慶應SDM地域活性化ラボ20130216-1 地域活性化の「活性化」の定義と活性化のシステムズアプローチでの方法論の構築作業がはじまったと確信できた研究会でした。昨晩遅くから、慶應SDMの地域活性化ラボ。約15名の参加者のうち、大学教員と研究員が過半数、院生も社会人のほうが多いという「大人のゼミ」でした。それぞれのバックグラウンドと専攻も多様で、まさにインターディシプリナリー。
チェコの作家クンデラの名作『存在の耐えられない軽さ』をもじって言えば、地域活性化の「活性化」の「定義の耐えられない曖昧さ」に、研究者も政策も右往左往した20年間だったということで一同は一致。国際関係論や社会システム論のような学際の学問には避けられない宿命だったかも知れません。だからこそ、研究領域としてエルドラドだったのでしょうね。
でも、19世紀後半のウィーンが、メンガーからハイエクのような限界効用革命を掲げたウィーン学派、フロイトらの心理学、法学や民族学のウィーン学派、マーラーやクリムトらの芸術家が往来し、インターディシプリナリーな交流の中心で、やがてシュムペーターがイノベーションの定義を確立。こうした流れのように、地域活性化のイノベーティブな定義がこのような交流から生まれるかもしれないな、と思った瞬間でした。
慶應SDM地域活性化ラボ20130216-2 備忘として、昨夜、珠玉だと思った参加者のみなさまのコメントのいくつかをここに。
- 活性化とは「このまちは元気だ」と住んでいるひとが思うこと。
- 幸福学の研究に似ている。トレンドは客観的指標を求める研究から、幸福は主観と割り切る研究へ。主観的幸福を支えるパラメータの因子分析を行うとよいかも。
- 活性化している地域の事例を集め、帰納的に活性化のパラメータを求める。
- 地域活性化が人口に膾炙しだして20年がたった。そろそろ統一理論がでてもいい。
- 地域ブランドは、プランド・アイデンティティーとブランド・イメージを、コミュニケーションを経由して掛け合わせると出てくる。ブランドとは価値づくりであり、協創だから。
- 地域活性化の研究トレンドは、地域ブランドからシビック・プライドへ。
- みなが思う「まちのへそ」と「まちのバウンダリー」を可視化して重ね合わせると、住民が共有するまちのシビック・プライドが見えてくるのでは。
- 地域活性化研究は単なる現場の事例紹介では成り立たない。しかし、現場を遊離しても、理論が成り立たない。地域活性化とは畢竟、「まちの幸福論」だから。
- 2013年02月16日(土) 11:54:42|
- 研究
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