2014年11月10日
環境省環境研究総合推進費 戦略研究開発領域S-8
「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」成果発表について
地球温暖化「日本への影響」-新たなシナリオに基づく総合的影響予測と適応策-
(筑波研究学園都市記者会配布)
平成26年3月17日(月)
独立行政法人国立環境研究所
社会環境システム研究センター
持続可能社会システム研究室
主任研究員 肱岡 靖明
独立行政法人国立環境研究所
社会環境システム研究センター
持続可能社会システム研究室
主任研究員 肱岡 靖明
環境省の運営する競争的研究資金である環境研究総合推進費の戦略研究開発領域S-8「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」では、12のサブ課題が分担して、1日本全国及び地域レベルの気候予測に基づく影響予測と適応策の効果の検討、2自治体における適応策を推進するための科学的支援、3アジア太平洋における適応策の計画・実施への貢献、に関する研究を実施してきました。
折しも、平成26年3月25〜29日に横浜市で開催されるIPCC第2作業部会会合およびIPCC第38回総会では、世界規模の影響、適応策、脆弱性に関する科学評価の結果が公表される予定です。
IPCCが示す世界規模の将来リスクと対策の見通しの中で、日本での影響リスクはどうなるのか、リスク低減に適応策はどの程度有効か、といった問いに答えるために、プロジェクトのこれまでの研究成果をとりまとめたものです。
折しも、平成26年3月25〜29日に横浜市で開催されるIPCC第2作業部会会合およびIPCC第38回総会では、世界規模の影響、適応策、脆弱性に関する科学評価の結果が公表される予定です。
IPCCが示す世界規模の将来リスクと対策の見通しの中で、日本での影響リスクはどうなるのか、リスク低減に適応策はどの程度有効か、といった問いに答えるために、プロジェクトのこれまでの研究成果をとりまとめたものです。
報告書修正のお知らせ (2014年11月10日)
2014年3月17日(月)付で報道発表を行いました標記の結果公表につきまして、報告書全文、概要資料、報道発表資料を一部修正しました。
2014年3月17日(月)付で報道発表を行いました標記の結果公表につきまして、報告書全文、概要資料、報道発表資料を一部修正しました。
1. 記者発表
テーマ:新たなシナリオに基づく総合的影響予測と適応策に関する最新の知見
環境省環境研究総合推進費 戦略研究開発領域 S-8
「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」2014報告書
環境省環境研究総合推進費 戦略研究開発領域 S-8
「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」2014報告書
日時:平成26年3月17日(月)10時30分〜11時30分
場所:環境省第1会議室
2. プロジェクトの概要
(1) プロジェクト名:「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」
(S-8温暖化影響・適応研究プロジェクトチーム)
(S-8温暖化影響・適応研究プロジェクトチーム)
(2) 研究期間 前期:2010〜2013 年度、後期:2014〜2015 年度
(3) 研究プロジェクトリーダー:茨城大学 教授 三村信男
(4) 研究参加機関:茨城大学、(独)国立環境研究所など28機関、93名の研究者が参画
(5) 研究予算 2014 年度:約3.5 億円
(6) 研究の概要
本プロジェクトは、温暖化対策の新しい課題に対応する研究の推進を目的としています。
第一に、我が国を対象にして、より詳細な分野毎の物理的・経済的影響の把握と適応策実施の効果推定を目的にした高度な影響・適応策評価モデル(ボトムアップ型モデル)を開発する。同時に、全国的なトップダウン型影響予測モデルを開発し、ボトムアップ型モデルと併用することで全国影響評価の精緻化を図る。これらによって、適応策の実施が将来の影響リスクをどの程度低減するかを予測する。
第二に、都道府県や市町村レベルでのモニタリング手法を開発し、都道府県レベルでの温暖化影響を把握する。さらに、地域レベルで使いやすい影響予測手法と予測結果の可視化手法を開発することによって、地域における適応策策定の支援を可能にする。
第三に、国内の研究成果を基に、アジア太平洋地域における適応策実施の優先順位や費用対効果の分析を行うため、途上国に適応可能な脆弱性・影響・適応効果評価指標の開発・標準化を行い、影響のより厳しい影響が予想される途上国における適応策の計画・実施に貢献する。
本プロジェクトは、温暖化対策の新しい課題に対応する研究の推進を目的としています。
