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パルストランスやチョークコイルなどインダクタンス性の電子部品を苦手とする回路設計者は意外に多い。しかし、インダクタンス性の部品は回路設計者が自分で設計する方がより最適化できる。
とくに、パルストランスは回路への影響が大きいので、この部分のみを秘匿して「実回路」を掲載する場合もある。アナログエンジニアもあまり公開することはまずしない。自分の手の内をすべてさらけ出すことになるからである。
パルストランスの設計においては、コアの選択から始まり、巻き線構造まで回路設計者がコントロールすべき部分であると考えている。
コア材質は現在ではフェライトコアが中心で、高いSW周波数では発熱(コアロス)を考慮して磁束密度を低減する。1次巻き数はおもにコア断面積、使用磁束変化ΔB、パルス幅、回路方式で決まる。1次巻き線と2次巻き線の比は昇降圧比で決まる。必要なコアの窓面積は絶縁方式と電流密度をどの程度に取るかに依存する。
使用磁束密度ΔBは
ΔB=VpTon/(nS) Vp:電源電圧、Ton:通流期間の最大値、n:巻き数、S:コア断面積 である。
ここから、トランスの設計が始まるが、1次コイルと2次コイルの結合係数はふつう0.999〜0.995位だが、絶縁性能や寄生容量を下げようとすると漏れ磁束が多くなる。
ざっと、電源用パルストランスの設計手順を述べるだけで10頁くらいの分量になるが、フォワードコンバータではコアギャップを造らず、フライバックコンバータでは、インダクタンス値を制御する必要上、ふつうはギャップを設ける。
種々の回路方式に対応して、様々なトレードオフ関係が生じるので、目的に応じてパルストランスの諸元を決めていくことになる。
パルストランスの設計なくして、絶縁型SWコンバータの設計はあり得ないと思う。
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kuroさん こんばんは
Tonの単位は時間です。ΔBは大きいほど厳しくなるので、パルストランスでは設計上考慮するON時間で一番長くなる条件で計算します。SW電源回路では多くの場合、オン時間が負荷条件などにより変化します。
投稿: 5513 | 2011年2月22日 (火) 17時52分
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使用磁束密度ΔBは
ΔB=VpTon/(nS) Vp:電源電圧、Ton:通流期間の最大値、n:巻き数、S:コア断面積 である。
『Ton:通流期間の最大値』 は電圧の最大値ですか?
投稿: kuro | 2011年2月22日 (火) 16時41分