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2010年8月

2010年8月31日 (火)

1石増幅器の電圧増幅率

1石エミッタ接地交流増幅器はトランジスタ回路の電圧増幅率を考える上で基本となる回路の一つである。

適切に設計された回路であれば、その電圧増幅率Aはコレクタ抵抗にかかっている電圧をVoとして、概略A=-Vo/VT VT:熱電圧、=KT/q≒26mVで与えられる。

A=-Rc・hFE/riだが、入力抵抗ri=VT/IB IB:ベース電流≒Ic/hFEなので、hFEの項が消えて、上式となる。

入力抵抗riはhパラメータではhieだが、一般には記載されていないデータで設計者が計算すべき値である。

大振幅動作させると、出力がマイナスに振れた時Voは大きく、増幅率も高い。逆に+に振れるとVoは小さくなるので増幅率は低くなる。この現象は電気的なので、正弦波を入れた時、上が丸く下が鋭くなるような波形ひずみをもたらす。

信号源抵抗、バイアス回路の分流効果、次段の負荷効果などを考えると、増幅率はさらに減少する。

たとえばVo=5.2Vなら常温で電圧利得の最大値は約200であり、上記の影響を考慮すれば100-150程度となるだろう。

周波数特性はコンデンサの効果で決まり、低域側は付加したコンデンサと各抵抗との時定数で決まる。高域側はC-E間の寄生容量が支配的である。

1石エミッタ接地増幅器の増幅率の精密な予測は、トランジスタ回路解析の出発点であるが、残念ながらhieが熱電圧VTとベース電流IBから計算する方法は殆どの本には記載されていない。日本のアナログ回路教育、これで良いのかとアナログエンジニアは危惧する。

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2010年8月31日 (火) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月30日 (月)

容量負荷のスイッチング

容量(コンデンサ)負荷を電子SWでオン・オフしている回路は結構ある。しかし、その時の電流を意図的に制限していないSW回路は巷にあふれている。容量のSWで意図的に電流制限していない回路は、実は、かなり危険な回路である。

コンデンサの基本式はCV=∫Idt=Q (C:容量、V:端子電圧 I:電流 t:時間)である。

コンデンサの電圧を瞬時に変えようとすると、電流は無限大になることになる。

自然は不連続を嫌う。明示的に電流制限する要素がなくとも、寄生抵抗や寄生インダクタンスが存在するので、これらの明示されない要素がSW時の最大電流を決める。

バイポーラトランジスタでのSWなら、駆動源(×ばつhFE)で最大SW電流がほとんど決まるが、トランジスタの電流定格を超過しているケースがかなりある。ただし、通流期間が短いので、現実的には、I^2・tに比例する破壊ラインを超えていなければ即、破壊することにはならない。

コンデンサのSWでは最大電流を意図的に制限する要素・回路を組み込まなければ信頼性の高い回路とはならない。

商用周波数の整流・平滑回路では、トランスの抵抗が主な電流制限素子である。起動時には整流回路が短絡された形になるので、大きな突入電流が流れる。トランスの内部抵抗が小さくCが大きな大容量回路では、整流用ダイオードの負担が大きい。

SW電源では、電源直整流になるので、起動時に抵抗を挿入し、起動が終わったら電子SWでその抵抗を短絡する。現在では、高調波電流規制もあるので、規制対応回路が最大電流を制限している。

コンデンサのSWは、ONになる時の電流制限が極めて重要である。

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2010年8月27日 (金)

インダクタンスの逆起電力

アナログエンジニアはインダクタンスの「逆起電力」という言葉が嫌いである。この言葉から想起される概念は内容に乏しく、かつスイッチング後の電流が流れる方向や大きさの把握に繋がることが少ないと感じる。

電子回路設計者はインダクタンスを含む回路が苦手な方が多い。インダクタンス回路で多く出会う課題は、過渡現象でありかつ、インダクタンスは純粋なL成分だけでなく、直列寄生抵抗や並列寄生容量も考慮に入れる必要のある場面が多いからだ。

まず、インダクタンスの基本式をV=LdI/dtで考えると、オームの法則と同様にVの方向と電流の方向を逆向きに取っていることを強く意識することが大切だ。電圧の方向と電流の方向を同一方向に定義したV=-LdI/dtの表現もある。

