まずは、著作権とは、何の権利なのか、どんなものに関係する権利なのかを理解しましょう。
自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。著作権制度は、著作者の努力に報いることで、文化が発展することを目的としています。
著作物とは「自分の考えや気持ちを他人のまねでなく自分で工夫して、言葉や文字、形や色、音楽というかたちで表現したもの」です。それにはさまざまな種類があります。
著作権は著作者人格権と著作権(財産権)に分けられ、それぞれさまざまな種類の権利があります。
私たちは、毎日の生活の中で、本や雑誌で小説を読んだり、CDの音楽を聴いたり、絵画や彫刻のような美術を鑑賞したり、テレビでドラマやアニメを楽しんだりしています。
小説、音楽、美術、アニメなどの作品は、それを作った人がそれぞれ自分の考えや気持ちを作品として表現したものです。そして、この表現されたものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、法律によって著作者に与えられる権利を「著作権」と言います。
著作権制度は、このような著作物を生み出す著作者の努力や苦労に報いることによって、日本の文化全体が発展できるように、著作物の正しい利用をうながし、著作権を保護することを目的としています。
著作者は、著作権制度によって著作物の利用者から使用料を得ることができます。 その報酬をもとにして、また新しい著作物を生み出します。
私たちは著作物を利用したり楽しむことによって、文化的に豊かな生活をおくることができ、その結果、文化が発展するという大きな流れを生み出しています。
著作権に関係するルールは「著作権法」という法律で定められています。
著作権が発生する著作物とは何か、著作権にはどのような種類があって、どのように権利が保護されるのかなど、「著作権法」は、著作権について判断するよりどころになっています。
著作物とはなんでしょうか。 著作権法によると、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」であるとされています。
わかりやすくいえば、「自分の考えや気持ちを他人の作品のまねでなく自分で工夫して、言葉や文字、形や色、音楽(作詞・作曲)というかたちで表現したもの」ということができます。上手だから著作物になるとか、下手だから著作物にならないというような区別はなく、この定義にあてはまるものはすべて著作物です。
言葉によって表現された著作物のことで、もちろん、みなさんの書いた作文なども著作物です。
曲だけでなく歌詞も著作物です。
身振りや動作によって表現される著作物のことで、日本舞踊、バレエ、ダンスの振り付けなどのことです。
形や色で表現される著作物のことで、マンガや書、舞台装置なども含まれます。
一般の人が生活しているような建物ではなく、たとえば、宮殿のように建築芸術といわれるような建築物のことです。
図形や図表によって表現された著作物のことで、設計図や地球儀なども含まれます。
人や風景などを撮影した写真のことです。
劇場用映画、テレビ番組、ビデオソフト、ゲームソフトや動画サイトにアップされているコンテンツなど、物に固定された動画のことです。
コンピュータプログラムのことです。
二次的著作物とは、(1)から(9)までの著作物を「もと」にして創作された著作物のことで、こうしてできた著作物も「もと」になった著作物(原著作物といいます)とは別に保護されます。たとえば、外国の小説を日本語に翻訳したもの、小説を映画化したもの、楽曲を編曲したものなどが二次的著作物です。
二次的著作物を作る場合は、原著作物の著作者の許可をもらわなければなりません。また、二次的著作物を利用する場合は、たとえば外国の小説の翻訳を出版しようとするときには、二次的著作物の著作者である翻訳者の許可のほか、原著作物の著作者の許可ももらわなければなりません。
たとえば、百科事典のように、数多くの項目についての解説が載っている場合、それぞれの項目に書かれていることも著作物ですが、百科事典そのものも全体として編集著作物になります。これは、百科事典にどういう項目を載せるか、どのような順序で載せるかなどについて編集する人が創作性を発揮しているからです。
百科事典のほか、新聞、雑誌なども、編集著作物として保護されます。また、編集著作物のうち、その内容をコンピュータによって簡単に検索できるものはデータベースの著作物と保護されます。
著作権法は、著作権の内容を、大きく次の二つに分けて定めています。
