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私の長い技術文の感覚はA5の200ページ程度の分量である。このページ数は図表の大きさも文字換算で約20万字ある。長文の一般公開は、私にとって過去数度しかない。
一度は論文提出で学位取ったとき。二度目は最初の本を学術書として出したとき。三度目はアナログ回路エンジニアとしての集大成として単独で256ページを書いたとき。この本は数ヵ月後繁字体(難しいほうの中国文字)に翻訳された)
少しずつ要領よくなっているが、構成と校正がいつも大変である。
私の場合は、分量を定めて内容を決めるときとその逆の場合がある。長文を書くときには、いつもプログラミングをしているような感覚にとらわれる。技術文書である限り、必要・十分な情報開示を必要とする。無駄な修飾を省いて簡潔明瞭に書くことを旨とする。そして、致命的な間違いがないことが必須条件である。
企業内にいて本を書くこととは、書けることを書けばよいというのではない。正しいことを証明できて書きすぎることのないように自分を押えて書く。知的所有権の問題にも配慮する。しかし、世の中にある本と同じ形式主張では存在意義がない。自己主張をすればするほどリスクは大きくなるがおもしろい本になる。
今日から第1校正が始まる。今回のゲラは200ページ弱。行を移動する修正ができる最後のチャンスである。図や式は版を起こすのであらゆる間違いが起こる。一日2回チェックしたいものだ。そのつもりでやっても期限内に数回しか読めない。1回目はしらふで、2回目はほろ酔い加減で校正しよう。
今週始めから、弓のセッティングを調整し始めた。角度でXYZ2度位の大幅な調整を行った。弓の強さも1割強くした。早く結果を知りたいが、30m、50m、70mの照準位置と着弾の纏まりがわからないと本当に良い方向に行ったのかどうか判らない。7/9日の記録会は30mだけでやるしかないかなー。
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私は家庭でいくつかのニッパーを使い分けている。標準より小さい精密ニッパーは、私の大事な工具である。最近はユニバーサル基板で100部品程度のアナログ回路を組むことはないが、自宅でも小規模の基本回路をたまに組む。
私の最近の工作方法は部品面には接続配線を一切通さず、パターン面に錫めっきより線で配線を通していく手法である。見た目きれいに仕上がるが、配線面で重なり合う線の1本をきちんと切断できる必要ある。このために精密小型ニッパーを使用するのである。精密ニッパーの生命線は刃先のかみ合わせである。無理をすると刃先が開く。
使い捨て感覚の100円ニッパーも重宝である。適当な工具なしに刃先でネジの頭を掴んでエイヤット回すことができる。100円なので惜しくはないし、M3くらいのネジならたいていの形状のネジを回すことができる。場合によっては、多少錆びていても回る。
最近、自宅で作った回路は2オペアンプ+1ダイオードの温度測定回路である。15Vの1電源で120〜-50度の温度測定ができる。
そのほかに、かなり極端な設計条件での2-3トランジスタ回路の動作をシミュレーションと実際と比較するために作ることがある。
ニッパーで鋼鉄線を切るときには、それで工具は終わりとの感覚が必要だ。多くのニッパーはピアノ線を切ると丸く刃が欠ける。ワイヤ剥離器を結果的に自作できるが、本物にはかなわない。
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2006年6月29日 (木) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
梅雨の晴れ間の今日、庭に紫陽花が咲いている。日の当たる花はほんのり赤みがある。木陰になったところはかなり青い。昨年はあまり刈り込みをしなかったので、多くの花がついた。
今年は無理だが、来年の今頃には庭にイーゼルを立てて紫陽花を油絵で書いてみたい。紫系統の色をきれいに出すのは私の腕では難しいので、コバルトバイオレットなどの安くはない絵の具が私の道具箱に入っている。デッサン力がないので4-6号くらいで描こうかな。花は何とかなりそうだが、葉っぱの質感を出すのには苦労しそう。
油絵の紫陽花の絵をあまり私は見たことがない。大画面の日本画の紫陽花はすごかった。
私の庭の紫陽花はいわゆるガクアジサイで、真ん中あたりはぽちぽち、周辺に4弁の花がつく。比較的原始的な紫陽花だ。少し派手な西洋紫陽花より私の好みにあっている。
会社生活はあと実働100日、その後はいまどきアナログエンジニア、教育もできるアナログエンジニアとしてすごせればよいと願っている。アナログ回路エンジニアではなく、計測器を通してみた世界を率直に信じないアナログエンジニアとして生きていければよいと思っている。
会社生活での最後の種まきを終えた。結果は9月までにでる。
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2006年6月28日 (水) 日記 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
オペアンプを使用して、入力信号と負入力端子の間にコンデンサCをいれ、負入力端子と出力の間に抵抗Rを挿入すると微分演算ができる・・・・。というのは、偽りであり、このままではたいてい発振してしまう。
オペアンプのオープンループ利得が1次遅れ系のため、ボード線図上でオペアンプの右下がりの周波数特性に対し12dB/octaveで微分特性が交差する。この結果、上記の原理微分回路はきわめて小さいダンピングファクターの2次遅れ形になり、たいていの場合発振してしまう。オペアンプを使用した微分器が初心者に嫌われる原因になっている。
安定性を保つには、コンデンサCと直列にrを接続し、オペアンプの1次遅れ特性と12dB/octで交わる前に帯域を制限し、周波数特性の平坦部をつくる。これだけで安定な微分回路を製作できる。
