元検事正 一転、無罪主張 部下に性的暴行の疑い...10月初公判で認めるも 被害者女性検事は怒り
[ 2024年12月11日 04:45 ]
酒に酔った状態の部下の女性検事に性的暴行をしたとして準強制性交の罪に問われ、初公判で起訴内容を認めた元大阪地検検事正北川健太郎被告(65)が、一転して無罪を主張することが10日、分かった。大阪地裁で同日開かれた裁判官、検察との非公開協議で弁護人が表明した。
北川被告は10月25日に大阪地裁で行われた初公判で「争うことはしません」と起訴内容を認め、「被害者に重大で深刻な被害を与えてしまい、深く反省し謝罪したい」と述べていた。検察側は冒頭陳述で、2018年9月、北川被告は女性や同僚らとの懇親会が終了後、泥酔状態の女性が乗るタクシーに強引に同乗。自身の官舎に連れて行き、性的暴行をしたと指摘。女性が暴行をやめるよう伝えたが聞き入れず「これでお前も俺の女だ」と発言したという。事件後、女性に「事件が公になれば自死する。検察庁に対し強烈な批判が出て仕事にならなくなる」「時効が来るまで食事をごちそうする」などと言い、口止めを求めたとしている。
初公判後、主任弁護人が交代。新たな主任弁護人の中村和洋弁護士は10日、大阪市内で会見。女性が抵抗不能だったという認識が被告になかったとし「同意があったと思った。犯罪の故意はなく無罪だ」と述べた。中村氏によると、北川被告は当初、関係者や検察に迷惑をかけたくないという理由から、起訴内容を争わない方針だった。しかし「検察内部から捜査情報が漏えいした」と被害者から批判されるなど、かえって検察批判を招いたことから「間違っていたのではないか」と考え直したという。事件後、被害者側に1000万円を支払って解決したとの認識だったとした。
北川被告は石川県出身。"関西検察のエース"と呼ばれ、大阪高検次席検事や最高検刑事部長などを経て、2018年2月から19年11月まで大阪地検検事正を務めて退官。その後は弁護士登録した。
≪被害女性検事は11日会見へ≫
北川被告が無罪を主張する方針を受け、被害者の女性検事が代理人弁護士を通じコメントを発表した。「私をどこまで愚弄(ぐろう)し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」と強烈な言葉を並べ、初公判で起訴内容を認めたことを「保釈を得るための芝居だったのでしょうか」と批判。「保釈請求も却下され、また、私が一貫して判決確定まで損害賠償金の支払いに応じないと表明していることから、いよいよ実刑判決が見えてきたことに焦った」と続けた。
さらに「被告人が親しい女性副検事に捜査情報を漏えいさせるなどしていた疑いがあり、それについても処罰の可能性が出てきたことから、自己保身ゆえに再び否認に転じたのだと思います」とした。女性は11日午後、会見を開く。
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