション」を選択します。「オプションの選択」からスタートアップ修復を実行しましょう。
Windowsをクリーンインストールすれば、既存のプログラムの影響を受けずに済むようになるため、状況を改善できる可能性があります。
ただし、導入済みのソフトウェアをすべて削除して再度OSをインストールするため、保存したデータはすべて消えることに注意が必要です。重要なデータは事前にバックアップを取っておきましょう。
クリーンインストールをするために、まずはUSBメモリーやDVDを使ってインストールメディアを作成します。
WindowsのISOファイルは5GB程度なので、8〜10GBの記録媒体を用意するとよいでしょう。Windowsのデータは、Microsoftの公式ページから入手できます。ダウンロードしたツールを使って、インストールメディアを作りましょう。
インストールメディアを作成したら、そこからPCを起動して、セットアップを進めます。具体的な手順はPCによって異なるため、取扱説明書やメーカーの公式ページで確認しましょう。
システムに不具合が発生し、回復ドライブで復旧を図ると、Windowsにあるデータが消失する場合があります。重要なデータを失わないように、定期的にデータのバックアップを取っておきましょう。
文書ファイルや画像・動画など、種類によらず必要なデータはこまめにバックアップすることが大事です。USBメモリーやスティックSSDをはじめ、クラウドストレージにも重要なデータを残しておけば、PCが故障しても別のデバイスで利用できます。
アイ・オー・データでは、大切なデータのバックアップに使えるスティックSSDを販売しています。回復ドライブの作成に活用できるだけでなく、さまざまな画像や動画など、容量の大きいデータのやりとりにもおすすめです。
SSPS-USシリーズは、高速データ転送が可能なスティックSSDで、USB 3.2 Gen 2に対応しています。最大10Gbpsのデータ転送速度を実現できる規格で、大容量のデータも短時間で通信が可能です。
読み込み速度は最大で毎秒500MB、書き込み速度も最大で毎秒400MBを誇っています。 スティックSSDは一般的なUSBメモリーと比較して高速でデータをやりとりできるのに加えて、テレビ録画にも対応しているのが特徴です。
PCのUSBポートを利用すれば、誰でも手軽に利用できる点も魅力です。別途電力を供給する必要がなく、ポートに接続するだけでデータを読み書きできます。
容量は500GB・1TB・2TBがあり、さまざまなデータを自由に持ち運べるため、テレワークやリモートワークでの利用もおすすめです。一般的なUSBメモリーは回復ドライブとして利用し、スティックSSDを日常的に使うデータのバックアップとして活用するのもよいでしょう。
持ち運びしやすい!
超小型&高速転送のスティックSSD
回復ドライブは、PCに不具合が発生し、Windowsがうまく起動しないときに利用できる回復手段です。システムトラブルの際もスムーズに復旧できるため、定期的に作成しましょう。
USBメモリーを回復ドライブにするのが一般的ですが、近年はスティック型のSSDも登場し、高速でデータのやりとりができておすすめです。
アイ・オー・データのSSPS-USシリーズは、データを手軽に持ち運び可能で、最大2TBの大容量にも対応します。この機会に導入をご検討ください。
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