オペアンプの出力から高抵抗Rで-入力端子へ帰還し、その入力端子へ直接信号電流Iを入力、+入力端子を接地すると、反転微少電流増幅器の基本形となる。反転増幅器の入力抵抗を省略した形だ。
微小電流を扱うので、バイアス電流の小さな品種のオペアンプを使用する。入手しやすい部品を使うなら、J-FETトップのオペアンプ(バイアス電流の下限が十分保証されている品種は少ない)が第一選択肢だ。第二選択肢はMOSFET入力段のオペアンプだがノイズレベルは高くなる。
入出力関係は単純にVo=-RIである。温度が室温付近でオペアンプの品種と実装が適正なら、1pAを楽に検出できる。
この回路、信号源の寄生容量が大きい場合が結構ある。オペアンプの+、-入力端子に付く容量は回路の安定性を損なうので、Rに並列にpF〜数10pFオーダーの容量Cを付加することも多い。それでも、不十分なときには-入力端子と信号源の間に数10Ωの抵抗Rsを挿入する。
過渡応答を最適化するには、信号源はそのままにし、高抵抗を介し電圧ステップを与える。オペアンプの一次遅れ特性を考慮すると、この回路系ではjωの3次以上の関数となり定数チューニングの方針を立てにくいのでこのような方法をアナログエンジニアは利用する。
C,Rsを大きくすると減衰係数は大きくなる方向である。
フェムトアンペア(fA=10^-15A)台までの電流を検出できるこの回路方式、単純すぎて教科書に記載されることは少ないが、センサの短絡電流を測定できるので種々の用途がある。
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