昨年末から今年はじめにかけて、頭の中がずいぶんもやもやしていたのですが、ああ、これかも、というテーマがおぼろげながら見えてきた感じです。それは、わたくしの研究テーマの主軸はこれから何になっていくのか、というお話です。そして、それはきっと、つながることの本質的な価値、つながることがなぜ価値=幸せを生み、「場」を作り、イノベーションを呼ぶのか、そのメカニズムの解明、モデルの構造化と分析・実証ということだろうと。このテーマを2014年かけて、きっと追求していくのだな、と考えるに至りました。
昨年夏から秋にかけて、ありがたいことなのですが、さまざまな研究やワークショップや執筆や新しい講義が押し寄せ、アップアップして、このプログも更新がままならぬ状態が続いていました。他方で、よかったことは、仕事の洪水の中でもがき続けたことが、自らにとって未来に向けて大切なことを見いだせるチャンスとなったことです。
20140103photo1 写真は、慶應SDMで昨年12月に開かれた
第二回未来デザイン会議でグランプリを獲得された、
鎌倉戦隊ボウサイダー ×ばつデザイン思考」でソーシャルイノベーションを起こして言っている素晴らしいプレゼンが多くありました。
20140104photo4 昨年秋に、慶應SDMの研究プロジェクトとして、地域活性化のフロントランナーであり、UターンIターンの島としても知られる島根県隠岐島の海士町を訪問させていただいたのも、よいきっかけになりました。海士町は、ピーク人口7,500人から今は3000人を切っている過疎のまちながら、コミュニティが自立することを追求し、農林漁業と観光を中心に、どのようにコミュニティの価値向上に結びつけるか、挑戦を続けていました。少子高齢化と厳しい財政事情という、課題先進国日本のフロントランナーの現場を、多くの方と現地で対話することで実感させていただきました。
海士町のみなさまに加え、岡山県総社市のNPO
吉備野工房ちみちの加藤せい子さん(地域活性学会に向けた共同研究でご一緒しています)や、徳島県神山町のNPO
グリーンバレー神山の大南信也さん(昨年7月の酷暑の週末の高崎、地域活性学会の研究大会でご挨拶させていただきました)、そして他にも素晴らしい地域イノペーターの方々に慶應SDMの研究を通じてお会いして、感動をいただきました。
×ばつデザイン思考」によって社会にイノベーションを加速しようとする方法論は、海士町をはじめ多くの先導的なコミュニティで、天才的と言える素晴らしいイノペーターの方々によってはるか昔から実践されているなあ、ということ。ということは、これを学術的にしっかりと確立していくことが大事だということでした。
systemic and systematic thinking、すなわち、つながっていくことで全体俯瞰的にものごとをとらえ、問題の解決策を順序立てて生みだしていくというシステム思考。そして、社会の課題に対してideation-fieldwork-prototypingという三位一体を通じてソリューションを提案し、社会に実装していくというデザイン思考。この二つのよいところをマエストロのように瞬時に行ったり来たりし、ソーシャルイノベーションのデザインを生むひとたち。
この天才たちの頭脳の中には、つながることの本質的な価値がぱっとわかり、つながることがなぜ価値=幸せを生むかということがひらめき、みなが集う「場」を作り、イノベーションを呼ぶメカニズムが埋め込まれているのでしょう。ああ、それを可視化したい、構造化したい、そしていつの日にか、天才でなくとも後から方法論を学ぶことで、社会にイノベーションが起こせるように体系化したい、と。
このテーマをグローバルなリスク分析という、日本にとっての安全安心というテーマに応用したのが、
PHP総研グローバルリスク分析2014年版 ×ばつデサイン思考」によるリスク分析の新しい方法論をモデル化させていただき、この2014年の分析に早速応用させていただいたのでした。
20140103photo2 昨年夏のある日、慶應SDMがある慶應日吉キャンパスのグラウンドにほんやりとたたずんで、長い間、考えごとをしていました。それは、自分の学術的興味はどこへ向かうのだろうかということ。
2014年のはじめにそれが、おぼろげながら見えてきたような気がします。多くの先学たちが素晴らしい業績を挙げておられる中で、浅学非才な自分は何が社会に学術的に貢献できるのだろうか。それは、つながり、「場」をつくり、つながることで幸せになり、そのつながりが「場」にできた集合知の協創のちからで、社会に問題解決を設計提案(ソーシャルデザイン)し、社会のシステムをより良い方向へ変えていく(ソーシャルイノベーション)
×ばつデザイン思考=>価値の協創=>ソーシャルデザイン=>ソーシャルイノベーション、のシークエンスの構造化をするということかもしれません。そして、それを具体的な学術フィールドとして、公共政策、地域活性化、金融、リスク分析、社会システムなどで事例を集め、一般化していきたい。
なんだか、これまで研究でいろいろなことをやってきて遅まきながら、ということかもしれず、恥ずかしい感じもしますが、トラックを何周か走って、また次のスタートラインに立った気持ちがするので、2014年の年初めということで、プログに書いてしまいました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
- 2014年01月03日(金) 15:37:11|
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