しかも、電流Iの符号とdI/dtの符号は無関係に回路条件で決まるので、「逆起電力」との言葉で考えると、方向が判らなくなる。

私は、普段次のように考える。

電流の流し始めは、V=LdI/dtで考える。Vが正なら電流は増加していく。寄生Rが無視できない値になれば、L・Rの一次遅れ回路として扱う。

スイッチングにより回路の一部が変更された直後には、インダクタンス電流は急変できないので、回路図に記載されていようがいまいが、最も流れやすい経路でSW直前の電流値を保ったまま流れる。経路が判ればインダクタンスにかかる電圧Vが判明し、電流の変化率を知ることができる。ポイントは、インダクタンス電流は急には変化できないという感覚を持つことである。

さらに、dI/dtが大きくなると、小さな各部の寄生容量も寄与し、共振する。

「逆起電力」と言う言葉は、因果関係を逆にしているように思えてならない。これがインダクタンス嫌いの回路屋さんを多く生み出している原因ではないか。

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2010年8月27日 (金) | 固定リンク | コメント (2)

2010年8月26日 (木)

オフセットとドリフト

バイポーラトランジスタ初段のオペアンプのオフセット電圧とその温度依存性(オフセットドリフト)は相関がある場合が多い。

オペアンプの回路形式にも依存するが、オフセット電圧が初段の揃い具合で決まる場合には、オフセット電圧とドリフトは1/絶対温度の相関軸をもつ品種が多い。

これは、VBE差の温度依存性が、ほぼkT/q (k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:素電荷)で決まることに由来する。

超低ドリフトのオペアンプは0.1μV/°Ctyp程度のものが現在は手に入るから、現在は数μV程度のDC増幅が簡単にできる。これを超えた厳しいDC増幅ならチョッパスタビライズの特殊オペアンプを使うことになる。ただし、残念ながら国産品種にはない。

バイポーラトランジスタのVBEの温度係数は約-2mV/°C程度であるから、オペアンプの中の差動増幅器を構成する複数のトランジスタは1/20000°C程度まで同一温度になければならない。いくら小さいシリコンチップの中とは言え、風が当たるとこの程度の温度揺らぎは簡単に出る。低mV増幅器では、風が直接当たらないようにするのが常道である。

ジャンクションFET初段のオペアンプでは、ピンチオフ電圧と0バイアスソース電流がばらつくから、このような相関ははっきりせず、したがって、トリミングによって温度ドリフトを大幅に改善することが難しいので、低バイアス電流のJ-FET初段の品種ではオフセットドリフトの小さな品種はない。

オフセットドリフトは実用上のオペアンプで扱える電圧の下限を決める。

もちろん計測増幅器のような対称回路を用いれば、同じオフセットドリフトのオペアンプを使用すれば、数μV/°Cのオペアンプを用いて実選別によりペアを組めば、0.1μV/°C程度は実現できる。

アナログエンジニアはこの方法で0.1μV/°Cクラスの回路を40年近く前に実現したことがある。

ただし、低オフセットドリフトは大きな温度補償下で実現されているので、低ドリフトアンプは非線形な温度ドリフトになる素子もあることを念頭に置いておく必要がある。

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2010年8月26日 (木) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月25日 (水)

降圧形DC-DCコンバータ

電源Vpに直列に電子SWが入り、高速ダイオードがSWの他端とGND、インダクタLがコンデンサCとの間に入り、負荷RLがCと並列に入る降圧形DC-DCコンバータの基本形の入出力関係は以下の式で表現されることが多い。

出力電圧をVoとして Vo=Vp・D で、Dはオン時比率である。前提はダイオードの順電圧を0と無視し、SWのオン抵抗は0、Lを流れる電流は断続しないことである。この前提で、定常状態では、インダクタの電流が断続しないものとして解く。(状態平均化法)

上式は比較的負荷が重いときに成立し、負荷によらず時比率Dのみで入出力関係が定まることを示している。

軽負荷になると、Dを小さくしないと電圧は上昇してしまうので、通常はDを絞り込んでオン期間を短くする制御をおこなう。

インダクタンス電流がオフ期間の最後に0となる条件は

インダクタのピーク電流をIp、SW周波数をfとすれば

Ip=VoToff/L=Vo(1-D)/(Lf)

