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1石エミッタ接地交流増幅器はトランジスタ回路の電圧増幅率を考える上で基本となる回路の一つである。
適切に設計された回路であれば、その電圧増幅率Aはコレクタ抵抗にかかっている電圧をVoとして、概略A=-Vo/VT VT:熱電圧、=KT/q≒26mVで与えられる。
A=-Rc・hFE/riだが、入力抵抗ri=VT/IB IB:ベース電流≒Ic/hFEなので、hFEの項が消えて、上式となる。
入力抵抗riはhパラメータではhieだが、一般には記載されていないデータで設計者が計算すべき値である。
大振幅動作させると、出力がマイナスに振れた時Voは大きく、増幅率も高い。逆に+に振れるとVoは小さくなるので増幅率は低くなる。この現象は電気的なので、正弦波を入れた時、上が丸く下が鋭くなるような波形ひずみをもたらす。
信号源抵抗、バイアス回路の分流効果、次段の負荷効果などを考えると、増幅率はさらに減少する。
たとえばVo=5.2Vなら常温で電圧利得の最大値は約200であり、上記の影響を考慮すれば100-150程度となるだろう。
周波数特性はコンデンサの効果で決まり、低域側は付加したコンデンサと各抵抗との時定数で決まる。高域側はC-E間の寄生容量が支配的である。
1石エミッタ接地増幅器の増幅率の精密な予測は、トランジスタ回路解析の出発点であるが、残念ながらhieが熱電圧VTとベース電流IBから計算する方法は殆どの本には記載されていない。日本のアナログ回路教育、これで良いのかとアナログエンジニアは危惧する。
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