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ツェナーダイオードは定電圧ダイオードとも呼ばれる。アナログエンジニアは「定電圧」ダイオードという表現はあまり好まない。
ツェナーダイオードの端子電圧は温度と電流に依存する。例えば35V付近のツェナーダイオードは正の温度係数 約+30mV/°Cの温度係数を持ち、100°Cの温度範囲で発生する電圧は3Vも異なる。一般には温度に対しても、電流変化に対しても厳密には「定電圧」特性を示さない。
電流依存性はツェナー電圧が高いものほど、直列等価抵抗が高くなり、電流が増加するにつれ発生する電圧が高くなる。
逆に低い電圧(5V以下)でもツェナーダイオードの電流依存性は大きくなる。3V以下では適当な数のダイオードを直列にしたほうが良好な特性が得られる場合もある。
低い電圧では、等価直列抵抗/動作抵抗はほぼ電流に反比例するので、ツェナーダイオードの直列抵抗を増やしても、同じ元電源電圧ならほとんど改善は見込めない。
電流依存性の少ないツェナーダイオード電圧は10V近辺にある。
温度依存性の少ない電圧は5V強のツェナーダイオードである。また、1個のダイオード(負の温度係数)を直列にして0温度係数になる電圧:合計6.4〜6.45V付近の電圧もよく使われる。
これらの傾向は半導体素子の不純物濃度に強く依存するので、メーカー間の差異は比較的少ない。
いずれにしても、定電圧特性を期待して使う場合には、抵抗、場合によっては定電流回路を直列にするので、電源電圧より低い基準電圧は得られない。元電源が低い場合には、VBEの負の温度係数とVBE差の正の温度係数を相殺させたバンドギャップ形ICか基準電圧が必要になる。
たかが、ツェナーダイオード素子であるが、実際に回路を組む際にはこのようないくつかの要因に配慮する必要がある。
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