平均電流は出力電流と一致し、かつIpの半分だから

Ip/2=Vo/RL

これらの式からIpを消去して

臨界抵抗 RL=2Lf/(1-D) を得る。

臨界抵抗より軽負荷の断続モードでは、エネルギー収支に着目し計算すると

D=Vo√{2Lf/(RLVp(Vp-Vo))} でRLが大きくなるとDを絞る必要が生じる。

設計的には断続モードを使用しないと、大きな負荷変動に対応困難で、アナログエンジニアは常に断続モードも視野に入れた定数選択を行う。

この辺はしつこくなるので、ほとんどの書籍に記載されることはないが、設計的には重要な現象である。

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2010年8月25日 (水) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月24日 (火)

商用電子回路変圧器

数Wから数10Wの商用電子回路変圧器の選定の基準は平滑後の出力電圧と出力電流である。この選定が案外難しいのだ。電子回路を専門にする大学の教授様でも、商用周波数の小形変圧器のサイジングができない方も少なからず存在する。当然、現役の電子回路設計者でもかなり少ない。

変圧器の定格電圧は「抵抗負荷」で定格電流を流した時に定義されている。

無負荷電圧と定格電圧の差は電圧変動率hと呼ばれ、一般に小形のものほど大きく、負荷を取ると数%から20%位電圧が低くなるものもある。

次に、平滑回路では突入電流とリプル率とのトレードオフから、リプル電圧は0.数Vから2V程度に取られる。電子回路用変圧器では、整流平滑後安定化を行うが、安定化回路の電圧ロスも大きなファクタである。

電子回路の多くは、数V〜10数Vの出力電圧が多いからダイオード1個分(センタータップ整流)や2個分(ブリッジ整流回路)の無視できない。しかも、整流用ダイオードの電圧降下は0.6-0.7Vではなく、1Vを超える条件で動作させることが多い。

流れる電流は正弦波ではなく、通流期間が短いので実効値は大きく、コンデンサ平滑ではピーク時の電圧降下が単純計算よりかなり大きくなる。

日本の商用電源は±10%許容するから、低電圧時にも動作し、高電圧時にも電力定格をオーバーしないようにする必要もある。

単純には、多くの場合、安定化後の電圧と同じ電圧の変圧器を選び、電流定格は出力電圧の1.5倍付近のものを選ぶことになる。

電源回路は非線形回路なので、詳細な解析は設計図表を使うか、シミュレーションを行うかしかない。計算には電圧変動率hの情報が必要だが、JISでは上限のみ定められており、下限は規定されていない。経験がないと実力hが不明である。

アナログエンジニアはダイオードを教えるとき整流平滑から入ることはしない。単純計算で実用レベルの予測とはならないからである。

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2010年8月23日 (月)

フライバックトランス

1石フライバック回路は電子スイッチがONのとき1次コイルにエネルギーをため、OFFの期間に2次側にエネルギーを放出する。このため2次側で出力される電力は1周期のエネルギーであり、エネルギー収支に基づいて解析を行う。

実際にエネルギーが蓄えられているのは、コア=磁性体だが、1周期の間に蓄積するエネルギーはP1=L1Ion^2/2として計算する。L1は1次インダクタンス、IonはON期間の最後の電流である。

また、IonはVsTon/L1で投入電力P1=(VsTon)^2f/(2L1)となる。

負荷電力P2は P2=V2^2/RL V2:2次側出力、RL:2次側負荷抵抗

これをV2について解き

V2=VsTon√(RLf/2L1)となる。

この計算では、1次側にも2次側にも電流が流れない期間がある(断続モード)ことが前提である。

エネルギー収支で解析する代表例として、1石フライバックコンバータの断続モードを例にあげたが、非絶縁のDC-DCコンバータにおいても、軽負荷時にはON期間が短くなりコイルに電流が流れない期間ができると、本解析と同様にエネルギー収支で考えることになる。