rを記載している本の多くは、Rに小さいcを並列に接続している例が多い。これは、1970年代に出版された有名な本がっこの形になっているためである。発振を防止するには、rだけでよい。そのほうがより高い周波数まで微分特性を達成できるから、cは必然ではない。
最小要素の動く回路を提示してこそ、生きた回路教育だと思う。定数を選んでも動くことが決してない「原理図」を初心者向けに示されることが多いが、アナログエンジニアにとっては苦労の種となる。
この程度のことは、回路シミュレータで簡単に再現できる。実回路を作るかシミュレーションで動作確認をして欲しいものだ。
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2006年6月27日 (火) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
室温で液体の金属として水銀が有名である。空気中で扱えないが金属ナトリウムと金属カリウムの合金も室温で液体である。
室温で硬い金属で、それがお湯で解けるとなるとかなり不思議な感じになる。30年近く前に、お湯で解ける低融点合金を数10cm3ほど手に入れた。マグカップに入れ、熱湯を注ぐと完全に液体となる。解けたところで、プラスチックなどの型に入れ、水道水で冷やすと望みの形状になる。
半田より硬く、比重はかなり大きい。お湯をかける程度で、融点まで昇温し融解熱までの熱を得て溶ける。この手の低融点合金には、ビスマス(蒼鉛)がかなり含まれていることは当時から知っていた。しかし、鉛はとにかくとしてカドミウムが10%程度含まれる「ウッドメタル」と確信できたのは最近のことである。組成からすれば、捨ててはいけない材料である。
融点は70°C以下で融解熱は10cal/g以下である。したがって、お湯を使って鋳造の真似事ができる。鉛と違って数年経過しても錆びない。環境毒性がなく値段も安ければ、小中学生にデモして鋳造品を持ちからせれば迫力のあるものつくり教育になると思うのだが・・・・。
ウッドメタルはインターネット購買が可能で、あるサイトによると約6000\/kgで1kgインゴットで売られている。おもしろい材料であるが、簡単には捨てられません。
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2006年6月26日 (月) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
水温制御の暴走で我が家の熱帯魚は全滅した。35°Cを超える水温で淡水エビは全数生き残った。水草は夏枯れの後、新芽を吹いている。今日は近くの郊外型の超大型の日曜大工店に行った。目的は我が家の水槽に魚を補充するためである。
飼いやすいネオンテトラを15匹、色は極普通の品種を購入した。水槽はガラス面に藻がかなり付着していたので、草食性の4cmくらいの熱帯魚を数匹入れてみた。あとは、彩を考えてソードフィッシュを3匹。水草を少々。
環境変化に耐えて、タニシの小さいような姿の巻貝が多数発生しているのでかわいいそうだが少し員数減少を行った。これで今回の我が家のアクアリウムの再構築は一段落。それにしても、購入したネオンテトラは小さい。サイズはそろっているが18mm位である。死亡したネオンテトラはこのサイズの長さで1.5倍以上あったと思う。水槽の汚れは、草食性の細長い魚にお掃除を期待しよう。餌の食べ残しは実績のあるヌマエビに任せることにしよう。
こんな小さな水槽の中にも世界がある。ドラマがある。優雅な姿で泳ぐエンジェルフィッシュはとてもナイーブで、生活圏を確保すると、小さなグッピーなどを襲うことがある。性格的にはエンジェルではなくて、デビルフィッシュの感じがする。他の熱帯魚と群泳させる魚ではなさそうだ。大き目の水槽に数匹いれてその優雅な姿と泳ぎを楽しむのがエンゼルフィッシュだと思った。
今回の組み合わせが平穏なアクアリウムを形成してくれることを期待する。
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2006年6月25日 (日) 日記 | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)
今日は試したいことがあって早々とアーチェリー場に出かけた。事前に連絡がなかった初心者講習会があったが、その隣で30mの練習ができた。
試したいこととは、スタンスをストレート(両足を射腺に対して平行に並べる)からオープンスタンス(右効きの人なら左足を後方)に変えた結果が知りたかった。
オープンスタンスにすると、腹筋に回転方向にも前後方向にも緊張を保ちやすいので狙いが定まりやすい。自宅での近射などで、上半身をひねると腰が安定して狙いやすかった。この感触を試して見たかったのである。
最初の36射は296点。次の6射5回まで260点。310点ペースである。最後の6射が50点出れば310点だが・・・。そのとき、私より上級者が2人私の射を見ていた。1射目いきなり4点に外した。次は9点。ひどく不安定な6射で40点。それでも、アーチェリー再開以来の最初の目標である30m300点をちょうど達成した。
30mの距離で中心から半径4cmはずれるごとに10点から1点ずつ低い点数となる。角度の0.1度よりすこし小さい角度である。30m300点は、平均8.4点なので平均許容値はその1.6倍ある。目の分解能の10倍である。従って、きちんと狙える身体バランスを取れるかどうかの勝負である。
次の目標は50m250点、その次の目標は各距離90m、70m、50m、30m合わせて144射で1000点を試合で達成し、ブロンズバッジを獲得することだ。 50m/70mで250点はもう少しだが、1000点のほうはもう一ランク上である。年齢的にここ数年の間に達成できなければ夢に終わるだろう。
この夢のために、90mを確実に打てる強さの弓を引き自宅でも近射を1日おきにやって筋力トレーニングしています。
