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周波数特性の検討の際には、一度に多数のコンデンサを含めて計算しない方が見通しが良い。結果が複雑になりすぎるので、計算量が多く苦労する割に得るものが少ない。
1石バイポーラトランジスタによるエミッタ接地AC増幅器では、回路図中に入力結合コンデンサC1、エミッタ抵抗に並列に挿入するコンデンサC2、出力コンデンサC3が普通ある。これらはいずれも低域特性を定める。
3つの容量を1個づつ、そのインピーダンスを1/(jωCn)と置き、他のコンデンサは短絡として計算、最後にボード線図上で加算して全体特性を把握するとよい。計算時にC1、C3は、回路図に記載されていない信号源抵抗rを含めて考える必要がある。同時に3個の容量を考慮して文字式のまま計算するのは得策ではない。
1個づつなら、各コンデンサの効きかたを把握できる。
C1はトランジスタのB-E間の入力抵抗をRiとして、(Ri+r)C1の時定数に対応する低域カットオフ周波数が決まる。
C2は、コレクタ抵抗をRc、エミッタ抵抗をREとして、極低域での利得はRc/REとなり平坦である。最初の極はω1=hfe/(C2・(r+Ri)であり、第2の極は1/(C2RE)でこの間6dB/octで利得は上昇する。
C3は次段の負荷を考慮して解く必要がある。
高域特性は、トランジスタに寄生する容量はB-E間のCiおよびC-B間の帰還容量Cobで決まるが、エミッタ接地回路ではCobでほとんど決まる。現実的な数値を考慮して結果式を簡略化すると、Cob・rの時定数の電圧利得倍の時定数に対応する周波数に高域極が出来て、この極が支配的になる。Cobを含む計算過程は結構複雑であるが、どのような計算をしてもCobが電圧利得倍(絶対値)に見えるミラー容量として働くことが判る。
1石トランジスタ増幅器の周波数特性の予測ができれば、もっと複雑な差動増幅器などの周波数特性への足がかりとなる。
もっとも素子数の少ないエミッタ接地回路であるが、その周波数特性を解析的に計算過程を示した書籍は少数派である。自力で考えるには結構ハードルが高いのだ。
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