アナログエンジニアは1石断続モードフライバック回路を出発点として、各種の回路形式におけるSWコンバータの解析手法を学んだ。

軽負荷あるいは負荷解放時の挙動を記載している書籍は少ないが、エネルギー収支でも解析できなければ信頼性の高いコンバータの設計は厳しい。

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2010年8月23日 (月) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月21日 (土)

蛹と蝶

山椒の葉を食草としていた終齢幼虫を飼っていた。青虫の糞はころころだが、11日午後、下痢便状の糞をして間もなく蛹になった。

011 ←屋外に話す直前のアゲハ蝶

ちょうど10日目の今日、羽化した。

毎早朝、蛹の様子を確認していたのだが、昨日の夜更かしで朝起きられず、羽化の瞬間は見逃した。残念無念。こんなチャンスそうはないのに・・・。

翅が伸びきる前あたりからずーと眺めていた。途中、まったく動かなくなる。

せっかく、今回は無事に羽化したのに死んでしまったかと思い放置、4時間経過。少し動き始めたので観察再開。

子供の頃は、虫取り網で蝶をずいぶん追いかけたが、捕まえて標本にできた記憶はない。

息子が小学生のころには、身近に食草があったので、芋虫を飼ったこともあった。しかし、その時は蛹から出てきたのは小型の蜂2匹。寄生蜂だったらしい。

去年は秋口に同じことをやったが、蛹までは進行したがその後死んでしまった。

今回は無事に放蝶できた。めでたし、めでたし。

この模様だとナミアゲハかな。

夏も終盤、小学生の夏休み研究もどきをやっていたアナログエンジニアでした。

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2010年8月20日 (金)

トランジスタの接合電圧

バイポーラトランジスタは2つの接合と3つの端子をもつ。トランジスタをダイオードとして用いるときにはいくつかの結線方法がある。

1C-B接合を用いる(E:開放)

2E-B接合を用いる(C:開放)

3C,Bを結線しE-B接合を用いる。 などの結線が行われる。

もっとも接合電圧が低く、電流依存性が小さい(エミッション係数≒1)となるのが3である。

1、2はエミッション係数が2に近いことが多く、電流の1桁変化に対し約120mVの端子間電圧の変化を生じる。

1、2で逆電圧を掛けて降伏状態で使用すると、2なら8V前後の定電圧ダイオードと同等の定電圧特性を示す。

集積回路中では、接合電圧やその電流依存性が結線方法により変化することを利用し、たとえば出力段のクロスオーバ歪みを抑制するためのバイアス回路に使われる。

単体トランジスタでは、たとえば高速OPアンプの入力保護にも用いることがある。寄生容量が少なく高速であるとの理由である。

E-B接合を長期間降伏させて使用すると、電流増幅率が経年的に劣化するとの記述のあるデータシートが昔はあったが、最近は見かけていない。しかし、アナログエンジニアは多くの場合、トランジスタによるダイオード接続は保護素子としての使い方とカレントミラー回路の一部としてしか使った経験がない。

「ブレークダウン状態のトランジスタの2端子間は本来、負性抵抗をなす」との記述のある本もあるが、私は常にはこの現象を経験していない。

たかが、トランジスタのダイオード接続であるが、電流片対数-電圧グラフを描いてみるとそれなりのドラマがある。

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2010年8月20日 (金) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月19日 (木)

可変抵抗器の分解能

電子回路の利得やゼロ調整その他に使われる可変抵抗器は精密アナログ回路に欠かせない。

では、可変抵抗は無限に細かく調整できるかといえば、そんなに細かく調整できる訳ではない。

可変抵抗はむき出しの抵抗体と接触子をもつ。巻き線抵抗なら、巻き数の逆数がほぼ分解能を与える。金属膜抵抗体なら、抵抗体は十分均一として、接触子の接触状態の安定性により制約される。

