計測器は被測定量yに対し,計測量yが y=Ax となることが多くに場合望まれる。計測器を作る立場からは,この理想的な関係からのずれが問題となる。
y=A’x+B の形になることが普通である。Bはふつうゼロ点誤差と称する。感度係数Aの誤差は,0-100%の信号(スパン)に対しての不確かさである。
ゼロ点誤差とスパン誤差は通常その発生要因が異なる。
電圧計測では,0信号を与えることが可能であるから,マイコン搭載計器では自動的にこの誤差をLSBのオーダーまで取り除くことができる(オートゼロ)
スパン誤差は,基準電圧や増幅器の抵抗比,負帰還量などに依存する。これらの要因はほとんどが温度の影響を受ける。
16bitのA-D変換器は今の時代,普通に使われているが,スパンの0.0015%(15ppm)が1LSBである。市販の高精度基準電圧ICは±5ppm/°C程度であるから,数度の温度変化でスパン誤差は1LSB以上変化する。抵抗も温度係数をもつ。
ゼロ点はスパンが1Vであれば15μVが1LSBであり,少し風がそよげば容易に発生する熱起電力と同程度である。
もちろん,初期状態できちんと構成されていることが前提である。
その他の外乱もあり,非線形性もある。
有効数字0.1%の測定には,それなりの計器と環境が必要である。アナログエンジニアは計測された高ビットのデーターを単純に信じるほど甘くは無いのだ。
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