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みんなのためのの著作権教室

こんな時の著作権

1学校で守る著作権

学習のポイント

学校では、著作物を利用する機会が多くあります。 自由に利用できるのはどのような場合か、やってはいけないことは何かを理解しましょう。

ケース1授業で使うために新聞をコピーする

授業で使う目的で、1クラス分など限られた範囲であれば、著作権者の許可をとらずにコピーしたり配付したりすることは許されています。

ケース2作文に大好きな小説の文章を使う

自分の文章の一部として、ルールを守れば、小説の著者の許可なしにその小説の一部を引用することができます。

ケース3遠足のしおりに人気の歌の歌詞を入れる

学校の行事であっても、大量の冊子を作るなど市販の地図のコピーや流行している歌の歌詞などを勝手に使うことができない場合があります。

ケース4文化祭で音楽を演奏する

入場料無料で出演料の支払いもなければ著作権者の許可は不要です。しかし、その様子を録音・録画する場合は許可が必要です。

ケース5卒業記念のDVDを作るとき

卒業生へのプレゼントであっても、DVDやCDに音楽を収録する場合は、著作権者などの許可が必要です。

ケース1 授業で使うために新聞をコピーする

グループ学習で研究発表することになったチヨちゃん。参考資料として新聞記事をコピーしてクラスで配ることにしました。
新聞社や記事を書いた記者さんなどから許可を取る必要があるのでしょうか。

新間の記事も著作物です。しかし、学校で教育を目的に使う場合は、コピーが許されることがあります。

学校の授業で、政治のこととか、環境のことなどを解説した新聞記事を題材にすることがありますね。また、チヨちゃんたちのように、自分たちで研究発表をするときに、参考資料としてみんなに記事を配りたいという場合もあるでしょう。

新間の記事も著作物ですので、一般には著作権者に無断でコピーをして配ることはできません。

しかし、学校で教育目的に使う場合はコピーが許される場合があります。これは、「学校において、授業のために使用することを目的とする場合は、必要とされる限度で先生や生徒が複製(コピー)することができる」と著作権法で認められているからです。

新聞だけでなく、小説や詩集などの一部分をコピーして使うことも同様に認められますが、全部をまるまるコピーすることは必要限度とは認められませんし、全校生徒全員に配ったり、授業目的以外に使用することも認められません。

また、市販されているワークブックなどの学習補助教材を、1冊だけ買って、クラス全員にコピーして配ることは、たとえそれが一部分のコピーであっても認められません。市販されている補助教材はみなさんの学習のために、それぞれの人に買ってもらうことを考えて作られています。ですから、それをコピーして配られてしまうと、売り上げが減ってしまい、著作者や出版社が正当な利益を受けられないことになるからです。

ケース2 作文に大好きな小説の文章を使う

読書感想文を書いているチヨちゃん。特に感動した主人公のセリフの一部をそのまま書き写しました。この感想文はコンクールで選ばれて、本になって生徒や保護者に無料で配られることになったのですが、その本の著作権者に許可を取る必要はあるのでしょうか。

ルールを守れば、著作権者の許可なしで引用することができます。

読書感想文を書くときに、だれかが書いた本の一部分をそのまま書き写してきて、それに対して自分の意見を述べることがありますが、これを「引用」と言います。
このように書き写すことがどうしても必要な場合は、いくつかの点に注意すれば引用文の著作権者の許可をもらわないで行うことができます。

「引用」で注意することは?
  • 引用してくる文章に対して、自分の作品が中心であることが必要です。たとえば、感想文の全体が800字なのに写してくる文章がそのうちの500字を占めるような場合は、正しい利用とはいえません。
  • どこまでが自分の文章で、どこからが引用してきた他人の文章なのかがはっきりわかるように、引用する他人の文章をかぎかっこでくくるなどの工夫が必要です。
  • 引用してくる作品の題名や作者の名前を表示することも必要です。

ケース3 遠足のしおりに人気の歌の歌詞を入れる

遠足のチラシを作ることになったチヨちゃん。スケジュールや持ち物リストに加えて、地図のコピーや、みんなで歌う歌詞を掲載しようと考えています。ほかの人が著作権を持つ、地図や歌詞をそのまま掲載しても大丈夫でしょうか。

歌も地図も著作物と認められているため、無断で使うことは、著作権の侵害にあたります。

学校の行事であり、無料で配られるものであっても、この場合は地図をコピーして掲載することはできませんし、歌詞を載せることもできません。

山や川などの地形や道路など、そのものは著作物ではありませんが、市販の地図はそれぞれの使用の目的にあわせて記号や色使いを工夫して作られていますので、著作物といえます。

また、しおりに歌などを載せたいという場合も、著作権のある歌の歌詞を無断で載せることは認められませんので、注意が必要です。

市販の地図を参考に自分たちのオリジナル地図を作ることは構わないですし、著作権の保護期間が終了している歌であれば歌詞を掲載することができます。

ケース4 文化祭で音楽を演奏する

文化祭のステージでバンド演奏をするケンちゃん。みんなで盛り上がれるように、最近はやっている有名な曲を選ぶことにしました。 会場は学校内ですが、生徒以外の人も見に来るコンサートなので、著作権者の許可を取る必要があるか悩んでいます。

無料で行われる出演料がないコンサートであれば、許可を取る必要はありません。

入場料を取ったり、出演者に報酬を支払うような演奏会では著作権者の許可を取らなければいけませんが、入場料を取らず、出演者に報酬を支払わない学校の学芸会や文化祭などは、著作権者に許可を取らなくても自由に演奏することができます。

録音する場合は許可が必要

演奏だけであれば許可は不要ですが、コンサートの様子を動画撮影したり、CDなどに録音するようなときは著作権者の許可を取らなければいけません。

もちろん、撮影した動画を著作権者の許可を取らずにインターネットで配信することもできません。

なお、個人的に楽しむために録音・録画する場合は、著作権者の許可は不要です。

例)家族がビデオ撮影し、家で鑑賞する。

ケース5 卒業記念のDVDを作るとき

卒業アルバムDVDの編集委員になったケンちゃん。 流行の曲をみんなで歌う様子を撮影し、動画のDVDを制作しようと考えています。卒業生に限って無料で配付するので、著作権者の許可は不要だと考えています。

卒業生へのプレゼントであっても、著作権が存在する曲を録音する場合は、作詞家や作曲家等の著作権者に許可を取る必要があります。
また、CDを音源にする場合は、レコード製作者、実演家の許可も必要です。

卒業記念CD・DVD等の多くは、制作会社が学校に代わって著作権者から許可を取る手続きを行っていますが、万一手続きがされていない場合は、著作権の侵害となり学校が責任を負わねばならないことがありますので、注意が必要です。

このコーナーのまとめ

  • 学校での使用や、学校の行事の一部であっても、著作権者から許諾を取る必要があるケースがあります。
  • 自分たちの演奏であっても、個人で楽しむ以外の目的で録音・録画する場合は許可が必要です。

[画像:理解できたかチェックしよう]

空欄にマウスのポインターをあてると、答えがわかります。

授業のために使用することを目的とする場合は、必要とされる限度で先生や生徒がコピーすることは認められますが、全部をまるまるコピーしたり、全校生徒全員に配ったり、(授業)目的以外に使用することは認められません。

自分の作文や論文などに、ほかの人の文章を引用するときは、引用してくる作品の題名や(著作者)の名前を表示することも必要です。

営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を支払わない演奏会であれば、演奏される音楽の著作権者から許可を取る必要はありませんが、それを録音する場合は、著作権者の許可を取って、(使用料)を支払わないといけません。

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