可変抵抗は原則として、人手で調整するものであるから、手作業で設定できる角度程度、具体的にいえば角度の1度より少ない微調整は困難である。

多回転型なら、分解能はn倍に向上する。

抵抗体の分解能か設定可能分解能のいずれか厳しい方が制約条件となる。

1回転形ならせいぜい1/300程度か。10回転の大型VRで1/10000は苦しい。

多くの調整回路は±に調整するので、調整幅はその半分になる。

VRによっては、出力が回転角に比例しない非線形な回路にもなりえるので、その場合、調整範囲の端側で調整しにくくなることも少なくない。

分解能の制約を超えて微細な調整を要求する回路を作ってしまうことが多々あるが、このような回路は調整工数が大きくなり、かつ経時変化が悪く、衝撃で調整状態が狂いやすい。

可変抵抗の設計状態を見れば、回路設計者の基本技量が判るとも言われている。

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2010年8月18日 (水)

パルストランスの結合率

スイッチングレギュレータなどではパルストランスを用いるが、そのトランスのモデリングの一項目に「結合率」がある。

結合率はなるべく1に近づけるように製作するのがふつうであるが、0.99ではかなり低い値である。通常は0.999-0.995くらいにするものとアナログエンジニアは考えている。

1-(結合率)が漏れインダクタンスで、各コイルに直列に入る。

漏れインダクタンスは、他のコイルを短絡し、コイルのインダクタンスを測定すれば良いことはモデルから分かるが、コイルのR,C成分があるのでインピーダンスメータでの測定は結構難しい。

アナログエンジニアは電流波形観測と回路シミュレーションから結合率を推定する方法を主に使う。R分は実測、C成分は他の手段で間接的に推定しておく。

トランスの結合率はSW波形に多大な影響を及ぼす。

波形が汚くなると、回路シミュレータSPICEの計算時間が急激に増加するので、SW回路全体の特性を把握するときには結合率を1にして時間の節約を行うが、最終的には実際に近い結合率でSPICE解析を行う。

SWトランスはふつう結合率を1に近づけるように種々工夫するが、絶縁や線間容量の制約により結合率が下がることもある。

SW回路の波形に大きく影響するのがパルストランスの結合率である。この概念なしにトランスを含む良いSW回路の設計は困難である。

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2010年8月16日 (月)

電圧オフセット調整

オペアンプの入力電圧オフセットは、オフセット調整端子にトリマ抵抗を接続し入力電圧をゼロにして、出力を観測しながらトリマ抵抗を位置を決める。

オフセット調整には、入力短絡のための端子と観測のための端子を出し、トリマ抵抗を実働下で回せるようにしておく必要がある。結構基板レイアウトを考えておかないと調整しにくいのだ。もちろん、オフセット調整端子が出ている品種・パッケージのオペアンプが必要である。

では、オフセット電圧調整がいつも有利かと考えれば、必ずしも常には有利とは言えないだろう。例えば、センサ回路などでは感度(利得)とゼロ点(オフセット)の調整機構をもつので、システム全体でゼロ調整する方が、個々のアンプでオフセット調整するより結果が良好になる場合が多い。アナログエンジニアはシステムでゼロ調整する手法を多く使う。センサ回路ではセンサのオフセットをオペアンプの標準的なオフセットより広く調整できるように設計する場合が多いことも背景にある。

IC内部を見ると、オフセット調整端子は初段差動増幅器の例えば2つのコレクタ抵抗にトリマ抵抗を並列接続し、トリマ抵抗の可動接点を電源に接続する形となっているものが大半であろう。そして、コレクタ抵抗は温度係数の大きな拡散抵抗である場合が多いのだ。オフセット調整はトリマ抵抗の寄与が温度とともに変わる。また、バイポーラ入力のオペアンプなら入力段のVBE差を変えるので、基本的にオフセット電圧ドリフトの値を変える。

このような背景があって、オフセット電圧調整端子を用いてのオフセット調整には十分な検討が必要である。

また、オフセット調整端子を用いて、系のオフセット/ゼロ調整をするのは大きなリスクが伴うだろう。

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2010年8月16日 (月) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月15日 (日)

