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アナログエンジニアはコロナ社から1994年に最初の本を世に出した。その時には、人には言えないくらい時間を投入した。
当時は技術士の資格はすでに取得していて、物書きのスピードはそれなりにあったが、それでも時間が掛った。
大学・高専向けの教科書を目指したので、自分の経験していない回路技術部分やhパラメータと実践で使うトランジスタモデルとの相互関係など種々纏めなければならない課題もあった。一番勉強になったのは自分だろう。
それに加えて章構成の稚拙さもあり、何度も書き直した。また、図表の作成にはCADなどを使用したので、感熱式プリンタや簡易プロッタなどの図表を紙ベースで何度も貼りつけては文章・内容をチェックした。この作業は一回の打ち出しで1週間かかった。
工学博士の学位を取得した際の審査教授の制御工学のK氏が、なぜか本執筆の指導までしてくれた。この指導なくして、その本の品質はたもてなかっただろう。今でも感謝している。なお、この本で回路学を学んだ大卒新人にも職場で出会い、判り易かったの評は著者冥利に尽きる。
今、その時のまえがきを読み返してみると、「応用技術であるアナログ回路の学習に際しては,数多くの教科書と専門書があるが,書物と実践には大きなギャップがあるものと思われる。」の1節がある。私の一連の著作の原点である。
これが、私の著作の原点である。工学は物つくりを前提にし設計に繋がるべきだというのが私の視点である。現在もその考えは変わっていない。実回路をいきなり出しても、理解できる筈はない。その実回路の裏にある設計のプロセスを開示しなければ、物つくりは判らないだろう。
大変苦労したので、まえがきの文末にフォントサイズを落として、「あらゆる技術の先駆者,教授者,学徒の幸せを祈って 」の一行を入れさせて頂いた。日本の本では珍しいが洋書では普通にある。そして、この文には妻の名前の一部を埋め込んだ。
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UA709さん おはようございます。
私が自分で本を書くきっかけは、社内高専でアナログ電子回路を教えた時、大学教科書は実践とあまりにもかけ離れていて、適当な教科書がなかったからです。hFE以外のhパラメータは実践では使わないし、データーシートにも記載がない。しかし、大学の教科書は相変わらずhパラメータで教える。これでは1石エミッタ接地回路の利得計算も現実にはできない。
どうも大学回路本のルーツは東大と東工大の某有名教授らしいです。
投稿: 5513 | 2011年11月14日 (月) 09時33分
エバースモルモデル。このモデルは、万能とは言えませんが、DC〜MHz程度であれば、良く切れます。
hパラメータは、中身の無い箱のようなもので、形はあるのですが、殆んど使えない。工学の本に係らず、数学の本でも、実用に耐える、或いは、実際に理解に導くような書籍は、まだまだ、少ないですね。
投稿: kitano@rigaku.co.jp | 2011年11月14日 (月) 10時05分
kitanoさん こんにちは
エバース・、モルモデルは判りやすいですね。私はさらにさぼって、普段は、ダイオードB-E間とC-E間hFE*IBのモデルだけ、トランジスタ回路の解析をやっています。この方法だけでも能動状態のトランジスタではCobを考慮すれば結構使えます。SPICEを使うときにはガンメルプーンモデルが多いです。
投稿: 5513 | 2011年11月14日 (月) 11時45分
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アナログエンジニさん、お早うございます。
「応用技術であるアナログ回路の学習に際しては,数多くの教科書と専門書があるが,書物と実践には大きなギャップがあるものと思われる。」その通りだと思います。いささか、ニュアンスは違いますが、「帯に長したすきに短し」のような著作物が多いですね。人によって違うとは思いますが、私の場合には、結局、自分なりのスタイルを見つけるしかなかったですね。川崎にあるT社に電話で、741の等価回路の動作を延々と説明を受けたりとか。
(・v・)/
投稿: UA709 | 2011年11月14日 (月) 08時58分