「50年ぶりの円安」でも日本経済は困らないといえるこれだけの理由
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物価変動を考慮すると円相場が50年ぶりの円安となっている。しかし、これにはメリットもデメリットもあるので、日本経済全体として困った事態とは思われない。なぜそういえるのか、解説しよう。(経済評論家 塚崎公義)
物価変動を考えると今は円安
実質的な円相場が50年前の水準に戻ったと、一部で話題になっている。
1ドル115円というのは、50年前と比べてはるかにドル安円高だ。しかし、日銀の試算によれば、その間の諸外国と日本の物価上昇率格差を考えると、実質的な円の価値(輸出の困難度など)は当時とほぼ同じのようだ。
50年前といえば、高度成長が終わった頃である。その後、30年前までは安定成長期、その後の30年はバブル崩壊後の長期低迷期であった。その間の為替レートの変動を数値例でイメージしてみよう。イメージしやすくするため、以下は実際の数字と一致しないので、留意されたい。
安定成長期の間に日本の物価は変動せず、米国の物価が2倍になり、ドルの値段が3分の1になれば、日本人から見て米国の物が安く感じられる。この場合、輸出企業は苦労する。
ところが、長期低迷期の間に、日本の物価は変動せず、米国の物価は5割上がっても、為替レートは30年前と同じであれば、日本人から見て米国の物が値上がりしたように感じられるため、輸出企業の苦労は緩和されたことになる。
両方の時期を合算して50年前と比べると、米国の物価は3倍(2倍の5割増し)になり、ドルの値段は3分の1になったので、日本人から見て米国の物価は50年前と同じ水準に戻ったように見える。
50年前といえば、日本製品が「安かろう悪かろう」と言われていた頃だ。その後の安定成長期に日本製品の品質が向上し、「日本製品は品質がいいから高くても買いたい」という外国人が増え、円高になっていったのだが、それが元に戻ったとみられる。
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