第一に、我が国を対象にして、より詳細な分野毎の物理的・経済的影響の把握と適応策実施の効果推定を目的にした高度な影響・適応策評価モデル(ボトムアップ型モデル)を開発する。同時に、全国的なトップダウン型影響予測モデルを開発し、ボトムアップ型モデルと併用することで全国影響評価の精緻化を図る。これらによって、適応策の実施が将来の影響リスクをどの程度低減するかを予測する。
第二に、都道府県や市町村レベルでのモニタリング手法を開発し、都道府県レベルでの温暖化影響を把握する。さらに、地域レベルで使いやすい影響予測手法と予測結果の可視化手法を開発することによって、地域における適応策策定の支援を可能にする。
第三に、国内の研究成果を基に、アジア太平洋地域における適応策実施の優先順位や費用対効果の分析を行うため、途上国に適応可能な脆弱性・影響・適応効果評価指標の開発・標準化を行い、影響のより厳しい影響が予想される途上国における適応策の計画・実施に貢献する。
3. 今回の成果報告の要点
1 本研究は、新しい濃度シナリオであるRCPシナリオに基づく体系的な日本への影響予測です。温室効果ガスの濃度パスと気候シナリオに関する共通シナリオを設定して21世紀半ば(2031-2050)と21世紀末(2081-2100)における我が国への影響を予測しました。
2 温暖化は21世紀を通じて我が国の広い分野に影響を与えることが改めて予測されました。気象災害、熱ストレスなどの健康影響、水資源、農業への影響、生態系の変化などを通じて、1)国民の健康や安全・安心、2)国民の生活質と経済活動、3)生態系や分野などに影響が広がることが明らかとなりました。
3 気候変動の影響は、気温上昇をはじめ温暖化の程度によって左右されます。そのため、世界規模で緩和策が進めば、日本における悪影響も大幅に抑制できます。その場合でも、適応策を講じないとほとんどの分野において現状を上回る悪影響が生じると考えられます。そのため、今後の気候変動リスクに対処するためには、緩和策と適応策の両方が不可欠であることが示されました。
4 地方自治体における温暖化影響・適応に係る実践的研究を進め、適応策推進のために「適応策ガイドライン」を作成しました。
5 自治体や途上国における影響評価・適応策の検討に用いる支援ツールを開発しました。
6 メコンデルタとガンジスデルタ等の事例研究を通して、気候変動の脆弱性評価と適応効果評価する手法を開発しました。この成果に基づいて、地域特性に応じた適応策の提案や適切な適応資金メカニズムのあり方を提案しました。
添付資料
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修正事項について
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[PDF: 1.5MB]
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[PDF: 0.5MB]
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[PDF: 0.4MB]
-
修正済み報告書
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[PDF: 23.7MB]
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[PDF: 5.2MB]
-
[PDF: 0.9MB]
-
3月17日版
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[PDF: 5.3MB]
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[PDF: 1.4MB]
-
[PDF: 16.2MB]
4. 注意点
本成果報告書の総合影響評価で用いている気候シナリオ(将来の気温予測など)は、IPCC第5次評価報告書に向けて発表された世界の予測結果の中から低位、中位、高位のものを選んで利用しています。すなわち、すでに公表されている将来気候データを影響評価の入力条件として用いたもので、本プロジェクトが独自に将来の気候変化を予測したものではないので注意をお願いします。
5. 本件についての問い合わせ先
国立環境研究所 社会環境システム研究センター
持続可能社会システム研究室 主任研究員 肱岡 靖明
(TEL: 029-850-2961、E-mail: hijioka(末尾に@nies.go.jpをつけてください))
持続可能社会システム研究室 主任研究員 肱岡 靖明
(TEL: 029-850-2961、E-mail: hijioka(末尾に@nies.go.jpをつけてください))
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