漫画の鉄腕アトムの出力は10万馬力≒7万5000kWである。人間の子供サイズでこの出力という設定になっている。(英馬力HPと仏馬力では少し換算係数が違う)
この出力はLNG火力の単機容量あるいは超大型旅客機の最大出力に相当する。
この機械的出力を得るには、最新鋭火力で熱効率は2/3以下だから4万KW程度の放熱が必要となる。ガソリンエンジンなら15万KWの放熱能力がないと、10万馬力を出すことはできない。
大雑把な話、1秒間で体重相当の水が蒸気になるほどの廃熱がでる。今までの原動機とは次元の違う熱効率が必要だ。
動力を伝える軸も最高強度の材料を用いても、子供の腕の太さでは到底足りない。
動かすのは腕だけではないから、あちこちに現状ではモーターが必要になる。体に収容できるサイズのモータはせいぜい5馬力。しかも、電気の形で分散モータに送電するなら、電線の太さや絶縁性能が問題になる。
それでも個々の項目だけを考えれば、今のロボット技術で実現できていることは多々ある。
ジャンプは困難だが2足歩行は実現できている。顔の表情は多くの小型モータを使ってそれなりに表現できる技術もある。
視覚はかなり良い線を行っているが、触覚・圧覚・温覚など分布的センサは研究はされているが、体表全体に分布させ情報を脳(CPU)に伝達する手段がない。神経のように高密度で信号伝達の手段はまだ確立されていないだろう。
夢に水を差すようで悪いが、鉄腕アトムの10万馬力の実現を工学的にちょっと検討してみるだけで、多くの課題しかも長らくかかっても進歩が少ない本質的な課題が浮かび上がってくる。
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