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Img_0168 フラクトグラフィー(fractgraphy)は主に破面観察による破壊の状況を知る工学分野であるが、電子回路やセンサなどにおいても、無関係ではない。
御巣鷹山に墜落した日航機の圧力隔壁の疲労破壊の解析(1985)は米国主導で行われたと聞くが、日本でも既に1970頃にはこの破断面観察による材料破壊の履歴を知る手法は知られていた。
その後、FBR:もんじゅのNa漏えい事故の原因であるカルマン渦による加振と共振それに構造的弱点をもつ温度計の複合要因によって生じた疲労破壊などがとくに有名である。
アナログエンジニアとて、フラクトグラフィーと無縁ではない。
形あるもの、壊れた時に必ず痕跡が残る。それを観察し解析すれば、新たな知見が生まれる。
電子部品で異種材料を接合する層の破壊が進行すれば、電気的特性に影響するのだ。
例えば、昔は、パワートランジスタは有寿命品とみなされていた。知る人ぞ知る。
熱サイクルにより、Siチップと台座の破壊が進行し、熱抵抗が増大、最後にはトランジスタの永久故障に繋がっていたのである。
私は、その詳しい見方は良くは判らないが、ストライエーション、シェブロンパターン、ディンプルなどの概念は一応理解しているつもりだ。少なくとも、破壊現状を保存して専門家に解析を依頼するまではできるだろう。
私は、もろい材質のプラスティックで、疲労破壊の破断面を見たことがある。数年にわたり、さまざまな力がかかり、あるときは大きく、あるときは細かい模様が無数に残っていた。光学顕微鏡で見えるレベルのパターンである。そう信じている。
異分野と思われる世界でも、工学は網目のように相互に関連している。無知は信頼性にを低下させる。アナログエンジニアは、それ故に機械工学にも関心がある。
写真は「破断面の見方」、吉田亨著、日刊工業新聞社、(2005)である。
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