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2006年6月24日 (土) アーチェリー | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
私の町で専門書を置いている最後の本屋さんが今月限りで店じまいとなる。一応、人口10万人を超える工業都市で大学はないけれど高専はあるが、専門書の前書きを読み、本文を斜め読みして買うことはもう地元ではできない。
20kmを車で走り県庁のある町でも専門書を置いている店は1軒しかない。ぶらっと書店に立ち寄り手にとって確かめて買うことはたぶん地元ではもうできない。
書名がわかっている時には、この時代いくらでも手に入れる手段はある。しかし、その存在を知らなければ、そのタイトルの一部さえわかっていないと検索は難しい。
専門書によっては期待される基礎学力が高すぎて、購入したは良いが全く歯が立たない本もいくらでもある。入門と書いてあればやさしく判りやすいと思ったら大間違いで、大学院後期の数学力を前提にしていて「入門」と称している本もある。
30年前には私にとって専門書は相対的に高価であったが、いまは昔ほど高くない。最近ではインターネットキーワード検索でヒットした同じジャンルの専門書を例えば3冊まとめて買う。同じようなテーマであっても著者の経歴を反映した部分と共通的な部分があるから、どちらも有益な情報となる。
それにしても、自分の周りの実務エンジニアはあまり専門書を買っている様子がない。私のような団塊の世代の人間が強く勧めないと買わないようだ。
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2006年6月23日 (金) 随想 | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
デジタルでは情報収集に失敗すると既定の条件で同じことを何回か試みる。しかし、のたうち回ったあげく機器の試作品が目標性能に到達しない時には大変だ。
まとまらない開発をリトライする機会が過去にあった。まとまらなかった理由は必ずある。その時代の周辺技術不足ということもあるが、原理原則に素直な設計でないことが多い。そして、その設計を許したマネージメントにもたいていの場合問題を抱えている。
リトライ開発を引き受けるときには、技術だけではなく、人、物、金と時間をコントロールすることが必要だ。精神論では片付かない部分が多い。注意しなければならないのは、リトライに失敗すれば自分の責任、成功すれば前任者の手柄の形態にされることだ。リトライ開発はリスクが大きいが、周囲の人が難しかったことを認めている場合が多い。それだけにやりがいもある。
リトライ開発の際には、先の開発の技術要素を定量的に良く調べる。袋小路の設計となったポイントをすばやく把握することだ。いくつか経験したリトライ開発では、目標仕様は変えないが違った設計戦略をとることが多かった。
同じ発想・同じメンバー(であることが多い)では通常、解はない。外は同じでも方式を違えてユニットの内部構造を組み替える。そして、リスクの存在場所はほぼわかっているので、難しい部分から熟慮断行し、次第に易しい問題へと還元していく。
リトライ開発では、さまざまな人間模様を見る。物を作るのはエンジニアだが、アナログエンジニアは人間模様の中で必然を追い求める。
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2006年6月22日 (木) 随想 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
エンジニアには量の感覚が必要である。どんなものがどのくらいの重さかなど、数値だけではなく一目見て、あるいは持ってみて感じることも重要である。
1グラムは1円玉の重さ、10グラムは10円玉2個と1円玉を合わせた質量である。100グラムは・・・適当なものがないので30号の釣り用の錘、このレンジの目方は主婦の方が鋭いことが多い。
1kグラムは1リットルの水だから、1000ccのPETボトルで少しオーバー目。5k、10kグラムは袋入りのお米。18kグラムは約18リットル入りの灯油のポリタンク。なぜ、この目方を出すかというと、私の使っている弓の強さが約18kグラム重だから。
数10kグラムは自分の体重。200kグラムは家庭のお風呂の水の量。
1トンは小型車の質量。大型クレーン車は30トン前後。1000トンは大雑把に50mプールの水の量。少し飛んで、数10万トンは、最大級のタンカーに原油を満載した量に相当する。
質量を計測する秤には大きく分けて2種類ある。力を測定しているタイプと、基準分銅と比較しているタイプだ。力測定タイプだと重力加速度の影響を受ける。
質量を4桁程度より高精度に測るには、対象物の比重にも依存するが、いずれも空気の浮力補正が必要だ。質量の計測は案外難しい。微少質量を測るときには手で触るなどもってのほかである。指紋にも目方がある。
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2006年6月21日 (水) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
学生実験で能動素子2個程度、合計10部品の回路をユニバーサル基板で組ませるとさまざまなことが起こる。
とくに、回路部品を指定して部品棚から調達させて組ませるときにはインストラクターは1時間後が大変である。20人も学生がいると、あらゆる間違いと言いたいほどいろいろなミスが出る。
最初に、能動素子の電源ピンだけは何度もチェックしておくように注意しておくのがコツだ。電源ピンを間違えられると、開放でも短絡でもない素子損傷が起こりえる。中途半端に損傷が起きていると、何箇所か測定しないと場所を特定できないからである。
ソケット式のいわゆるプロトボードに部品を差し込んでいく場合には、部品の足とソケットの間に導通があるかどうかの点検を欠かせない。配線の被覆を適切な長さに剥がしていないと、見た目挿入状態で、金属接触していない場合があるからだ。
