雅楽ががく

概要

古来より日本で伝わってきた歌と舞、中国大陸や朝鮮半島から伝わった楽器演奏や舞がもとになって雅楽が生まれました。大陸から伝わった音楽や舞は、時を経る中で日本人に合うように変化していき、平安時代には現在の形になったといわれます。おもに宮廷や寺社での儀式で演奏されてきましたが、やがて平安貴族の教養として演奏されるようになるなど、多くの人々に親しまれるようになりました。

雅楽は、大きく分けて、国風歌舞(くにぶりのうたまい)とよばれる日本古来の歌や舞、 唐楽(とうがく)
雅楽(ががく)の曲の中で、中国大陸より伝わったもの。またその音楽形式にならって日本で作られたものの総称。
高麗楽(こまがく)
雅楽(ががく)の曲の中で、朝鮮半島を経由して伝わったもの、またその音楽形式にならって日本で作られたものの総称。
とよばれる外国から伝わった音楽と舞、そして歌物(うたもの)とよばれる雅楽器の演奏で歌う催馬楽(さいばら)
歌いもののひとつで、平安時代に隆盛した古代歌謡。日本各地に伝わっていた民謡や風俗歌に雅楽器の伴奏を加え、おもに遊宴や祝宴、娯楽などで歌われた。
朗詠(ろうえい)
日本の伝統音楽における歌いもののひとつ。漢詩に旋律をつけて、自由なリズムで歌われるもので、抑揚の変化がはっきりしている。平安時代以降は、管絃の遊びなどで歌われた。
で構成されています。

「越天楽(えてんらく)」
令和元年(2019)7月 国立劇場 第12回伝統芸能の魅力 「大人のための雅楽入門」

演奏

雅楽は、管楽器(笙(しょう)
雅楽演奏で用いられる管楽器のひとつ。長さの異なる17本の竹管を匏(ほう)の上に円形に立てて、息を吹いたり吸ったりして音を鳴らす。5〜6つの音を同時に鳴らして和音を奏でる。
篳篥(ひちりき)
雅楽(ががく)の演奏で用いられる管楽器のひとつ。竹筒に蘆(よし)を削って作ったリードを差し込んで演奏する9孔の縦笛。大きな音量と音程をスライドさせながら変える奏法に特色がある。雅楽の演奏ではおもに主旋律を担う。
・笛(ふえ)など)、弦楽器(箏(そう・こと)・琵琶(びわ))、打楽器(鞨鼓(かっこ)
雅楽(唐楽・左舞)の演奏で用いる、両面打ちの太鼓。演奏では指揮役を担う。
・太鼓(たいこ)・鉦鼓(しょうこ)など)で演奏されます。おもに管楽器が旋律を、弦楽器と打楽器がリズムを担っています。

雅楽での器楽演奏を管絃(かんげん)といい、管楽器・弦楽器・打楽器すべてが使われます。舞を伴う舞楽(ぶがく)は管楽器と打楽器が使われ、唐楽と高麗楽で使われる楽器の種類が異なります。このように多くの楽器で演奏される雅楽では、鞨鼓もしくは三ノ鼓(さんのつづみ)
雅楽(高麗楽・右舞)の演奏で用いる両面打ちの太鼓で、右手に持つバチと左手の掌で打つ。演奏の指揮役を担う。
が指揮者の役割を担って、演奏を導いています。

「越天楽(えてんらく)」
令和元年(2019)7月 国立劇場 第12回伝統芸能の魅力 「大人のための雅楽入門」
(Y_A0300012500090)
「越天楽(えてんらく)」
令和元年(2019)7月 国立劇場 第12回伝統芸能の魅力 「大人のための雅楽入門」
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「越天楽(えてんらく)」
令和元年(2019)7月 国立劇場 第12回伝統芸能の魅力 「大人のための雅楽入門」
(Y_A0300012500094)
映像・画像出演者

伶楽舎

笙 銘「鹿丸」
紀州徳川家伝来
所蔵:国立劇場
篳篥 銘「蘭」
紀州徳川家伝来
所蔵:国立劇場

豆知識

唱歌
雅楽では楽器を習う際、その旋律やリズムを言葉にして歌うことで教わります。これを「唱歌(しょうが)」といい、「唱歌に始まり、唱歌に終わる」「唱歌のように吹き、吹くように唱歌を歌う」などといわれるほど重要とされています。唱歌は、のちに能楽(のうがく)や長唄(ながうた)などのほかの伝統音楽の楽器でも用いられるようになりました。
言葉の語源
言葉や慣用句には、日本の伝統音楽が語源となっている言葉がたくさんあります。演奏方法を調整するための「打ち合わせ」や、前の舞を真似る「二の舞」、独奏に他の演奏者が追随する「音頭を取る」など、雅楽由来の言葉も使われています。

舞台芸術教材「雅楽」でさらに知るには

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