「カラスの鳴き声は不吉の知らせ」。昨日のことだった。めったに見ないカラスの大群れが電線に止まり、大合唱していたと言う。それから数時間後に、幼友達の死を知った。カラスにはそんな予知能力があるとは聞いていたが、「やっぱり本当やった」。興奮気味に古希を目の前にした仲間が、こともあろうに「大聖寺活性化サロン」の祝賀行事でもある、「除幕式」を準備している会場に持ち込んできた。
▼「迷信だろう」と思いながらも、全面否定できない子どものころからの言い伝えを、半部以上信じている我が身も話題にハマッテいた。話の決着は、片野鴨池で越冬する野鳥の鴨「ヒシクイ」が、鳥インフルエンザで死亡していたことへつなぎ合わせて一件落着した。
▼JR大聖寺駅から、「山ノ下寺院群」や「九谷焼美術館」へ向かう大型道路は、国道8号線へ通じる。交通量の多い主要道沿いに、加賀市を紹介する大型観光看板が、観光バスの窓からも見える。反対側に、今度新設された「若手起業家紹介掲示板」も、人目を引く高さである。
▼「山ノ下寺院群」は、「七寺院と一神社」が並んでいる。その中に「日本百名山」などの著作で有名な深田久弥が眠る法華宗「本光寺」もある。除幕式の特別講話には、「奈良諦順」住職から「法華宗」の基本的なお話をして頂いたが、修行の身にはいつもながら難しい。だが、いずれは紹介掲示板に追加されるであろう「瞑想家」は、法話にはうなづいていた。
▼定住化促進を唱える地方の行政が知恵を絞っている。そんな中、昨年に発足した民間団体の「大聖寺活性化サロン」の活動スピードには定評がある。今回「紹介看板」の除幕式も、その一つである。除幕式に自主的に参列し、祝辞を述べた加賀副市長や市議会議長に県庁の次長は、異口同音に賞賛していた特異な式典だった。
▼この特異な式典を、嗅ぎつけ取材に群がった報道機関も6社を数えた。寒中の晴れた空に、「カラスの鳴き声は幸運を、呼び寄せる知らせ」だったのかもしれない。
コメントする