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通常、一個入り8pinのOPアンプなどでは、オフセット調整端子が外部に出ている。#1、#5ピンに指定の可変抵抗を接続し、+電源または-電源にその可変抵抗のタップを接続するのが普通だ。
アナログエンジニアはOPアンプをしばしば使うが、実は、オフセットトリミング端子を使用したことがアマチュア時代も含めて一度もない。
その理由とは、1オフセットトリムは可変抵抗が必要、2トリミングを行うには、ゼロ入力状態を作るため、少なくとも1個のスイッチか、トランスファー接点が必要、3チェック時にチェック用端子をOPアンプの出力とGNDに設ける必要がある。
この結果、回路パターンは複雑になり、部品追加の場所が必要であり、部品代そのもののコストも上昇する。実際には、組み立て調整要員の手間賃もかかる。
信頼性の面でも不利であろう。ドライ接点には普通、金メッキ接点を使うが、それでも信頼性は低下する方向だ。可変抵抗の温度特性の影響も内部回路に深く立ち入らなければ判然としない。
また、トリミングを実施すると、入力換算のオフセットドリフトの温度ドリフトが変化する。バイポーラトランジスタ入力のOPアンプなら、1°C当たりトリミング量の1/300程度の温度ドリフト特性の変化が生じうる。J-FET入力では、あまりはっきりしない。
このような訳で、オフセットトリムを行うくらいなら、もうワンレベル高い直流特性を持つOPアンプを選択する方が手っ取り早いのだ。
なお、回路記事中で、回路全体のゼロ点調整にオフセットトリム機能を使用した例を稀に見かけるが、このような回路ではオフセット電圧の温度ドリフトまで検証しておかなければ、再現性のある回路とは呼べないだろう。
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