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【スポニチスカウト部(4)】東芝・粂直輝 エース級の活躍へ直球勝負

[ 2023年2月28日 06:00 ]

サイドからの直球とスライダーを武器にプロの世界を目指す東芝・粂

今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第4回は東芝の最速149キロ右腕・粂(くめ)直輝投手(23)。サイドからの150キロ近い直球とスライダーが武器で、社会人1年目の昨年は日本選手権でも先発を任された。2年目の今季はさらなる活躍に注目が集まる。

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一歩一歩だが確実に成長を重ね、ようやく見えてきたプロの世界。ドラフト解禁となる社会人2年目へ、粂は「1年目から多くの経験をした分、今年はチームを引っ張る存在になっていればおのずと結果も出ている」と、エース級の活躍をしてプロの世界を目指す覚悟を示した。

右サイドからの150キロ近い直球が最大の武器だが、元々はアンダースローだった。転機は高2の夏。高校入学以降、投手として思うような結果が出ておらず「思い切って腕を上げてみた」。結果はすぐに表れ、変更当初から球速は140キロ近くを計測。当時から投球フォームはほとんど変えていないが、体つきが大きくなるたびに球速も増し、大学時代には140キロ台中盤を計測。今では最速149キロとなった。

社会人1年目の昨年。日本選手権の先発を任されるなど、チームの信頼を確実に得てきた。「最初は壁にぶつかり、さらに上を目指していくには投球スタイルを変えないといけないと思い、今の考えにたどり着いた」。大学までは力強い直球で押し込むスタイルだったが「社会人になると変化球には全く手を出してこず、直球を狙い打ちされた」。一番、自信のある直球を生かすためにたどり着いたスタイルが、変化球の割合増加だった。決め球のスライダーだけでなく、フォークやカーブ、ツーシームの割合も増やすと、夏以降には結果が出始め、10月のJABA伊勢・松阪大会のバイタルネット戦では7回参考記録ながら完全試合を達成。「この試合は変化球を見せ球にして直球で勝負できた」と、成長へのターニングポイントに挙げる。

昨秋のドラフトではエース吉村がヤクルトから1位指名された。「今年はその穴を埋められる結果を残したい。そのためにまずは150キロを出すことが目標」。その先にプロへの道が続いていることは、自分が一番分かっている。(村井 樹)

≪昨年10月ヤクルト村上と対戦 いつか雪辱を≫粂は昨年10月、リーグ優勝を決めたヤクルトとの練習試合に登板。決して忘れられない勝負を経験した。「オーラも凄かったしプロの実力を痛感した」。史上最年少で3冠王に輝いた同学年の村上との対決で、二塁打を許したが「改めて空振りを奪える変化球がないと上(プロ)では勝負できないと分かった」と振り返った。「社会人相手からは空振りを取れていた際どい直球が全てカットされ、最後は甘く入った変化球を持っていかれた」と分析。経験を糧に今冬はスライダーを強化し「(村上は)凄い存在。いつかまた同じ舞台に立てれば」と雪辱の時を見据えた。

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