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電源回路の設計をたった3時間で教えてくれと頼まれたことがある。不可能な話なのでもちろん丁寧に断った。
安定化電源回路は大きく分けて,スイッチング電源と商用トランスを用いた電源の2種類がある。
いずれも目的・仕様に応じてさまざまな回路形式がある。電源は回路全体の電力の供給を行うので,高信頼性とともに,負荷短絡,起動時の過渡現象などをきちんと制御しなければならない。
たかが,電源と見なされることが多く,コストもサイズも厳しい要求がある。設計する立場から言えば,技術的には結構難しい部分がいくつかある。放熱設計もきちんと行わなければならない。
このため,汎用品は専業メーカーが担当する場合も少なくない。
商用トランス絶縁,コンデンサ平滑,ドロッパ式電源回路構成の安定化電源でも,きちんと設計するためには以外に高度なアナログ回路技術が必要である。コンデンサ入力整流平滑回路の部分だけを見ても,交流を整流してDC出力のリプルの谷電圧を計算するのも,非線形方程式になるのでシミュレーションするか,膨大な数値計算をするか,設計図表を使うしかない。いずれの場合にも,トランスとダイオードのパラメータの同定が必要になる。発熱するダイオードと熱に弱い電解コンデンサが近接する配置になるので,その手加減が問題だ。そのあと安定化電源回路部の設計が始まる。
たかが電源,されど電源。リスクが大きくコストもかけにくい。何よりもユニットの主役ではないのでできて当たり前なのだが,主回路以上に設計的に難しい部分がある。かくして,電源回路設計をやらない花形回路設計者が増えていく。
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