アイヌ音楽あいぬおんがく
概要
現在の北海道を中心とした北方の地域に暮らしてきた先住民を、アイヌといいます。アイヌの人たちは、海や山、川といった豊かな自然に恵まれた環境で生活し、そこから木や草や動物、また道具など、この世界の森羅万象(しんらばんしょう)にカムイ(神)が宿ると考える信仰が生まれました。
アイヌの人たちの歌や踊りは、自分たちが楽しむだけでなく、カムイとともに楽しみ、またカムイへの感謝の意を示すためのもので、カムイへの儀式や日常生活のさまざまな場面で行なわれてきました。ムックリ(口琴:こうきん)やトンコリ(五弦琴)などの楽器もあります。
歌に加えて、神話や伝説など長い物語を語る口承文芸の豊かな文化もあり、語る時に拍を取りながらメロディーを伴うものも多数あります。これらは明治時代以降にアイヌ語の使用機会が少なくなったことで伝承が難しくなりましたが、伝承者による録音が多数残っていて、継承のための工夫が行われています。
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「ウポポ(座り唄) イカムッカサンケ/チュㇷ゚カワカムイラン」
「エムシ リㇺセ(剣の舞)」
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
詞章
「イヨマンテリㇺセ(熊の霊送り)」
- ハィクㇽカームイ ハィクㇽカームイ
ハィクㇽカームイ ハィクㇽ
ペヤペー チャーナㇱ チャーナㇱ フㇺ フㇺ
ペヤペー チャーナㇱ チャーナㇱ フㇺ フㇺ
ペヤペー チャーナㇱ チャーナㇱ
トンキッポーハㇻヘー トンキッポーハㇻヘー トンキッポーハㇻヘー
ハィッケワ ハィッケワ ハィッケワ ハィッケワ ハィッケワ
ハィッケワ ハィッケワ
オワローツッポオロワー オワローツッポオロワー
オワローツッポオロワー オワローツッポオロワー
エーホーマー エーホーマーホㇲ ホーマーエーホーマㇲ
「ウポポ(座り唄) イカムッカサンケ/チュㇷ゚カワカムイラン」
- イカムッカ サンケー イサンナー
- チュㇷ゚カワ カムイラン モシㇼカタ オラン
モシㇼカタ コンカニ マイネ チヌー
「エムシ リㇺセ(剣の舞)」
- ヘー イー ホーハ ヘーイオー ホォ
- アンホーホィ アンホーォ
演奏
アイヌの歌や踊りにはさまざまなものがあります。
歌(ウポポ)は、手拍子やシントコとよばれる儀礼用の漆器の蓋(ふた)をたたいて拍子をとりながら、短い歌詞や掛け声のような言葉などの旋律が繰り返し歌われます。歌い始めをずらして輪唱で歌うこともよくあります。歌は、杵つきや船漕ぎなど労働の時にも歌われ、また踊りと一緒にもよく歌われます。踊りには、輪になって踊るリㇺセや、ツルやキツネなど動物の仕草や鳴き声を真似て歌い踊るものなどがあります。
ムックリ(口琴(こうきん)
枠に取り付けられた細長い弁を振動させ、口の中で共鳴させる楽器の総称。)は竹製で、紐を引っ張って弁を動かし、口の中の形を変えることで音の響きを変化させて演奏します。トンコリは樺太アイヌから伝わった楽器で、5本の弦があり、開放弦の組み合わせで旋律を紡ぎ出します。
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
映像・画像出演者
・「イヨマンテリㇺセ(熊の霊送り)」 白老民族芸能保存会
(アイヌ生活文化再現マニュアル「踊り【ウポポ・ホリッパ・リㇺセ】白老・新冠編」より)
・「ウポポ(座り唄) イカムッカサンケ/チュㇷ゚カワカムイラン」 春採アイヌ古式舞踊釧路リムセ保存会
(アイヌ生活文化再現マニュアル「踊り【ウポポ・ホリッパ・リㇺセ】浦河・釧路春採編」より)
・「エムシ リㇺセ(剣の舞)」 阿寒アイヌ民族文化保存会
(アイヌ生活文化再現マニュアル「踊り【ウポポ・ホリッパ・リㇺセ】阿寒・平取編」より)
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団
提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団