« ブレーキ | トップページ | イメージ図、はめ込み合成 »
いくつかの要因の和で決まる観測値の分布は個々の要因の分布の形によらず正規分布になる。(中心極限定理)
開発の途上でのサンプル数は、工学の常として多くを得られないし、多くも必要がない。電子回路では、ひとつの要因で性能値が決まることは少ない。
相対的に少数資料で、分布の母数:μ、σを求めたいケースがほとんどだ。アナログエンジニアは、しばしば、正規確率紙を利用する。理由は、サンプルの値の出目の頻度も使うので、少数試料でもヒストグラムより大幅に判断を誤ることが少ないからと信じて使っている。
やり方は、データーを数値の少ない方から並べ、少数サンプルNなので(N-1)で割り、順次正規確率紙プロットしていく。正規確率紙上でプロット点が直線状に並べば、正規確率にほぼ従うと判断できるし、プロットデーターに直線を当てはめれば50%点から平均値μ、68.3%点からσの値が求まる。
場合によっては、μやσの信頼幅もなんとか予測できる。
分布の当てはめの基本はヒストグラムだが、工学では少数データではヒストグラムが描けないサンプル数で判断を迫られるという側面がある。
少量生産では、形式認定試験数は数個であることが多いので、2.5σ設計で十分な項目が多い。もちろん、バイタルな特性は最悪設計を通常は行う。100万ユニット/月の量産なら6σ設計が必要だろう。
統計学は観測値の読み方の基本である。アナログエンジニアは、正規乱数を発生させて観測値の統計量がどのように見えるかも幾度かシミュレーションしている。
学業の成績などは、正規分布をするとは限らない。選抜試験では、判定基準の両側にピークをもつ分布も出題次第で発生させることもできるのだ。したがって、学業成績を正規分布の例題にするのはあまり適切ではないだろう。
統計設計と最悪設計の使い分けは工学において重要な問題である。
そして、ユーザーから見れば、性能不良の1台が自分の使う製品なら重大な問題となる場合もある。バイタルな項目が実使用で生じるなら、1回目あるいは2回目でアクションすべき問題である。某自動車メーカーの対応はあまりにも鈍く、説明は矛盾に満ちている。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も応援の貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
« ブレーキ | トップページ | イメージ図、はめ込み合成 »
この記事へのコメントは終了しました。
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 |