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2012年9月 2日 (日)
高大接続諮問 受験競争が無になる大改革だ
本来なら1面トップ級になってもいいはずなのに、扱いが小さいか全く触れていない新聞さえあるのは一体どういうことか。平野博文・文部科学相が8月28日、中央教育審議会に諮問した「高大接続」のことである。長らく受験競争を中心に動いてきた日本の教育の実態が、一変してしまうかもしれないというのに。
諮問事項は「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」。同日の総会で「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」が答申されることに連動したものである。同時に「高大接続特別部会」の設置も決まった。
諮問理由説明では留意点の一つとして「大学入試センター試験の在り方を含めた大学入学者選抜方法の改善方策」とあるので、過去最大のトラブルを受けたセンター試験の改革が主眼であるとの見方でもしているのだろうか。しかし今回の諮問は、そんな小手先の改革を求めているのではない。「高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育の在り方を一体としてとらえ」るという部分こそが重要だ。「本来、大学入学者選抜も教育の一プロセス」だとすら言い切っている。課題となるのは、断じて「入試接続」ではない。高校と大学の「教育接続」である。
ささいな変化にも注目しよう。2日後に開かれた中教審初等中等教育分科会で「質的転換」答申について説明した文部科学省の合田哲雄高等教育政策室長が、2008年12月の答申「学士課程教育の構築に向けて」(学士課程答申)を、同年1月の学習指導要領改訂答申が打ち出した言語力や思考力の育成を「さらに大学段階で伸ばすという観点から」汎用的能力や学士力を提言したものだと位置付けたことだ。
改めて学士課程答申を読んでみると、実はその点が明示されていたわけではない。これまで初中教育と高等教育が協調して教育内容の改善を図ったということも、少なくとも表向きは聞いたことがない。知識基盤社会への対応という共通認識があったことは確かだが、全く別個に議論して同一方向にたどり着いたという方が実際のところだったろう。
初中教育と高等教育が連携して改革を行わなければならないという認識が出てきたのは、実は最近のことだ。大学分科会の審議過程では大学生はもとより高校段階から学習時間が減少していることがデータから問題視されていたが、昨年発足していた初等中等教育分科会高等学校教育部会の委員4人が大学分科会と大学教育部会の合同会議に呼ばれたのは今年6月19日。それから、あれよあれよと高大接続の諮問につながった印象がある。
もちろん下地として、6月5日に発表された「大学改革実行プラン」で示された大胆な入試改革の「転換」方針があった。伏線として、4月のセンター試験検証委員会報告を挙げてもよかろう。しかし何より、現行の大学「入試」を続けていては時代に対応した人材を育成できないという危機感があることを見逃してはならない。
今回の「質的転換」答申は、個々の教員が自分の専門を基にした講義を受講した「単位積み上げ方式」で自動的に卒業認定する現状を改め、学士課程プログラム全体で学士力を育成することを求めている。極論すれば、専門教育は手段であって目的ではない。学問「を」学ぶのではなく、学問「で」社会で活躍できる力を身につけさせることを目指すものだ。
同じことが、初等中等教育にも言える。現在の各教科の枠組みは相当する学問体系を基本としており、そうした「ミニ学問」の基礎を学べば全体として社会や大学に通用する力を身につけることができるだろう、という前提があった。しかし今や知識・技能の習得だけでは情報化の進む知識基盤社会に対応できないことが指摘されている。だからこその「PISA型学力」であり、新指導要領が求める言語力や思考力・判断力・表現力など「活用」の力だ。
つまり初中・高等教育とも、社会で活躍できる「コンピテンシー(能力)」の育成がゴールとなる。その意味で、文科省が先に初中教育と大学教育を連続したものとして説明した「小さな変化」の意義は大きい。
戦後の教育は、その理念に関わらず「いい大学へ、いい高校へ」という受験競争によって突き動かされてきた。そのため受験競争の緩和が、時々の教育改革の課題とさえなってきた。しかし少子化で実質的な「大学全入時代」が到来している今、ペーパーテストで1点を争う受験競争を続けていては弊害の方が大きい。そうした認識からの「高大接続」であり「大学入学者選抜」改革だ。受験競争が無になれば、受験対策にまい進してきた学校も転換を余儀なくされる。
「どうせ無理だろう」と高をくくってはいけない。「第四の教育改革」が始まらざるを得ないと、本気で思っている。
【過去の社説】
【関連本社配信記事】
入試に依存した高校教育は衰退する―「高大接続テスト」提唱者・佐々木隆生氏に聞く―
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2012年9月 2日 (日) 社説 | 固定リンク
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コメント
現実の世界は過不足なく成り立っている。
非現実の世界は現実には存在しない。
しかし、文章があれば、頭の中では存在させることができる。
現実にならって、過不足のない世界を成立させることができる。
英語には時制があるので、一つの事態は、現在、過去、未来において成立させることができる。
現在時制の事態は現実であり、過去と未来の時制の中では事態は非現実である。
非現実の事態を現実化できれば創造したことになり、現実の事態を現実の中で再現できれば模倣したことになる。
非現実の構文がなければ、非現実の事態を現実に変換することは難しいので、創造的な活動をすることはむずかしい。
思春期になると言語能力が増すので、現実 (現在) のみならず、非現実 (過去、未来) の構文が使えるようになる。
それで、英米人には高等教育が可能になる。高等教育は、大人になるための英語の再教育である。
時制があると、自分の考え (非現実) を述べることができる。こうしたことは、日本語にはない。
時制がなければ、考えを述べることはむずかしい。「そんなことを言ってもだめだぞ。現実にはそうなっていない」ということで、鬼が笑って相手にしてくれない。
非現実を表現するための構文がないということは、考えの筋道を立てることができないということである。
矛盾の排除ができないので、過不足のない世界観が構築できない。発言内容が出鱈目になる。
http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/
投稿: noga | 2012年9月16日 (日) 10時21分