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2012年9月13日 (木)
安倍元首相 もう「教育再生」の幻想はごめんだ
安倍晋三元首相が自民党総裁選への立候補を表明した。決選投票にさえ進めないと目される野党の党首候補を取り立てて論じる意義はないかもしれないが、小泉―安倍内閣下で進められた現場無視の教育改革に危機感を覚えて本ブログの立ち上げを構想し、最初の社説に「『教育界』に遺恨を残した教育再生会議」を掲げた本社としては、看過できない。
安倍元首相は総裁選公約で、「安倍晋三6つの全力!」の一つに「日本の誇り 憲法改正・教育再生に全力」を挙げている。憲法改正は本社の守備範囲を超えているから是非は論じるまい。検証したいのは「教育再生」のみである。
安倍元首相が教育再生で何をやり残したのか知らないし、公約には「改正教育基本法の理念の本格実現」だの「基礎学力の向上、高等教育の国際化」だの抽象的な文言が並ぶだけで、具体的に何をしたいのか分からない。「教育委員会制度や教科書検定・採択制度の見直し」「教員組合活動の適正化」は分かりやす過ぎで論じるにも値しない。
ただ首相当時の教育再生会議が、教員・公教育バッシングを原動力に思いつきと既定路線を乱雑に並べただけのお粗末なものだったことを思い出そう。最近までたびたび言及されてきた中曽根康弘内閣の臨時教育審議会とは、比べものにならない。
教育政策に関する安倍内閣の成果といえば、教育基本法や学校教育法の改正と学習指導要領改訂の方針決定、教員免許更新制の導入といったところであろうか。教基法や学教法については論点が多岐にわたるため、おいておく。指導要領に関しては、教育再生会議報告が政府公式文書として初めて「ゆとり教育」なる言葉を使い、今に至るまでの混乱を招いた。
「ダメ教師には辞めて頂く」を旗印にした免許更新制の構想も、当時の伊吹文明文部科学相が防波堤となって中央教育審議会で「不適格教員の排除」を目的とするものではないと明記され、首相自身も国会でそう答弁書を読んでいたはずだ。どこまで法案を理解していたのかは分からない。事によると既に病状が悪化し、判断力が欠如していたのかもしれない。現在、第2グループまで更新が済んでいるが、選択はともかく必修は不評だ。何より免許が更新されて「自信を持って教壇に立つことができた」「保護者の信頼を得られた」という教員を、寡聞にして知らない。
いじめ問題への対応も挙げるべきなのかもしれないが、対策が功を奏したのなら昨今のいじめ問題は起こっていないはずだ。現場の怠慢だ、自分たちが指示した通りにやらなかったから悪いのだ、とでも言うつもりか。実効性のない政策は政策と呼べないし、精神論は薬にもならない。
いずれにしても、この人の「教育再生」路線には戦略も何もない。あるのは戦後教育への頭でっかちな偏見だけだ。右にせよ左にせよ、イデオロギーで是非を論じても現場の困難を打開する政策にはなり得ない。
橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」とのつなぎ役を期待する向きもあろうが、橋下市長の方が上手だろう。おだてられ、利用されるだけだ。それでも憲法改正に道筋をつけられるならいいとでもお考えかもしれないが、新自由主義的な思いつきで大阪府市のみならず国の教育政策に茶々を入れられては迷惑だ。
今は知識基盤社会に対応した人材育成に総力を挙げてまい進すべき時期である。いささか冷静さを欠いているとお叱りを受けることを承知で申し上げるが、安倍元首相は健康に留意して自重すべきだ。そうでないと、教育界に再び無用の混乱を招くことにしかならない。
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2012年9月13日 (木) 社説 | 固定リンク
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コメント
私も安倍さんには首相になってほしくありません。教員免許更新制は最悪でした。教育現場で現在教員をしているものを簡単に首を切れません。その効果についても疑わしいですね。元教師としては彼の妄想を断ち切らなければなりません。教師に余計な負担があるこの免許更新性の撤廃を望みます。
投稿: ティーチャー | 2012年9月14日 (金) 16時43分
2グループ目を終えた更新制の問題点は改めて論じたいと思っています。ご期待ください。
投稿: 本社論説 | 2012年9月15日 (土) 09時44分
私も現場の人間ではないので詳しくは知りませんが、現場を無視した改革案が多いような気がしてなりません。案としては立派でも、現在の教諭の多忙さを考慮に入れているのだろうかと首を傾げたくなる案を目にします(大阪の教育基本条例にもそのように感じました)。
理念だけではなく、現場の実情も考慮に入れた改革をしてくださるとことを期待したいですが・・・・・・正直、安倍さんには期待できません。教育以外のところでは、少々期待できる問題もあるように思えますが、少なくとも彼らにはよくなるという期待よりもより悪くするという不安感の方が大きいです。
投稿: | 2012年10月 2日 (火) 17時42分
教育政策に限らないのですが、頭でっかちで政治を進めるのは勘弁してもらいたいものです。田中新文科相についても控え目に(?)書きましたので、併せてご一読いただければ幸いです。
投稿: 本社論説 | 2012年10月 2日 (火) 22時12分