配線の短絡、不足や部品の値の取り付け間違いなど、多重ミスが普通にある。巡回してその場で、何箇所か測定測定させ、推定箇所を指摘して直させる。多重ミスあり、部品損傷ありの条件で2回以内に回路を動かすと感心してもらえるが、教えるほうとしては勝負どころである。
プロの卵たちにはこんな教え方はあまり私はしない。半田付けの練習から入る。リード線を適切な長さにきり、きれいに半田が乗るように訓練することから始める。やにで絶縁されたいわゆるテンプラ半田ほど初心者にとって厄介なミスはない。
かくして、実践の電子回路は間違い探しから始まる。そして、間違いを探すにはよく理解していないと不可能だ。
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2006年6月20日 (火) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
アナログ電子回路の入門方法には少なくとも2つの方法がある。ひとつは、従来から使われている方法で半導体物理を少し紹介した後に、ダイオード・トランジスタ回路を学ぶ方法である。他の方法は、オペアンプから導入する方法で、私は回路設計者のエントリー教育に有効であると考えている。
オペアンプ回路はオペアンプの内部回路に立ち入らなければ、比較的計算に乗る世界である。オフセット電圧やバイアス電流などの2次的効果を含めて、容易に解析可能な実用回路が多くある。うまく構成すると、ラプラス変換を使わない形で、周波数特性限界なども説明できる。
実践では素子の2次的特性を考慮して、初めて品種選択や特性の予測ができる。これらの計算を行いある程度解析主導型設計が、初心者でも手ほどきすれば何とかなる回路が、個別部品で組むオペアンプを主体とした回路である。
もちろんプロの卵として扱うわけだから、抵抗値の具体的な値やコンデンサを決める背景についても説明する。アナログ電子回路エンジニアは経験が物を言う技能者の世界であると見られがちであるが、オペアンプ回路から入り徐々に深いレベルの回路を扱わせていくことで、即戦力として育てながら実力を身につけてもらえるるのではないか。
個別部品で組むアナログ回路は、オペアンプを軸にシステムを組み立てていく。そして、オペアンプだけではどうにもならない機能をダイオード・トランジスタを組み合わせて作っていくことが多い。電源回路は意外に難しい。電子回路全体のエネルギーを制御するので、熱的限界も含めてさまざまな素子限界と直接向かい合い、かつ負荷短絡などの保護システムも考慮しなければならない。
最初から解析の難しい回路から導入するのではなく、がんばれば設計の背景を理解できる回路:オペアンプ回路から導入することは一案であると考えている。
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アンケートは通常3段階評価か5段階評価のものが多い。記名式か無記名かでも結果はかなり違う。
アンケートをとる立ち場からは、記名式のほうが、より肯定的な評価を得やすい。記名式だとアンケートに対して、2や1の評価を書きにくい。とくにアンケートの提出先が直接関連があると甘い評価をしておいたほうが無難だ。3段階評価なら良い・ふつう・悪いのランクなので、1の評価もある程度出せる。
5段階評価だと、上上に相当する5はつけにくい。まして、1はとんでもないという感じになることが多い。1はさらにつけにくい。従って、通常の5段階アンケートは実質的に5と1は非常に少なくなるので、実質的に3段階評価に近くなる。5段階評価のアンケートで4を超える結果を出すのは大変である。
日本的ではないが、私は7段階評価のアンケートがアナログ的で良いと思う。
中学校の5段階評価も1はつけにくいらしい。高校進学のときに1評価があると学校によってはかなり不利になるという話しもある。5の評点に比べて1の割合が少ないという噂も聞く。
段階の数も答えやすさを左右するが、アンケートの設問が稚拙なときには答えたくなくなることも多い。肝心なポイントに対して設問がない場合が多い。アンケートの設問者はまじめにアンケートの結果を活用する気でいるのか疑問を感じることもある。
いずれにしても、アンケートの結果は評価法や設問の誘導の仕方でかなり違った結果を恣意的に得ることができるはずである。まじめなアンケートにはそれなりに一生懸命答えたいものである。
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あんもくち(tacit knowlege)は、勘や直感、経験に基づくノウハウとされている。
2007年問題=団塊の世代の退職に伴う技術・技能を継承するための手法として、「暗黙知」から「形式知」への変換が提唱されて久しい。
暗黙知は、個人の過去の経験とその分野での試行錯誤の結果得た個人的戦略であると思う。学術論文のように、再現可能な状態で定量性を持った証明可能な世界ではない。特定の個人にとって、自分には確からしく、その指針に沿って自分は行動し、一定の成果を挙げてきた指針が「暗黙知」ではないだろうか。
暗黙知を形式知にするには、少なくとも暗黙知の背景にある経験とそれなりの論理思考過程を明らかにして書き残さないと意味がない。単にこの場合はこのようにすればよい結果を得ることができる、という形式知識は百害あって一理なしと私は考える。論拠のはっきりしない、長い経験によるノウハウと称する知識は変革がむづかしく、モデル化もされていない。従って、その暗黙知を変えるには膨大なエネルギーを必要とする。将来の知識の発展のためにはどうしても根拠の開示が必要だと考える。
ブログでは、曖昧な部分を含んでいても公開は可能だ。学術論文になればそれなりの検証と証明が必要になる。1冊の本をまとめるとなると、先人の書かなかったあるい書けなかった視点を公開することになる。
