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デザインレビュー(DR)は日本語で言えば設計審査だろう。DRはレビュワーがどのようにして選ばれるかが非常に重要である。
レビュワーの資質が伴わなければ、DRはいとも簡単に形骸化し意味のない書類が無数に必要になる。しかし、レビュワーを選ぶのは基本的に組織である。最初に結論ありきの人選をしてしまえば、仔細な議論ばかりで大きな過ちを犯しやすい。組織内にいて有益な討議を行える人は極めて少ない筈である。
アナログエンジニアはセンサ・アクチュエータ・回路に絡む種々の工学分野について、相手の専門用語で議論できる程度までの自己訓練を行ってきたつもりである。レビュワーは少なくとも複数の分野において、「複数」が重要なのだが、専門性を持っていなければ用をなさないと考える。装置や機器・システムの高度化に伴い、一人では全体を俯瞰することが難しくなってきているので、分野の違う種々の専門家が得意分野をオーバーラップさせながらの協調作業が必要だからだ。
また、設計的に危ない部分を短時間で直視、検討できる資質も必要だ。だが、そのような人間は組織にとってうるさい存在になりやすい。それでも意図的に設計数値を改ざんされた場合には見抜くのは容易でない。設計審査は設計段階よりも短時間での作業となる。
また、レビュワーは少なくともその組織でその分野で第一人者としての成功率を上げていることも大切である。高い成功率は普段の努力、知識欲と分野を超えて前人の知恵を生かす工学者としての感性あるいは倫理観により実現されるのではないか。
装置や機器の複雑化に伴い、全体を概観できる人材がどの組織でも枯渇しつつあるような気がしてならない。判らないことを単純に「割り切る」ことをしないで、リスク対策を怠らない姿勢も必要と思う。同時に一人では技術全体を詳しく見ることはできないから、種々の分野の基本的スタンスを理解し協調しつつ議論を交わせる場と能力も必要である。
重要なのはDR資料に記された以外の部分、暗黙の設計条件を見破る才覚だろう。
DRを意味のあるものにする風土は、単一分野の専門集団、組織からは生まれえないと私は考える。
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