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サーミスタの抵抗値Rは広い温度範囲でR=Ra・expB(1/T-1/Ta)で表現できBはサーミスタ定数と呼ばれる。一般には、低抵抗で高Bの物や、高抵抗で低Bの物は作りにくい。
Bは1500〜5000K程度のものがあるが、いずれにしても数%/°C程度の大きな温度係数をもち、抵抗値の温度に対する非線形性も単体では大きい。
サーミスタを温度センサとして用いる場合の課題のひとつとしては、使用温度でほぼ温度に比例する電圧変化を得る回路的工夫が必要なことである。
サーミスタ特性の線形化には、サーミスタに対し、並列抵抗と直列抵抗をうまく接続することである。線形化した後に、その回路にさらに並列抵抗を付加すると、見掛け上の抵抗値も調整できる。
うまく受動抵抗回路網を合成すると、100°Cを超える温度範囲で線形化できる。
現在でも、車の水温センサや体温計などに使われている筈である。サーミスタは1940年頃に開発された遷移金属酸化物系の感温半導体であるが故に、その応用歴は長く、信頼のおける温度センサとして今も使われている。
サーミスタ単体の温度特性はR縦軸、温度T横軸のグラフ上では下に凸な抵抗変化を示すが、付加する抵抗網により、着目する温度範囲で凹にも凸にもできる。この性質を利用して、半導体ひずみゲージの感度の温度補償や感度とオフセットの温度依存性の交絡項を消去する技法は確立されている。
アナログエンジニアは3次までの非線形温度係数の高精度補償を達成している。
確かにサーミスタ単独では、温度変化に対する抵抗変化が非線形であるが、回路的工夫により実用上問題のないレベルまで改善できるのである。従って、安易に単独素子の性質をもって、実用上の特性を議論することは慎まねばならない。
古くから実用化されたセンサは、長い歳月を掛けて信頼性を向上してきた技術でもある。その頑健さと簡明さを抜きにして実用センサを語ることはできないのである。
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