弦が切れるとき

洋弓の弦は通常打ち終えた直後に切れる。通常弓(リカーブボウ)なら、弦(ストリング)は1本。

射の直後に切れる理由は、矢に伝達した弾性エネルギーの残りがリムの上下方向の運動量となって弦を引っ張るからである。

従って、弦が切れた時にも、矢は所定の方向に飛ぶ。そして、リカーブボウの場合は予備弦と簡単に交換できるので、弦が切れても競技は続けられる。

しかし、複合弓(コンパウンドボウ)の場合には簡単には交換できない。アナログエンジニアは複合弓の弦の破断には遭遇したことがない。

複合弓では、ストリング(矢を番える弦)、バスケーブル、コントロールケーブルの3本の弦がある。4本使用するタイプもある。どの弦が切れたらどういう状態になるのか私には未知である。最近、弦がささくれ立ってきたので、弦の交換をプロショップに依頼中。

したがって、今月は弓に触れていない。

コンパウンドボウの空打ちの場合には、カムのシャフトを傷めるが、どの弦が切れたらどうなるか経験していないので良くわからないが、弦で腕を激しくはじかれることもあるらしい。

いずれにしても、複合弓での弦の破断は通常弓より複雑な現象が生じるだろう。そこで、事前交換=予防保全をプロに依頼した訳である。

複合弓は合理的にできているが、複雑な分、トラブル時の挙動予測がしづらいのである。

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2010年8月 9日 (月)

電気釜が壊れた

この2月に購入した電気炊飯器が破損した。減圧後圧力釜方式で炊き上げるIH電気炊飯器。国内A社製。

壊れた部分は上蓋を固定するためのプラスティック製部品。材質は硬いが、コの字型の内角に面取りはなく応力が集中する形状で、材料肉厚も薄く強度不足が強く疑われる。初歩的な設計ミスを強く疑う。ここまで弱いと既にクレームが来ていることだろう。

ここ1-2年、家電製品、OA機器の故障に多く遭遇している。

電波ソーラー腕時計のJJY受信不能、B社製。電波掛け時計の液晶文字欠け、C社製、ここの製品は安いが故障しやすい印象が非常に濃い。

エアコンの異臭、コンプレッサ系の故障、D社製。コンポオーディオのCDデッキの音飛び、CDユニット交換、E社製。

パソコン発火、F社製。車のオプション、これは最初から性能が出ていなかった・・・・・

最近、なんとなく白物家電以外の電気製品の不良に遭遇する率が増えている。

そして、外観にこだわりすぎて、使いにくい製品も多々ある。

日本の信頼性神話は過去のものか・・・・。しかし、基本的な設計がきちんとできていなければ、日本製品の将来は明るいものとは考えにくい。設計・製造・検査の各部門とも、多数の会社で弱体化しつつある予感がする。

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2010年8月 9日 (月) 工学 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月 6日 (金)

DC-DCコンバータの動作モード

DC-DCコンバータの解析の多くはチョークコイルの電流が断続しない動作モード(連続モード)に対して行われる。昇圧形、降圧形、(逆極性)昇降圧形とも、よく見かけるのは連続モードである。

連続モードでの解析例が多いのは、連続モードの方が計算が簡単であるためと思われる。

上記のどの回路形式でも、2次的効果を無視すれば、出力電圧はONデュティDの関数でかつ出力電流依存項を含まない。負荷が変化しても出力電圧一定にするためには、大きくDを変化させる必要はない。

連続モードは比較的(インダクタンス、SW周波数を考慮して)大電流領域の解析であり、1サイクルの前後の電流変化が0の状態を調べて、定常状態の出力電圧を求めるのである。

チョークコイル電流が断続すれば(断続モード)全く別の解析となり、軽負荷になるとDは大きく絞り込まれる。

アナログエンジニアは軽負荷から重負荷まで対応するDC-DCコンバータを設計する際には、Dの可変幅を広く取り、軽負荷ではDを絞り込むようにする。

このため、連続モードから断続モードへ切り替わる条件:臨界条件を計算しておく必要が生じる。

多くの成書は、記述の簡単のため連続モードだけを扱う例が多いが、これではなんとなく信頼感が持てず、一抹の不安が残る。これは私だけの感覚なのか。

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2010年8月 6日 (金) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月 5日 (木)