その一つは、著作物を通して表現されている著作者の人格をまもるための「著作者人格権」、そしてもう一つは、著作権者が著作物の利用を許可してその使用料を受け取ることができる権利としての「著作権(財産権)」です。
著作物は、その著作者の考えや気持ちを表現したものですから、著作物をとおして表現された著作者の人格をまもるため、著作者人格権が定められています。
著作権(財産権)はほかの人に譲り渡すことができますが、この著作者人格権は、作品を作った人自身の人格を保護するという目的がありますので、譲ることができません。
したがって、たとえ著作者が著作権(財産権)を譲ったとしても、著作者人格権は、著作者が持ち続けることになります。
著作者人格権には、次のような権利があります。
公表権 | 著作者が著作物を公表するかどうか、公表する場合どのような方法で公表するかをきめる権利。 |
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氏名表示権 | 著作者が自分の著作物にその氏名を表示するかどうか、表示する場合本名にするか、ペンネームにするかをきめる権利。 |
同一性保持権 | 著作者が自分の著作物のタイトルや内容を、ほかの誰かに勝手に変えられない権利。 |
このほか、著作者の名誉や社会的な評価を傷つけるような方法で著作物を利用すると、著作者人格権を侵害したものとみなされることがあるので、利用するときは、注意しましょう。
著作者人格権の保護期間は、著作者の生存中ときめられています。しかし、たとえ著作者が亡くなった後でも、著作者人格権を侵害するような行為をしてはならないということも定められています。
著作者の気持ちに反するような、作品の扱い方をしてはいけません
著作権法は、著作権の内容について、著作物の利用方法によって、さまざまな権利をきめ細かく定めています。著作権法に定められている方法で著作物を利用する場合は、利用する前に著作権者の許可をもらうことが必要です。
複製権 | 印刷、写真、コピー機による複写、録音、録画などあらゆる方法で「物に複製する」権利で、著作権の中で最も基本的な権利。この言葉から、著作権制度は、もともとコピー(Copy)に関する権利(Right)から始まったことがわかります。 |
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上演権・演奏権 | 音楽の演奏会や演劇の上演のように、多くの人に著作物を直接聴かせたり、見せたりする権利。演奏を収録したCDなどを多くの人に聞かせることも含まれます。 |
上映権 | フィルムやDVDなどに収録されている映画、写真、絵画などの著作物を、多くの人に見せるためにスクリーンやディスプレイ画面で上映する権利。 |
公衆送信権 | テレビ・ラジオ・有線放送、インターネットなどによる著作物の送信に関する権利。ホームページに著作物をのせて、だれかからアクセスがあれば、いつでも送信できる状態にすることは「送信可能化権」として、この権利に含まれます。 |
公の伝達権 | テレビ・ラジオ・有線放送、インターネットなどによる著作物の伝達に関する権利。 |
口述権 | 小説や詩などの言語の著作物を朗読などの方法で多くの人に伝える権利。 |
展示権 | 美術の著作物および写真の著作物(未発行のもの)を多くの人に見せるために展示する権利。 |
頒布権 | 劇場用映画のように、上映して多くの人に見せることを目的として作られた映画の著作物を販売したり貸したりする権利。 |
譲渡権 | 映画以外の著作物またはその複製物を多くの人に販売などの方法で提供する権利。 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製物を多くの人に貸し出しする権利。 |
翻訳権・翻案権など | 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などの方法で二次的著作物を作る権利。 |
二次的著作物の利用権 | 自分の著作物(原作)から創られた二次的著作物を利用することについて、原作者が持つ権利。 |
(著作権)は著作物を作った人が持っている権利です。 著作権にはさまざまな種類があって、たとえば(複製)権とは、小説などをコピーしたり、音楽を録音したり、映画を録画したり、コンピュータプログラムやファイルをコピーしたりすることに関する権利です。
著作権は英語では(コピーライト)と呼ばれます。
著作物を通して表現された著作者の人格をまもるために定められているのが(著作者人格)権です。
(二次著作物)とは、ある著作物を「もと」にして創作された著作物のことで、こうしてできた著作物も「もと」になった著作物(原著作物といいます)とは別に保護されます。