暗黙知は形式知に変換できるか? 変換のためには少なくとも暗黙値の所有者の持つ背景までを記録に残さないと、継続的に成長可能なデーターベースの構築に繋がらないように思える。
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アーチェリーの弦には、現在では超高分子ポリエチレンの繊維が多く使われる。私がリカーブボウでの使っている弦はファストフライトの商品名で売られている超高分子ポリエチレン系の弦である。
超高分子ポリエチレンは比重が軽く、弾性率が高いので、矢とともに高速で運動する弦が軽いと、矢の初速を上げることができる。
一昔前はアラミド繊維が多く使われていた。商品名は「ケブラー」である。弓具の違いもあるが、とにかく伸びない、強い糸である。実射の感覚では、発射直後にガツッという反動が来る。アラミド繊維は強い糸なので、ほぐして錘をぶら下げると、手が切れそうになるほどの強度がある。ただし、高価であった。
当時の中級者の多くはポリエステル弦が主流であった。張弦時結構伸びるので、発射時の反動は柔らかである。しかし、弦が伸びるので矢の初速はアラミド繊維ほどには上がらない。繊維が伸びるので、簡単な雇で糸から弦を製作することもできた。ケブラーは伸びないので、束ねる糸(10数本)に均一に聴力が掛かるように作るのが難しかった。
ポリエチレン弦は他の繊維より熱に敏感とされている。
コンパウンドボウでは、機種にもよるが3本以上の弦を用いる。コンパウンドボウを使い始めて10ヶ月だが、まだ弦が切れたことがない。オリンピックや国体で使う通常のアーチェリー(リカーブボウ)の競技者は予備の調整済み弦を持っているが、コンパウンドボウの弦はそれなりの用具を使わないと着脱できない。
したがって、コンパウンドボウ(複合弓:写真はプロフィール参照)は弦を張ったままケースに入れて持ち運ぶ。
コンパウンドボウの弦は2-3年くらいは切れないらしい。私の弓の弦は糸が着色されているのでその材質ははっきりしない。
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2006年6月16日 (金) アーチェリー | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
1960年以前からPERT(Program Evaluation & Review Technique)の手法がが使われている。日本流に言えば「段取りの科学」である。現在ではパソコン上で関係者と共有しながらプロジェクト情報を共有するソフトも市販されている。
しかし、2006年現在、段取りの科学が広く日本の工業社会に受け入れられているとは考えにくい。PERTの原則は、作業の関連性のトポロジーを先に書き、後でそれらのイベント間の所要日数を入れる。そのあと、方針に従って、最短日程を制約している工程:クリティカルパスの修正を行う。
見積もりは、ゲームと同様に担当のサバ読みと管理者の値切りの駆け引きの中で行われる。力関係でどうしても楽観値に日本では決着を見ることが多い。プロジェクトリーダーは、事前に不確定な部分をうまく織り込み、クリティカルパスとなりうる工程をよく把握しておく必要がある。
日本では、多くの場面でガントチャート(横軸:暦日、縦軸:作業項目)が使われている。ガントチャートは精神論で「エイヤッ」と作られることも多いので、無理やり日程短縮されやすい。現実にはエイヤッと引いたガントチャートよりたいてい遅れる。
私はPERTなどの日程計画手法は、プロジェクトマネージャーが自分の担当するプロジェクトの現時点での未来予測をして、段取りのためにつかう技術であると思っている。近日未来は詳しく、ずっと先の工程はある程度大雑把に括る。
PERTは段取りの科学である。そして、段取りの改善はプロジェクトマネージャー自身のために使うことが最も重要であると思う。
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コンデンサの並列接続は問題ないが、直列接続をする場合には少し工夫が必要だ。2つのコンデンサC1とC2の直列容量C0は、1/C0=1/C1+1/C2であることは、高校物理で電気を習った人なら知っている。
現実に、コンデンサを直列接続する場合の1例としては、1個のコンデンサでは耐電圧が不足する場合に2個直列接続して耐電圧を稼ぐ例がある。このときには、直列接続点の電圧がどうなるかが問題である。2つのコンデンサの初期電荷を0として、C1=C2なら直流電圧Vを印加した直後の各コンデンサに掛かる電圧はV/2である。
しかし、時間が経過すると、漏れ電流のない絶縁体はないので、必ず個々のコンデンサの漏れ抵抗で決まるDC電圧分担配分となる。1個のコンデンサで負担できる電圧よりも高い電圧に耐えさせることが、この場合の直列接続の目的であるので、耐電圧を超える電圧が片方のコンデンサに掛かる可能性がある。
絶縁抵抗あるいは漏れ電流の値は上限だけ定められていることが多いので、電圧分担がV/2になる保証は何もない。むしろ、絶縁抵抗の高い片方のコンデンサのコンデンサが部分的に絶縁破壊を生じ、絶縁抵抗の低い方のコンデンサの漏れ電流と釣り合っている状態になることを想定する必要がある。
もっとも、安直で確実な方法は各コンデンサに並列に、絶縁抵抗より十分大きい電流を流す抵抗を並列に付加することである。これなら、C1とC2の接続点のDC的な電位をコントロールできる。
この手法を用いるときには、他の品種のコンデンサで得にくい高い耐電圧を期待することが多い。従って、抵抗の耐電圧を考えると、かなりサイズの大きな抵抗を並列に接続することになる。
並列抵抗が使えなければ、直列接続したコンデンサを場合によっては部分的に絶縁破壊状態で使用することになる。どのような品種のコンデンサをどのようなストレス下で使用すれば、ユニットの設計寿命を全うできるかは実績などの結果を反映したものとなっているはずである。
書物としては少ないが、部分放電に関した記述を拾い読みすると、高圧送電ケーブルでは1μクーロンの部分放電電圧を評価基準とする一方、無機材料を用いた強電機器では1万μクーロンの部分放電電荷量まで許容しているらしい。
