交流(正弦波)を整流し、コンデンサで平滑するとすると理想的には√2倍のDC電圧が得られる。
しかし、現実の電子回路では、良い設計をしても、√2=1.41413・・・ではなく、実効値の1.3倍程度の電圧しか得られない。そして商用電源を直接整流すると、なにもしなければ電源スイッチを入れた瞬間に、100A以上の大きな電流(突入電流)が流れる。
市販のスイッチング電源やACアダプタでは、コンデンサを充電するための突入電源を抑制するために、電源スイッチを入れる際に、抵抗などを挿入しこの電流を抑制している。
コンデンサの容量が大きいと突入電流の時間が長くなるので、特別な仕様のコンデンサを使い、リプル電圧を数V程度まで許容する設計が一般的である。電子回路用整流平滑回路では、1次側はAC100V、2次側は数Vから10数Vの電圧となる変圧器を多く利用する。
この結果、整流平滑回路は、ダイオードと抵抗が直列に入り、しかも、ダイオードの順電圧が無視できなくなる。したがって、この回路は非線形になり解析的には普通解けない。設計できない。
従来はO.H.Schedeによる設計図表(知る人ぞ知る)は使われたが、この図表は、整流後の平均電圧とリプル電圧しか示されていないので、電子回路に必要な整流後のDC電圧の谷電圧を直接には求められない。
アナログエンジニアは、1992年に"電子回路用整流平滑回路の改良設計図表"平成4電学関西連大C832で電圧の谷を求める設計図表を発表している。
同時に、順電圧を一定としたモデルで、電子回路で良く使われる回路定数範囲で、多くの事例について数値計算を行い、数値実験式を求めた。
その結果の一部は、例えば、10数VDCを出力するトランスなら、望むDC電圧とほぼ同じ実効値の変圧器が必要だという結論がでる。また、全波整流平滑に必要なコンデンサの値は、ピーク検波の場合に比べ、同じリプル電圧を得るには、ピーク検波モデルの1/2容量で済むことも示した。
実用レベルでの電子回路用電源の設計は、変圧器の取引条件、公称電圧の意味まで熟知していなければ、大抵電圧不足となる。
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