ガスコンロの過熱防止器

我が家は地方都市なのでLPガスを炊事に使っている。コンロが古くなり燃焼状態が悪くなったので半年前に買い換えた。

新しいコンロには接触式温度センサーがついている。多分、電気ガマの温度検知センサと同種のものだろう。

昨日、過熱防止器が動作した。

煮物の最中、ちょっと目を離した時に水がなくなり、焦げ付かせるところだった。しかし、過熱防止器が動作して、アラーム音とともにガスを遮断。鍋には焦げ付きなし。良かったよかった。焦げ付かせると後始末が大変だし、場合によっては鍋を傷めてしまう。

このコンロ、デフォルトがお湯で、沸騰して時間がたつと弱火にしてくれる。てんぷらや炒め物のときには、安全装置の動作温度を「設定して」上げる。

この手の温度センサは案外正確な感じがする。

その他にも、細かい配慮がなされた設計・デザインになっていて、とくに、グリル周りの清掃が格段に容易となっている。これは、やはり、進歩と言うべきだろう。

最近の家電品、見た目はカッコ良いが、操作性が悪かったり、耐久性に疑問符がつくものもある。基本ができていない製品は嫌なものだ。

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2010年8月 5日 (木) 工学 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月 4日 (水)

綿あめ製造機

先日のお祭りで使った綿あめ製造機を清掃のため分解掃除した。

直径10cmくらいの回転ヒータが、キザラ砂糖を綿に変える主要部である。回転部に電力を伝えるために、2個のスリップリングと、それと対の炭素ブラシがついている。スリップリングの実用品を見るのは初めて。

上から砂糖を入れると、遠心力で円筒状のヒータに引っかかる。そこで加熱されてステンレスの網から綿が出てくる構造だった。

分解掃除をしてみると、掃除しにくいところまで砂糖が付着している。

綿あめは結構、お祭りで人気がある出し物だった。子供さんを中心に列ができるほど。

綿あめ機は時々、上から水を入れて付着した砂糖くずを除去しないと、うまく繊維がでない。運転中にもこまめに簡易清掃する必要があるのだ。列が長いときには焦りがでて、つい長時間連続して作ってしまうのだが、だんだん繊維がきれいに出なくなり、大きい綿あめは作れない。

温度調整とこまめな清掃、手早い巻き取りがカッコいい形の綿あめを作る上のポイントらしい。

砂糖にまみれてのお祭りだった。

こんな作業でもやっていると、案外夢中になるのだ。

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2010年8月 4日 (水) 工学 | 固定リンク | コメント (0)

2010年8月 2日 (月)

地区夏祭りの前後

私の所属する地区自治会は世帯数約1000軒で構成されている。昨日は自治会3大イベントの一つ、夏祭りが盛大に開催された。アナログエンジニアもスタッフとして参加した。

朝9時前から、会場設営準備に入る。初めてのスタッフにも要領よく、しかも、その方の体力に応じて手伝いができる。当然、上位役員の方々の事前準備がなされた上での話だ。タイムスケジュールも配布されていて、自分の役割も明白。

軽トラックでのテントや模擬店の機材も次々会場に運びこまれる。また炎天下の作業なので、氷で冷やした飲み物も準備されていた。脚・腰に自信がない汗かきの私にとってとてもありがたいことだった。12時、模擬店の試運転も行われる。

祭りの開始時間の16時まで、散発的に各担当が物資の調達。多分、上位役員が事前予約している。たとえば、氷だと50貫目と大量だ。保冷用の箱も搬入されている。スタッフ未経験者が半分近く参加しているにも関わらず、予定通りの進行。神輿は別の場所で担がれている。

16時花火の音で、祭り開始。私の担当は綿あめ作り。なかなかコツがいる。ひたすら、綿あめ作り。

20時抽選会で終了。来場者がまばらになると撤収作業開始。ここでも軽トラが活躍。21時半スタッフ解散。

そして、本日午前、会場清掃、ゴミの始末と機材の清掃など、月曜日に動ける人が参加して作業。などなど。

地区の夏祭りだけでも、いろいろな作業がある。段取りする人がいる。その多くは元気な高齢者、私などはひ弱な中年と言う感じ。地区の夏祭りと言っても、伝承の課題を感じる。私も含め、約半数のスタッフが毎年入れ替わるからである。

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2010年8月 2日 (月) 健康 | 固定リンク | コメント (0)

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