著作物を利用する場合に、どのようなことに気を付ける必要があるのか、著作権を侵害した場合にどのような罰則があるのかを学びます。
著作物を利用するには4つのステップで許可の必要性などを確認しましょう。
無断で使用したり、著作権者や著作者の権利や名誉を傷つけた場合は、法律で罰せられます。
「著作物を伝えることに大きな役割」を果たしている人には「著作隣接権」というものがあります。
他人の著作物を使う場合には、つぎの4つの手順で進める必要があります。
ステップ1 日本で保護されているか調べる
ステップ2 保護期間内のものか調べる
ステップ3 例外的に「無断で使える場合」か調べる
ステップ4 著作権者を調べて許可をもらう
使おうとする著作物が次の3種類であれば、日本で保護されている著作物にあたります。
もし、このいずれにも当てはまらない場合は、日本では許可をとらずに利用することができます。
あてはまる場合は、ステップ2に進みます。
著作権は、永久に保護されるのではなく、一定の期間が過ぎれば消滅します。著作権が消滅した著作物は、社会全体が共有する文化的財産として、だれもが自由に利用することができるようになります。
著作権が保護される期間については、著作権法で細かく定められています。 このホームページの「誰の権利がどのように守られる? ポイント3. 著作権の保護には期間が設けられている」を読んで、使おうとする著作物が保護期間内かどうか調べましょう。
著作権が消滅していれば、許可をとらずに利用することができます。保護期間内である場合は、ステップ3に進みます。
著作物の著作権が保護期間内であっても、特別な条件を満たせば、著作権者の許可を取らずに利用することができます。
このホームページの「著作物を自由に使える場合とは?」を読んで、使おうとする著作物「著作権の制限」が適用できるか調べましょう。
「著作権の制限」が適用できれば、許可をとらずに利用することができます。適用できない場合は、ステップ4に進みます。
著作権者から許可を取る必要があるとわかった場合、まず著作権者が誰なのか調べて、許可をとりましょう。
著作権者を捜すには、さまざまな方法があります。本やCDなどであれば、その出版社や発行元に問い合わせるとよいでしょう。注意しなければいけないのは、著作権者と著作者が異なる場合があることです。著作者が著作権をほかの人に譲り渡していることもあり、著作者の許可をもらっても、著作権者の許可を取ったことにはならないのです。
時には著作権者を見つけるのが困難な場合があります。著作権情報センターでは、そうした場合に、有料で広告を掲載するサービスを提供しています。 詳しくはこちらをご覧ください。
利用の許可をもらうためには、著作権者に対して著作物の利用方法を、できるだけくわしく説明することが大切です。
著作権者から許可をもらわずに著作物を利用した場合は、著作権侵害として罰則の対象になったり、著作権者に与えた損害を賠償したりしなければなりません。
著作権者の許可をもらわずに、著作物を複製して販売したりすると、著作権者が訴えれば、「著作権侵害」という犯罪として罰則が適用されます。この罰則は、「懲役10年以下」または「1,000万円以下の罰金」というものですが、著作権を侵害した人が個人ではなく会社などの場合の罰金は、「3億円以下」となります。
著作権者が訴えるというのは、警察や検察に犯罪者を処罰してくれるよう求めることです。このほかにも、著作権者は、裁判所に訴訟を申し立てて、自分が受けた損害の賠償を求めることができます。
また、その人が直接的に著作権を侵害したわけでなくても、次のような場合、著作権を侵害したとみなされて、罰則が適用されることがあります。
日本の現在の著作権法は、小説、音楽、美術などの著作者の著作権について定めていますが、これとは別に、「著作物を伝える人」、たとえば、音楽を多くの人に伝える役割をしている演奏家や歌手、レコード会社や放送局などの権利を保護するための「著作隣接権」についても定めています。
著作権法で、著作隣接権を与えられているのは次の人や事業者です。
著作隣接権者は、著作権者と同じ「許諾権」をもつ場合と「報酬請求権」という権利をもつ場合があります。この「報酬請求権」というのは、自分が著作隣接権を持っているものをだれかが利用する場合、その利用について許可したり禁止したりする権利はもてませんが、利用された場合には、その報酬を請求することができるという権利のことです。
「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」「有線放送事業者」それぞれの著作隣接権者に応じて、「許諾権」「報酬請求権」が定められています。
著作隣接権者の中で、実演家のみ人格的利益を保護するための「実演家人格権」をもっています。
実演家人格権 | 「氏名表示権」、「同一性保持権」 |
---|---|
許諾権 | 「録音権・録画権」、「放送権・有線放送権」(CDなどの録音物は除く)、「送信可能化権」、「譲渡権」、「貸与権」(発売から1年間) |
報酬請求権 | 「CDなどの録音物(市販用に限る)が放送・有線放送で使われた場合に報酬を得る権利」、「CDなどの録音物(市販用に限る)が貸与された場合に報酬を請求できる権利(発売から2年目以降)」 |
著作権法では、レコード製作者を「音を最初に固定した者」としています。
ですから、たとえばだれかがどこかで非常に珍しい鳥の鳴き声を録音し、その録音をレコード会社に提供しCDとして発売された場合には、最初に鳴き声を録音した人がレコード製作者としての著作隣接権をもつことになります。
しかし、この例のような場合でも、レコード会社が最初に録音した人に代わって著作隣接権を行使するのが一般的ですので、そのレコードをコピーしたいというときには、レコード会社に許可をもらえばよいのです。
レコード製作者がもっている著作隣接権は、以下のとおりです。
許諾権 | 「複製権」、「送信可能化権」、「譲渡権」、「貸与権」(発売から1年間) |
---|---|
報酬請求権 | 実演家の場合と同じ |
放送事業者および有線放送事業者がもっている著作隣接権は、以下のとおりです。
許諾権 | 放送事業者: 有線放送事業者: |
---|
著作隣接権の保護期間は、次のとおりです。
著作隣接権の保護期間は、実演、レコード発売、放送または有線放送を行った年の翌年の1月1日から計算します。
実演家人格権の保護期間は、著作者人格権と同じく、実演家の生きている間に限られており、また、実演家が亡くなった場合であっても、実演家人格権を侵害するような行為を行ってはならないことも定められています。
他人の著作物を使う場合には、つぎの4つの手順で進める必要があります。
ステップ1 日本で保護されているか調べる
ステップ2 (保護期間内) のものか調べる
ステップ3 例外的に「(無断で使える場合)」か調べる
ステップ4 著作権者を調べて許可をもらう
次のような場合、著作権を侵害したとみなされて、罰則が適用されることがあります。
著作権法で、著作隣接権を与えられているのは次の人や事業者です。