直列コンデンサ、されど難しい。加速係数に関する記述はほとんどないので、解明された世界なのか、未解明の世界なのかも良くわからない。
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管理されていない室内で機器の温度上昇を測定するとき、十分な測定精度が得られないことがある。室温測定と、対象部分の測定に2つの温度計を使用するためである。
一般の温度計はその目盛幅程度の誤差を含む。工業用では熱電対で測定することが多いが、現在では基準温度(冷接点)側に、電子的に発生させた0°Cからの偏差に応じた電圧を発生させることが多い。
熱電対は基本的に、2つの異種金属の接続点の温度差に応じた電圧をゼーベック効果により発生する。したがって、素線Aと素線Bと素線Aを直列に接続し、A-B接点を測定対象に密着させ、B-A接点を室内空気に晒すと、測定対象の温度上昇を直接測定できる。
必要に応じて、B-A接点の熱時定数を測定対象の熱時定数に合わせれば、揺らぎの少ない上昇温度を求めることができる。
mV台の電圧測定と、起電力表による温度換算が必要だが、誤差要因が少ないので案外正確な測定が可能である。
熱電対は基本的に温度差の測定を行っている。そして、電子機器では室温あるいは筐体内空気温度からの温度上昇を問題にすることが多い。したがって、熱電対の基準接点側を室温にすることにより、少ない誤差要因で電子機器の温度上昇の測定が可能である。
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2006年6月13日 (火) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
今朝、ささやかな我が家の熱帯魚の水槽にネオンテトラが浮いていた。加温しすぎで、水温が35°Cを超えていた。
原因は、吸盤で取り付けていた水中温度センサが、水から露出していた。吸盤が外れた結果、リード線に引っ張られて、空気温度を測っていた。設定温度は23°Cだったが、昨日の深夜に室温がそれ以下に下がりヒータがフル運転したらしい。室温が、設定温度より高ければヒータはオフの状態である。室温が設定温度より下がると、センサは空気の温度を測っている状態なので、水温に関係なく加熱してしまったようだ。
以前、冬場にセンサとヒータ一体型の保温器を使用していてヒータの断線のため熱帯魚を死なせてしまったので、今度は水中部分に制御回路がないタイプを選んだ。それが裏目に出た。
水温は熱帯魚ににとって見れば生命維持装置のひとつだが、センサ異常やヒータなどの1故障を許容して水温を夏場も冬場もある幅に制御することは、手作りでは意外に難しい。
ヒータも温度センサも多重系にしても、異常処理のコントローラ部分までは家庭での電子工作では簡単には2重系にできない。
家庭でできる簡単な方法は、冬場は150Wくらいの保温器を2個使用し、平均気温が20°Cを超えれば手動でヒータ電源を切っておく。
これが、現実的な答えかもしれない。
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高校物理は受験科目にするには負担の重い教科であるが、工学の基礎となっている。
高校物理はふつう力学から入る。通常は、微積分やベクトルの計算を表立って使用することは少ない。しかし、加えた力Fと移動距離dXの積分値が質量m運動エネルギーの変化であることを示す式mV^2/2=∫F(X)dXになると、概念を理解していないと公式を覚えきれない。
電磁気学はその先の授業である。ファラデーの右手、左手法則で参ってしまう。物理は高校3年生で学ぶことが多いので、実質授業時間が不足気味で、電磁気学の部分はかなりハイペースとなる。
私が高校の頃、大学の先生がお書きになった「物理の研究」という参考書があった。大学で教鞭を取られている先生が自分が高校で教えるとしたらこのように教えたいとのまえがきがある本だった。当時の一般の物理参考書とは異なり、高校数学をフルに使ってきちんと物理の概念を教えてくれた本であった。読みこなすのに2年掛かったが、今でも忘れえぬ私にとっての最初の専門書である。
高校物理はその背景にフルには使っていないが、高校数学の概念理解が必要である。この結果、数学ができなければ物理ができない。しかし、数学ができたからといって、物理ができるとは限らない。ここに、工学離れの一因がある。
そして、ファミコンや個人ゲーム機の世界とは異なる長時間掛けての自己訓練の期間を必要とする・・・・。
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2006年6月11日 (日) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
エンジニアの作品は何事もなく動かすことができ、動いているのが理想だ。
しかし、日本的な良きエンジニア像では、寝食を惜しんで体力の限界までさまざまな課題を克服していくイメージが強い。かっての「プロジェクトXの演出のように・・・・。
本当の名エンジニアは、そんな姿を見せないのではないか。周到な事前検討、実験計画とプロジェクト管理技術により、どたばた劇にならないように最善の開発プロセスを選択し、故障の少ない作品を作るのではないか。
私のエンジニア像は、もっとも困難な課題を引き受け、粛々と達成していくエンジニアが名エンジニアと感じる。
無事これ名馬。無事であるだけに、その馬の力量を評価できる乗り手が日本では少ないのではないか。
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2006年6月10日 (土) 随想 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
商用周波数用の、いわゆる一般整流ダイオードを30KHzの電力整流用に使ったらどうなるか?
