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バイポーラトランジスタ初段のオペアンプのオフセット電圧とその温度依存性(オフセットドリフト)は相関がある場合が多い。
オペアンプの回路形式にも依存するが、オフセット電圧が初段の揃い具合で決まる場合には、オフセット電圧とドリフトは1/絶対温度の相関軸をもつ品種が多い。
これは、VBE差の温度依存性が、ほぼkT/q (k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:素電荷)で決まることに由来する。
超低ドリフトのオペアンプは0.1μV/°Ctyp程度のものが現在は手に入るから、現在は数μV程度のDC増幅が簡単にできる。これを超えた厳しいDC増幅ならチョッパスタビライズの特殊オペアンプを使うことになる。ただし、残念ながら国産品種にはない。
バイポーラトランジスタのVBEの温度係数は約-2mV/°C程度であるから、オペアンプの中の差動増幅器を構成する複数のトランジスタは1/20000°C程度まで同一温度になければならない。いくら小さいシリコンチップの中とは言え、風が当たるとこの程度の温度揺らぎは簡単に出る。低mV増幅器では、風が直接当たらないようにするのが常道である。
ジャンクションFET初段のオペアンプでは、ピンチオフ電圧と0バイアスソース電流がばらつくから、このような相関ははっきりせず、したがって、トリミングによって温度ドリフトを大幅に改善することが難しいので、低バイアス電流のJ-FET初段の品種ではオフセットドリフトの小さな品種はない。
オフセットドリフトは実用上のオペアンプで扱える電圧の下限を決める。
もちろん計測増幅器のような対称回路を用いれば、同じオフセットドリフトのオペアンプを使用すれば、数μV/°Cのオペアンプを用いて実選別によりペアを組めば、0.1μV/°C程度は実現できる。
アナログエンジニアはこの方法で0.1μV/°Cクラスの回路を40年近く前に実現したことがある。
ただし、低オフセットドリフトは大きな温度補償下で実現されているので、低ドリフトアンプは非線形な温度ドリフトになる素子もあることを念頭に置いておく必要がある。
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