現代邦楽げんだいほうがく
概要
日本の伝統的な楽器や発声法を使った新しい作品で、特に20世紀後半以降に作られたものを現代邦楽とよびます。その曲の様式は、伝統音楽の演奏家が作曲した曲、西洋音楽の作曲家の曲、西洋の音楽と邦楽器を一緒に演奏する曲など、さまざまです。
明治時代に西洋音楽が日本に紹介され、大正時代から昭和時代初期になると、西洋の音楽が人々の生活の中に定着し、西洋音楽の要素を使って、日本の伝統的な楽器を新しい編成や形式で演奏する曲が生まれました。箏曲家の宮城道雄(みやぎみちお[1894-1956])たちによって作られたこのような特徴をもつ曲は「新日本音楽」とよばれるようになりました。
その後、伝統音楽の新しい形式の創作は、「新邦楽」「創作邦楽」などの名前でよばれていましたが、昭和22年(1947)に始まったNHKラジオ番組「現代邦楽の時間」を起源として、1960年代頃から「現代邦楽」という言葉が定着していきました。
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令和5年(2023)6月 国立劇場 第206回邦楽公演 「現代邦楽名曲選 ―創作の軌跡― 」
演奏
現代邦楽の楽曲は、古典曲とは異なり、ジャンルを超えて自由に楽器を組み合わせたり、ジャンルの異なる演奏家が共演したりするものが多く、古典曲とは異なる新しい音楽性を打ち出したりした曲も多数あります。古典曲の多くが声楽を伴うのに対して、器楽曲が多いのも特徴です。現代邦楽は、日本の伝統的な楽器の音楽表現の新たな可能性を広げてきました。声を伴う楽曲の場合にも、古典曲とは異なるスタイルの歌詞が選ばれ、古典曲とは異なる発声で歌われることもあります。
現代邦楽では、独奏や少人数の合奏から大人数の合奏まで、楽器編成も演奏人数も様々です。また、日本の伝統的な楽器を西洋楽器や他国の民族楽器と組み合わせたり、古代の楽器を復元して演奏したりするなど、多様な試みが行われてきました。放送局や劇場・演奏団体から委嘱されて作られた曲も多く、ジャンルを超えて演奏するために、五線譜が使用されることが一般的です。
令和5年(2023)6月 国立劇場 第206回邦楽公演 「現代邦楽名曲選 ―創作の軌跡― 」
(N5RA6248)
令和5年(2023)6月 国立劇場 第206回邦楽公演 「現代邦楽名曲選 ―創作の軌跡― 」
(N5RA6267)
令和5年(2023)6月 国立劇場 第206回邦楽公演 「現代邦楽名曲選 ―創作の軌跡― 」
(N5RA6274)
映像・画像出演者
七絃琴 吉澤延隆
瑟 木村麻耶
作曲 一柳慧
所蔵:国立劇場