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どの分野の計測においても、測定の精密さ(精度)と確からしさ(確度)は区別して考えなければならない。
アナログエンジニアは通常、読み取れるだけ読み取ってデータを記録に残す習慣だ。デジタル計器の場合には、最小桁のふらつきの平均値を読み取ることも少なくない。計器の数字を鵜呑みにしているわけではないが、微小な変化や入出力関係の関数系はわかる。
今では機会が少なくなったが、30cm超の目盛長をもつ計器では、最小目盛の端数まで通常読む。
なぜ、そうしているか? 電子計器のアナログ部には基準抵抗や基準電圧が内蔵されている部品の確度に依存しその確からしさは変わるが、線形性はよりよい場合が多いし、指示が不連続になることは案外少ない。従って、読めるだけ読み取れば、それなりの意味がある。もちろん、確度は国家標準との整合性の目安であって、読みった数値が真の値と系統的にずれている可能性はある。それでも、読み取れるだけ読む意味はある。
確度を超えて読み取った数値は意味がないという方も存在するが、計器の原理・内部構造を知っていれば、読み取れるだけ読むことの意味があることは理解できるはずだ。
精度・確度論争の前に、測定対象が安定であるかどうかを確かめることが最重要である。
測定器を接続したら、条件を変えずにしばらく見守る。測定値が意識的な外乱がないのに測定のたびごとに変化すれば要注意。実験条件がきちんと制御されていないか、対象物がドリフトしているかの問題が存在する。
1サイクルの測定を終えたら、再び最初と同じ条件で測定することも有効だ。測定の際に与えた量の変化に伴う履歴を背負っている場合もあるからだ。
実験データは実験者の測定対象に対する観察力を反映する。しかし、気のきいた実験シーケンスで実験ができる若者が少なくなっているような気がする。
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