×ばつIの電力損失により素子温度が上昇する。場合によっては、素子破壊に至る高温まで過熱する。これがサーマルラン:熱暴走である。
高速整流ダイオードFRDはスイッチングコンバータの出力側整流ダイオードなどに使用される。最近では50ns以下の素子も楽に入手できる。しかし、逆回復電流の直接観察は意外に難しい。数ns程度の時間尺度になると、サンプリングオシロスコープなどの高級機材が必要な上、電流測定上の問題がある。したがって、通常の実験環境ではこのような機材を使えることは稀である。逆回復時間は、電圧のスイッチング時間に依存して、異なる回復パターンを示す。理想的には1ns以下のスイッチング時間で逆回復の様子を観測すればよいのだが、適当なスイッチング素子が簡単には手に入らない。
逆回復時の電荷の移動は、ダイオードPN接合容量と似たような挙動を示す。逆回復時間はキャリア寿命と密接な関係があるので、金や白金などの熱拡散しやすい重金属を再結合中心としてドープされているらしい。
低い電圧の整流用途ではショットキバリアダイオードSBDも良く使われる。逆回復時間は極めて短いとされるが、接合容量が小さいとは限らない。
回路シミュレーションプログラムSPICEでは、ダイオードのトランシット時間Ttを指定することにより、任意の逆回復時間を持つダイオードの整流挙動を計算できる。スイッチング波形の特定位置に電流スパイクが出るはずである。
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2006年6月 9日 (金) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
高抵抗は意外に扱いが難しい。電子回路においては、10MΩ以上になると、高抵抗としての扱いが必要になってくる。
抵抗値によっては、素手で触ると抵抗値が下がったりノイズが多くなる場合がある。値の高い抵抗ほど、丁寧に扱うことが必要だ。
高抵抗は高い電圧を扱う場合も多く、抵抗の「耐電圧」に注意しなければならない。一般の例えば1/4Wの抵抗で数100Vを許容する部品はそう多くない。抵抗はふつう許容電力と抵抗値の2点を考えればよい。しかし、高抵抗の用途を考えると、高い電圧の分圧回路として高抵抗を使用するには、その抵抗の「耐電圧」を考えに入れて抵抗体を選ぶ必要がある。
高い電圧になると、多くの抵抗体の抵抗値は電圧依存性を持つ。抵抗値が電圧依存性を持ち、厳密にはオームの法則から外れた特性を示す。
他の高抵抗の使い方としては、オペアンプを用いた電流増幅器の帰還抵抗としての用途がある。この場合には高抵抗の構造に由来する並列容量も影響してくる。1pF足らずの寄生容量も大きく影響し、高周波側でインピーダンスが低下してくる。
電子回路においても、極端な条件下で特殊な部品を使うことがある。このときには、抵抗1本であっても技術資料を熟読しておく必要がある。
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2006年6月 8日 (木) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
いつの頃からか、妻や子供たちから依頼がなくなった。理由は子供たちの電子おもちゃや簡単な家電品の故障を直せないからであった。キーワードは「お父さん、本当に電気屋さんなの?」
ブログだから、親父として言い訳させて頂きたい。
例えば、頭髪を乾かすドライヤーだって、故障部位によっては直せない。いや、直せない部分の方が多いのだ。ドライヤーの送風温度は約70度であるが、最終保護として、温度ヒューズがついている。これが切れていたら代わりの温度ヒューズは手に入らない。温度ヒューズを針金で代用するほど中途半端の処理をする勇気はない。温度コントローラ部分なら安物はオンオフ制御なので調整可能だ。送風モータ部分だと、ブラシありモータだとブラシ部分は修理は部品が手に入らないので修理できない。
デジタル機器だと、ほとんど、どうにもならない。接触不良程度なら接点復活材を塗れば何とかなるが、それしかできない。
かくして、家庭ではアナログエンジニアの力を発揮する機会がない。お父さんの技量を発揮する場面がなかなかないのだ。恥をかく場面は多いけれど。
材料・部品調達を個人ベースでやろうとすると大変なのだ。LSIが紛れていると、アナログ回路といえども部品を見ただけで、ピン配列と機能を特定できないことのほうが多い。家電品類を修理するには、ユニット交換しかない時代だと思う。
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2006年6月 7日 (水) 随想 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
100V用20Wの電球の抵抗値はいくらか?
電力P=V^2/R からR=500Ωと答えると、あまり工学的ではない。
実際にテスターで20W電球の抵抗値を測定すると、テスターの測定電流にも依存するが50Ω程度となる。電球はふつうタングステンの細い線を2000度近くまで熱することにより光っている。より低い電流で測定すると、抵抗体はほぼ室温にあるので、定格電圧を加えたときの1/10位の抵抗値になるのである。
タングステンの温度係数は0.3-0.4%/°Cと大きいので、テスターで測定するとかなり低めに測定されるわけである。
抵抗の並列接続と直列接続の問題を扱うとき、並列接続は良いが直列接続の場合は、電圧分担が変わる。電球マークを使って、抵抗の直列接続の問題を扱うことは現実に合わない。
かっての小学校か中学校かは忘れたが、電球マークで説明している図があったことを記憶している。
ガス入り電球の投入電流の最大値は計算できても、その温度を見積もれないアナエンでした。
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2006年6月 6日 (火) 工学 | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)
マイナースポーツの常設アーチェリー場はそう多くない。各県に1箇所か2箇所。それに学校のクラブ活動用の射場がいくつかある。
私の県では、社会人が射てる射場は、県庁所在地に1箇所のみである。昨日は記録会をしていたが、その射場に1人の女性が来ていた。射の合間に声を掛けられた。たぶん、私が一番の年配者に見えたからであろう。
この射場を使うには、どのようにすればよいのですか? 記録会に参加していなかったグループの取りまとめ者に紹介した。数年ぶりでのアーチェリーだそうだ。道具1式を持参して、25kmを車で来ていた。
