「紀州のドン・ファン」裁判を弁護士が解説 「大阪でトップクラスの弁護士。裁判員裁判にも慣れている」
[ 2024年12月13日 05:00 ]
2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さん=当時(77)=に覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた元妻須藤早貴被告(28)に12日、和歌山地裁で無罪判決が言い渡された。検察側の求刑は無期懲役だった。識者は、11月に証人として出廷した覚醒剤の密売人が「売ったのは氷砂糖」とした証言が無罪判決のポイントになったと指摘した。
【亀井正貴弁護士が解説】 元妻の弁護士について、亀井氏は「大阪でトップクラスの実力のある弁護士」と評した。「裁判員裁判にも慣れている。裁判員の感情の動きもよく分かっていた」と指摘した。
今回は裁判員裁判だったことが、無罪判決が下された理由の一つと分析。亀井氏は「職業裁判官はドライに証拠を判断するが、裁判員は目の前の被告人を懲役刑にすることにちゅうちょを感じる。その感情を消し去るほどの直接証拠がなかった」とした。裁判員裁判の導入は市民感情の反映が目的でもある。「裁判員裁判の意義が実現したとも言える」と評した。
また、公判中の10月には58年前の事件の再審で、袴田巌さん(88)の無罪が確定した。えん罪事件に市民の注目が集まっていたことも「影響したでしょう」と語った。
一方、検察側の証拠積み上げに関して亀井氏は「弱かったということはない。検察は覚醒剤の売人の証言も織り込み済みで、それでも有罪が取れる状況はそろったとみていたと思う。無罪になるとは考えてもいなかっただろう」と指摘。控訴した場合は「新たな証拠を出すというよりは、一審の判断が間違いではないか、というところを主張していくのではないか。逆転も十分あり得る」と推定した。
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