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センサは被測定対象に感じることは当然である。
アナログエンジニアはいくつかのセンサの開発に参加してきたが、センサにとって(作る側から見て)最重要なことは、再現性である。時間の尺度、環境はさまざまであるが、少なくとも、同一環境において繰り返し測定した時に同じ結果を出さなければ、信号処理は成り立たない。
センサにとって重要な性質を一つ挙げるなら、それは「再現性」だろう。
次に重視したいのは、単調性である。センサの応答が単調増加または単調減少でないと、入力に対して複数のセンサ出力が対応することになり、単純なアルゴリズムでは被測定対象に1:1に対応させることはできない。このようなセンサは開発段階で消えてしますので、まず、実用化されることはない。
経年変化が少ないことも重要である。用途によってはセンサの寿命期間中に2度と校正される機会のないものもある。このようなセンサでは、多数のセンサを用いさまざまな寿命試験を行うことになる。少し変更のがあるたびに、時間軸での変化を確認しなければならない。
センサの中には変動分だけ粗く検出できれば良いセンサもある。主にゲームや家電センサに用いられている筈である。
センサは大きな寸法比や異種材料を組み合わせて使うのがふつうである。
異種材料の組み合わせは、線膨張係数差に伴う種々の2次的特性が付加される。大きな寸法比は小型化と感度の両立性に影響する。
センサは今では、電気信号を出力するものが多いが、機械式センサなどは構造が単純で意外に経年少変化が少ないものがあり、システムの重要部分に使われることが多い。
多くの方はセンサの中身に立ち入ることは少ないが、作る立場に立ってみるとその多様性が判る。MEMSで現在作られているセンサは、センサ群の氷山の一角である。センサなくして、現在の自動化システムはほとんンど成立しないだろう。
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たけむらさん こんばんは
校正が怪しくなる要因である変化(経年、時)や過去の履歴を背負うヒステリシスがあると、センサの信号処理ではどうにもなりません。私も産業用センサで苦労しました。
環境要因の温度などは温度センサで補正すれば何とかなりますが、それでも温度を変えて校正データを得るには大変な労力が必要になります。
例えば、温度要因と非線形性が同時に存在すると、校正アルゴリズムも厄介です。
こんな感覚、センサ開発を経験した者にしか分からないでしょうね。
投稿: 5513 | 2011年1月21日 (金) 18時11分
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長年、医用機器用多チャンネルエックス線センサーの製造技術に携わってきた者です。
アナログエンジニアさんが書かれているそのとおりだと思います。
特に経年(時)安定性にはたいへん苦労しました。校正すると言いましても、数点のポイントですので、直線性が悪かったり直線性が変化するようなものであると、校正も有効ではなくなります。
校正に多くを期待できない、すなわちセンサー自体のハード的な特性(直線性、安定性など)の良さが一番大切ということを痛感しています。
投稿: たけむら | 2011年1月21日 (金) 16時10分