マイナースポーツの場合、社会人になるとそれまでの競技設備のある場所から別の地区へ移動することが多い。その際、いつも問題になるのは、練習場所である。アーチェリーは屋外では最短距離が30mである。そのために、練習場所がないとどうにもならない。数mの近射では楽しくない。
私の県では弓道をできる場所はかなり多くあるが、アーチェリーをできる場所は限られる。
私は24年ぶりで再びアーチェリーと出会ったが、射場のある限り、命ある限り続けて行きたいと思う。弓は、道具を選べば老若男女関係なくできるスポーツである。日曜日の記録会では、的割の都合で30m、36射2回で中学生に大きく引き離された。
私の成績は30m、72射で560点、・・・・。うーん、出だしの6射2回が当たらなかった。
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2006年6月 5日 (月) アーチェリー | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
サーミスタは負の大きい温度係数をもつ感温抵抗として知られている。その抵抗値は温度Tの逆数の指数関数として、表現できる。通常はその組成に遷移金属の酸化物を含む。サーミスタは高い温度係数を持つが、その代わり温度と抵抗値の関係が非線形である。
サーミスタRTに並列抵抗RPと直列抵抗RSを接続した回路を考えてみよう。
サーミスタRTは高い温度領域では、抵抗値が非常に低くなるので、合成抵抗RX≒RSとなる。逆に低い温度領域ではRTの抵抗値が非常に高くなるので、合成抵抗RX≒(RP+RS)となる。中間温度では、抵抗値と温度の関係がS字曲線となる。
適当な温度範囲で見ると、上に凸な領域と、下に凸の温度係数をもつ領域がある。変曲点の付近では、かなり温度対抵抗の関係が線形になる。
この性質を使用すれば、やや広い温度範囲で2次の温度係数を持つ合成でき、しかも正と負の温度係数をもつ抵抗回路を合成できる。
線形領域を使用すると、例えば体温の変動範囲でほぼ線形な温度係数をもち、その合成抵抗の値をある幅に制御できる。
このようなサーミスタ回路を使用すると、1次のみならず2次の温度影響を受動回路で補正することができる。
構造が簡単なので、意外に奥の手としての使い道がある。
サーミスタ材料は種々あるので、この奥の手を活用するには材料屋さんとプロセス屋さんの協力が必要であるが、外部回路により2次の温度係数まで回路手段により制御できる手法が存在する。
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2006年6月 4日 (日) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
大きな荷台のトラックが自分の車のすぐ前を走っていると、交差点の信号がよく見えないことがある。ひょっとすると信号はすでに黄色になっているかも知れない。こんなときには、斜めの方角にある歩行者用信号を確認することが、交通の危険予知の方法の常套手段である。
同じような場面がアナログエンジニアの開発でも時々生じる。単純に追いかけるだけでは、先行する車と同じ行動になりがちである。熟知したホームグランドの道であれば、その道を運転するときの危険箇所はわかっている。しかし、初めて走る道で、前を走る車が大きいときには前方の車に視野を遮られて先を見通しにくいことが多い。
このような場面で、個人では運転者が日常やっているはずの交通危険予知の感覚・注意のコツが発揮されにくい。失敗の確率を下げるには、普段から開発の危険予知能力を磨いておきたいと思う。
多くの交通事故は、2つ以上のミスが重なって発生するといわれる。車を運転していると1000kmに1回くらい、ちょっと注意不足だったと反省する場面がある。注意不足の頻度が高いと、事故の確率が急激に増える感覚である。要因が多いと、要因の累乗で効くから、さほど負担にならないそれぞれの少しの改良が安全運転に大きく寄与するように思う。
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2006年6月 3日 (土) 随想 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
社会人になって10数年経過すると、自分がいつ、何のために、どのような仕事をしたのかわからなくなる。
15年ほど前に、必要があって自分の足跡を辿ってみた。残る記録と曖昧になっている記憶を組み合わせて、かろうじて自分の足跡をぼんやりと過去に遡ることができた。
そのときの自分の喜怒哀楽が、自分の経過した歳月を超えて生々しくよみがえった。生きている限り、自分の足跡はどこかに残っている。忘却のかなたに埋もれるまえに、どこかに書き出しておきたいものだ。今の自分へのメッセージとして。
今を全力で生きている若者には、とりあえずは必要がない自分の足跡かもしれない。しかし、苦しいときに本当に自分を支えてくれるのは、ともに歩んだ仲間たちや伴侶の記憶だと思う。
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2006年6月 2日 (金) 随想 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
5/31に合否発表があった。経済産業省管轄の「一般計量士」の国家試験である。自分の受験番号があった。取りたかった資格である。
センサ関連のアナログ回路を標榜するアナログエンジニアとしては、センサ関連では数少ない資格としてチャレンジした。専門科目では自信があったが、法令・管理では厳しかった。
資格試験を重視しない管理職も多く存在するが、資格取得のために少しだけ自分を広げることも大いに意味のあることではないか。この資格を取るために、アナエンははかりの構造を一生懸命勉強した。そして、少しだけ自分を広げることができたと思う。キッチンスケールの平行四辺形の構造体は、偏芯荷重による誤差を避けるための基本構造である。見事に理にかなったリンク機構を低価格で実現している。そして、普段気に留めなかったマークが貼られている。
試験に合格したからといって「計量士」をすぐ名乗れるわけではない。合格証がきてから、経歴証明を添えて登録した後に初めてその称号を使える。アナエンは、資格維持に、資格経歴を更新する必要のない資格を狙って取得してきた。サイエンティストは必要がないと思うが、エンジニアでは名刺代わりにいくつかの名乗れる資格が必要となる場合がある。
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2006年6月 1日 (木) 日記 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
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